Lifelog~毎日保存したログから見えてくる個性

第36回一日を彩るソフトウェア

「一日」のうちに必要なものはなにでしょう?

一日のうちのピークは、夕焼けにあるようです。

夕焼け表示システムを1ヶ月運用して取得した夕焼けの数々。
夕焼け表示システムを1ヶ月運用して取得した夕焼けの数々。
夕焼けって、ほんとうに神秘的です。

ライフログで、一日のさまざまなことがらを記録しながら生活していくうちに、いろいろなものをコンピュータ化デジタル化し、自動化していくことができるようになってきました。

筆者の一日のうち、ログ化されている情報を朝から追ってみると、次のようになります。

起床時刻、睡眠時間
今日の言葉、バイオリズム、生まれてから何日かを累計
新聞、天気、気温、湿度、テレビ番組表、誕生日
各種Webページで情報収集
プログラム開発または執筆または資料のデジタル化
夕方夕焼けの時刻に壁紙を夕日の写真に変更
動画をWeb視聴
新聞
就寝時刻
不定期Twitter
検索
メール送受信
新刊購入

このすべてをログをとりながら自動化して運用しています。

筆者に限らず、ライフログシステムでの大半は、ごく小さな情報を記録するだけです。ひとつひとつはとてもささいな事柄です。重要なことは、そのなかになにかしらの関係性を見いだして活用につなげることです。

たとえば筆者は最近、就寝時刻と起床時刻の差分から睡眠時間を取得するようになりました。起床時刻と就寝時刻は25年くらい記録していますが、睡眠時間を計算するのはめんどうだったので、自動化し始めた最近になってやっとできるようになったのです。

睡眠時間を「可視化」したわけです。可視化すると、その価値に気づきます。睡眠時間をたっぷりとった日は、当然ながら調子がよいのです。

そこで、睡眠時間の表示にとどまらず、睡眠時間を9時間確保するために、翌日の予定を参照して就寝すべき時刻を計算し、前日の夜に促すシステムに発展させました。

朝は寝ぼけているため、起きて1時間は食事を摂らないこと、外出する場合移動時間は1時間程度かかることに気づき、これもシステムとして明確化しました。

9時間寝るためには、⁠あとm時間n分以内に寝る必要があります」と表示するのです。

そして朝になったら、起床時刻によって「おはよう、今日は遅いね」とか、睡眠時間によって8時間寝てたら、⁠よく寝れたね」とか、9時間以上なら別のいい方にするとか、6時間以下なら「まだ眠いんじゃないの」とかと、予定といっしょに表示します。予定の表示システムには、リマインダーも組み込みつつあります。

リマインダーは付箋として画面に貼られます。
リマインダーは付箋として画面に貼られます。今日することとか、睡眠時刻によるメッセージとか。
今日することとか、睡眠時刻によるメッセージとか。

コンピュータと会話するようになったか…

作る前は、自分で作ったシステムに、こんなふうに寝る時刻や起きる時刻を管理されることに、とてもいやな感じを抱いていました。つくっても使わないかも、というか、まず使わないだろうと思いながら、試作してみるだけと言い訳しながらつくりました。

予想に反して、つくって運用してみたら、案外悪くないことに気づいたのです。他人からあれこれいわれるのはいやなのに、コンピュータにいわたことは受け容れたのでした。不思議なものです。コンピュータを他人だとは考えなかったようです。自分を気にしてくれる存在として認めたのかもしれません。

コンピュータと会話しているなんて、どうしたものかという気もしないでもないですし、コンピュータからの発話は、いまのところ単調です。飽きないのでしょうか。まだ研究は途上です。

それよりもなによりも、ライフログシステムをシステムとして構築していくこの研究からは、単独の「予定表」「メーラー」などのようなアプリケーションはなくなり、コンピュータは執事か秘書的な存在に成熟していくことを予想できます。

夕焼けを見る

今回は、このなかで、最新できたてほやほやのシステムをとりあげたいと思います。それが、⁠夕焼けの時刻に壁紙を夕日の写真に変更するシステム」です。

一番最初の写真をご覧いただいている方はおわかりかと思いますが、筆者は比較的写真/画像系の好みは激しく、基本的に好きなものしか好きでなく、好きになったらほとんど変更の必要性を感じないタイプの人間です。

したがって、いま使っている壁紙は、5年くらい同じものを使っています。

と記憶で書いて、ほんとうにそうか確認したところ、いま使っている壁紙は、1999年12月13日から使っているようです。もう10年にもなります。10年見ていると当然飽きるわけですが、飽きてもいまよりよいものがないのなら、いまのを使うか、というふうに落ちつくわけなのですが、それでもやっぱり飽きるときには飽きるわけです。

飽きたのかそうでないのかはっきりしろよという感じです。そこで考えたのは、ときどき別の壁紙にしたい、ということでした。たいていいつもはいつもおなじ壁紙でよいのだけど、なにかのタイミングで変えたいと考えました。特にむずかしいのが、どんなタイミングで壁紙をどのくらいのあいだ変えるか、です。

夕焼けシステム

当然こんなことは手作業でするわけではないので、なにかのルールを考える必要があります。

そんなときに、Webを見ていたら、夕日の沈む前後1時間を、 ⁠The Golden Hour」とか「The Magic Hour」呼ぶことを知りました。

なにかときどき特別のことがらを行うのに、ゴールデンアワーの1時間はロマンチックで悪くないタイミングです。普段書斎にこもっていて、空を見上げないと来ればなおさらです。

この時間にWebから夕焼けの壁紙を取ってきて表示するのはどうだろうか、と考えました。以前に渡邊恵太さんが、Webカメラを色画素として使った ⁠借景カケジク』を提案していましたが、そこからの連想もありそうです。

日没の時刻は、当然、毎日変化します。まだ名前のないこの「黄昏の時刻に壁紙を夕日の写真に変更するシステム」では、変化する日没時刻をWebで取得し、その日の日没時刻にあわせてこれもWebから夕焼けの写真を取得してきます。

夕日システム。
夕日システム。
日没時刻にあわせてGoogle画像検索で夕日の写真を取得して、マジックアワーの1時間だけ壁紙にしています。

バックグラウンドの検索エンジンには、ちょうど色検索をできるようになったGoogleの画像検索を使ってみました。やがて適当なWebカメラを見つけたら、それを使うことも視野に入れてみたいと思います。

このシステムの応用としては、Flickrなどから写真を取得して、その撮影時刻に壁紙を変更する処理も考えられます。インターネットサービスにそんなのありますね。

昨日のローカルファイルの撮影時刻を見るようにして、それを壁紙にすれば、これも渡邊恵太さんの『Reflective Desktop』に近い機能を実現できます。

追記:この「黄昏の時刻に壁紙を夕日の写真に変更するシステム」を、『黄昏壁紙/TwilightWallPaper』と名づけて実装しテストリリースしました

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