写真とキャプションは常に一体
デジタルカメラでタグづけを、どのようにかんたんに行うか。
デジタルカメラで写真を容易に扱えるようになってからというもの、それをもっと活用するための方策として、このタグづけ機能はいろいろと考えられてきました(GEOタグ、顔認識など)。
写真にはコメント(キャプション)がつきものです。つきものであるにもかかわらず、既存のデジタルカメラでは、なかなかかんたんにはそのタグづけを行うことができません。すっきりとこれで決定打というのがないのです。いっそデジタルカメラではなく、曲がりなりにもキーボードをもつ携帯電話のほうが、タグづけには適しているかもしれないと感じることもあります。
筆者が主として考えてきたのは、タグづけのためにモードをもたないことで紙のようにコメントをキーボードから書き込めることや、テキストファイルから自動的にコメントを書き込む機能の実現でした。
この点で、たとえば既存の写真サイトが、コメント用の枠を設けてコメントを書くという方向性とは、ぜんぜん違う方法を模索しているといえます。
タグづけをすることは文章を書くことであり、普通に考えればコンピュータやキーボードが必須です。コンピュータは必須であるとしても、タグづけのためにめんどうなことをしたくないわけです。メニューを開いたり保存操作をしたり確認ボタンを押したりしたくないのです。
そういうさまざまな不都合はモードによって発生していると考え、モードの全廃を目標として掲げました。モードがなく使い勝手さえよければ、キーボードから文章を打つのは筆者の場合苦にならないので、自動でタグづけすることは無理でも、タグづけを継続的に行えるだろうと考えました。
キャプションを自動書き込みする
タグづけのためにモードをもたない機能は、2004年の未踏ソフトウェアに採択された『SmartWrite/SmartCalendar』で実現しました。SmartWriteもSmartCalendarも、モードをもたずに、いきなりキーボードから書いた文字を画像や写真に書き込むことができます。保存メニューなどもないので、めんどうな操作は不要で、書いた文字をそのまま検索対象にできます。
テキストファイルから自動的にコメントを書き込む機能は、2007年の未踏ソフトウェアに採択された『PilePaperFile』で実現しました。テキストファイルなどから自動的に写真にコメントを書けるので、写真と文字を組み合わせるのが容易になりました。
現在では自動化も進めていて、たとえば先日の『黄昏壁紙/TwilightWallPaper』の場合には、取得したURLのほかに、夕日に関するキーワード「夕日/夕焼け/夕陽/夕暮れ/夕闇/黄昏/たそがれ/日没/西の空/トワイライト/逢魔時/大禍時/薄暮/雀色時/店鎖頃(みせさしごろ)/暮れ泥(なず)む/贈る言葉/墨染め/イブニング/サンダウン/宵闇/暮色蒼然/夕映え/斜陽/夕紅/空歩照り/茜/twilight/The magic hour/Sunset」を、ぜんぶ書き込んでいます。自動で書くのだから、量の多寡は問題にならないわけです。
いずれもExif[1]のコメント欄に書いていますので、ソフトさえ対応していれば検索も可能です。 独自ファイルではなくOSにもアプリケーションにも依存しないため、一度書いたタグが無駄になることはありません。タグをテキストファイルにわけたりもしていませんから、Webやメールなどで転送しても消えません。
一度行った作業が無駄にならないと信じられることは、タグづけを継続するモチベーションにつながります。
実際、デジタルカメラを使い始めてから現在まで、タグづけや整理をやめたことはないので、これらは継続のモチベーションにつながっていると考えられます。
スケジュールと連動してタグを生成する
キーボードがある状態でのタグづけにはあまり不便はないのですが、それでも連続した複数の写真に「ねこ」とかんたんなタグをつけたりする場合には、(カット&ペーストできるといっても)オペレーション数は少なくありません。
これまでの方法は、1枚1枚の写真に、比較的長めのキャプションをつけるのには適しているのですが、複数の写真に同時にかんたんなタグをつけるのには不向きだと考えました。
そこで、今回、エクスプローラを使ってフォルダにわける方法で、比較的固定的なタグを比較的大量の写真につけることを実現しました。
SmartCalendar(N)には、写真の取り込み時にフォルダ名をタグとして書き込む機能があるので、フォルダに分けておけばタグづけは自動化できます。
フォルダに分ける場合のフォルダ名ですが、おおむねふたつの生成方法が考えられます。
ひとつは固定的なタグです。先の「ねこ」とか「食事」とか、よく会うひとの名前などがそれです。
もうひとつは流動的なタグです。たとえばイベント名などがそれにあたります。
イベント名はどこにあるかを考えると、当然予定表となります。そこで、デジタルカメラから取り込むときに、撮影日時を取得して、その撮影日時の予定表を参照して、予定表の項目ごとにフォルダを自動生成することにしました。
予定表と人名を連動させれば、会った人ごとにフォルダを作りタグづけすることも可能になると考えられます。