トレーディングカード・リサーチ
トレーディングカードの続きです。まずはでき上がりから。
スキャンしたデータを検索する手がかりとして、カードを作り、そこからデジタルデータへとリンクを作る、というようなアイデアで、トレーディングカードを作ろうか、と考え始めたのでした。
カードを印刷するためにはプリンタが必要。そこで、エプソン販売/セイコーエプソンの知人に話を伺うことにしました。
すると、トレーディングカードの問題は、カードの厚みよりも、カードの小ささにあることがわかりました。小ささというかサイズですね。トレーディングカードは、先日調べたとおりの独特のサイズなので、そういうサイズの紙を販売していないのです。
トレーディングカードのサイズにいちばん近いのが名刺です。名刺サイズの紙は、サードパーティー製で販売もしています。でも、名刺のシルエットはトレーディングカードとはずいぶん違うのです。名刺サイズの紙に印刷しても、トレーディングカードとするには、長辺をカットする必要が出てきます。
両面印刷も壁でした。普通、カラープリンタできれいに印刷するというと、写真をターゲットにしていて、写真の場合表はつるつるの光沢紙ですが、裏面はざらざらの紙になっていることが多いのです。
両面の光沢紙となると、A4とかのサイズになってしまいます。もっと大きな紙に印刷してカットする以外に、手はないのかもしれないなと考えました。
トレーディングカード=「紙」
結局、トレーディングカードの問題は「紙」に集約されるのです。プリンタではなく、紙の問題です。それでは、とトレーディングカードを販売する某メーカーに取材をお願いしたところ、あっさり断られました。
「内容につきまして弊社の担当部門と検討をしましたが、やはりカードの自作となりますと、弊社で販売しているカードのコピーを作るという意味合いが出てきてしまい、あまり推奨はできないという結論となりました。」
とのことです。そうか~。カードのコピーを作るなんてことは考えてもみなかったのですが、作るものが複製物(本の複製)であるという点でコピーにはちがいないのです。ベンヤミンが複製にもアウラを感じたように、スキャン画像にもそれで作るトレーディングカードにもアウラにはあるにちがいないと思いますし、だいたい筆者にはトレードするつもりもないのですが、一般論でいえばメーカーはデジタルのコピーにたいしてナーバスであるようです。
エプソンの知人は、「トレーディングカードは作るものではなく買うことに意義がある」といいます。なるほど。トレーディングカードは、その名のとおり、トレード(交換)するカードであり、勝ったり交換したりして、たまにレアなものを手に入れて楽しむ文化なのでしょう。「トレーディングカード」という主語に「作る」という述語はつながらないのではなかろうか、とはたと気づきました。
作る文化がないからこそ、トレーディングカード用の用紙を販売していない。市場がないから商品がない。じつにわかりやすい話です。納得できることです。
となると、トレーディングカードを作る話はこれで幕ですかね。
まあ、せっかくですから、エプソン販売からお借りしたE-330を使って、トレーディングカードもどきを作ってみましょう。
情報カードにカラー印刷する
かつて、もう25年も前のことですが、本を買ったときには、名刺サイズの情報カードを蔵書カードにしていました。ちなみにいまは全部デジタルでデータ化しています。そのカードをひっぱり出してきましたので、これに、本の表紙を印刷してみましょう。
まずはテスト印刷。L判の光沢用紙にジャケットを印刷してみます。クリントイーストウッドの『ダーティハリー4』(Sudden Impact)です。がっ。縮小印刷方法がわからない…。紙のサイズに応じて自動的に縮小されるのでしょうかと思ったら、ぜんぜんそんなことはありませんでした。このままカードに印刷すると、カードの文字が読めなくなります。縦横1/2に縮小するとちょうどいい感じ。ちなみにもとのデータは2669×3528ピクセルあります。情報カードは『ダーティハリー4』の文庫ですが、写真のデータは『ダーティハリー4』の映画のパンフレットのためです。まあそのあたり、不統一な感じもあるが、どうせほんとうに作るわけじゃないからこのままでよしとしましょう。
ざっとE-330のメニューを見ましたが、縮小印刷とかレイアウトとかはありませんでした。とすると、画像じたいを小さくするのがベストでしょう。縦横1/2にするのだから、画像のピクセルを倍にすればいいわけです。5338×7056ピクセルですね。うう、でかい…。
と、そこにもとの画像を貼って、印刷。
おお。できました。
これは、かなり「いい」んじゃないでしょうか。
光沢紙でないために、テスト印刷のときほど発色はよくありませんが、データ、手書き文字、写真が混在していて、いかにも手作り感あふれる感じ。トレーディングカードのかちっとした感じとは、若干ニュアンスが違ってきてる気はしますが、これはこれで魅力的(すくなくとも筆者には)でありました。
さらにここにバーコードをうち、と、いろいろやり残したことも多々ある感じもしますが、まあそれが人生ってやつでしょうか。