前回はマストドンのアカウントのつくり方をみていきましたが、分散型SNSのマストドンが他と違うのは、ユーザーはたくさん存在する「インスタンス」のなかから好みのものを選ばなくてはいけないという点です。
ツイッターでは誰をフォローするかで、あなたは自分のタイムラインを編集できました。マストドンではフォローと、インスタンス選びで自分のいごこちのよさを自分でつくっていくことになります。
登録してみたけれども、なにが楽しいのかわからない。ちょっと思っていたのと違うという人は、もう一度「インスタンス」を探すところから始めてみましょう。
そのときヒントになるのが、連合タイムラインとローカルタイムラインについての理解です。そこで今回は、この2つのタイムラインに着目してみます。
連合タイムラインと、ローカルタイムライン
マストドンが分散型SNSであることを意識するのに重要なことは、メイン画面の右側のタブから選ぶことのできる「連合タイムライン」と「ローカルタイムライン」です。
連合タイムラインには、あなたが属しているインスタンスだけではなく、そのインスタンスが連合関係にあるインスタンスのトゥートも流れてきます。
それに対してローカルタイムラインは、あなたの属しているインスタンスのトゥートのみが流れているタイムラインです。
たとえば、かなりの人数が登録しているインスタンスであるmstdn.jpやPawooなら、2つの間にそれほどの違いはないと思うかもしれません。
しかしPawooにログインしてローカルタイムラインをみた場合には、pixivが立てたインスタンスだけあって、イラスト関係の投稿が多いことに気づくでしょう。
もし海外のインスタンスに登録してローカルタイムラインをみてみると、英語ばかりが流れてくることになります。
このように、より属しているインスタンスの特徴に近い投稿をみたいなら、ローカルタイムラインに注目するのがよいのです。
リモートフォロー
連合タイムラインとローカルタイムラインとの違いを理解すれば、他のインスタンスのユーザーのトゥートも自分のタイムラインに流れてくることを意識できるようになります。
それでは、他のインスタンスのユーザーはどのようにフォローすればいいのでしょうか?
もし連合タイムライン上でそうしたユーザーを見つけた場合は、プロフィールページを開いて、「+」アイコンを使って自分のインスタンスのユーザーと同じ方法でフォローできます。
シェアされたリンクなどでその人のプロフィールページに飛んだ際には、「リモートフォロー」というボタンが表示されることもあります。
この場合は、ボタンをクリックした後に、そのインスタンスにむけてフォローの通知を送ります。そのために、あなた自身のアカウントを入力する欄が表示されます。
この欄には@meh@mstdn.jpといったように、あなたのアカウント名と、インスタンス名がわかるように入力しましょう。
マストドンでは他のユーザーにメンションを送る際にツイッターと同様に「@ユーザー名」の形式を使いますが、他のインスタンスのユーザーにメンションを送る際には似たような書式で「@ユーザーID@インスタンス名」を使います。
投稿の見え方を変える
リモートフォローという仕組みは、たとえ世界の片隅にある、他と連合していないインスタンスのユーザーであったとしても、その人が公開しているトゥートを自分のタイムライン上に表示できることを意味します。
イメージとしては、RSSリーダーに近いといってよいでしょう。たくさんの記事を発行するRSSと、たまにしか記事を更新しないRSS、まとめて登録しておけば一つの記事の更新順の流れを読むことができるのに似ています。
逆にいえば、あなたのトゥートも、世界中のどのインスタンスからでもリモートフォローすることが可能となっています(アカウントを非公開にして、フォローを承認制にすることは可能)。
リモートフォローという仕組みがある以上、インスタンスを選んで投稿をすることはできませんが、あなたのトゥートの見え方を変更することは可能です。
トゥートの投稿欄の下にある、地球のアイコンの部分をクリックすると、いくつかの選択肢から選ぶことができます。
- 🌏公開(Public):投稿は連合タイムライン、ローカルタイムライン上に表示され、誰でも閲覧できます。
- 🔓未収載(Unlisted):投稿は連合タイムライン、ローカルタイムライン上に表示されません。あなたをフォローしている人の「ホーム」タブ、あるいはあなたのプロフィールページをみた人にだけ投稿がみえます。
- 🔒非公開(Followers-only):フォロワーにのみ、トゥートを公開します。
- ✉ダイレクト(Direct):メンションしたユーザーにのみ投稿が表示されます。
このうち、未収載だけが一見複雑なのですが、連合タイムライン上で偶然発見されてしまうのを避け、あなたの投稿のいつもの雰囲気を知っているフォロワーに向けて発信したい際に使います。
プライバシーに関する注意
この項で説明している「インスタンスを越えたトゥートの削除」については、現在(第3回公開時点で)削除できるように開発が進められています(ただし、各インスタンスがこの削除機能に対応している必要があります)。
さて、マストドンではインスタンスを越えて相手をフォローしたり、トゥートした内容が届いたりすることを理解できたら、利用する上での重要な注意事項を押さえておきましょう。
まず、いったん投稿したトゥートは削除できるものの、それが消えるのはあなたが属しているインスタンス内の話です。他のインスタンスのユーザーがあなたをリモートフォローしている場合、そこまで届いたトゥートは消えないのです。
間違ったトゥートをしてしまった場合のリスクは、むしろマストドンのほうが重大だということを理解しておきましょう。
他のインスタンスのユーザーに向けて送信したダイレクトな投稿や、次回解説する「ブースト」と呼ばれる投稿の拡散も、あなたが属しているインスタンスの外側では削除や取り消しはできません。
プライバシーには十分気をつけて、間違った投稿をしないように、念には念を入れましょう。
インスタンスを選び、タイムラインを編集しよう
分散型SNSとしてのマストドンの楽しみ方をもっと深くみていきましょう。
@wogan@wogan.imが制作した次の図は、Radarというサイトでみた最近のインスタンスのユーザー数の分布です。
日本からの大量のユーザーの流入によって、mstdn.jp、Pawoo、friends.nicoといったインスタンスが最大勢力となっているのがみえます。
しかし、それ以外にも数多くのインスタンスが存在しているのがみえています。なかには友人同士だけのインスタンスや、個人的に立ち上げられて情報の発信のみに使用されているインスタンスもあります。
自分の好みの話題を扱っているインスタンスについては「マストドン検索ポータル」を使って調べてみましょう。ここでは日本語で投稿されている主要なインスタンスで、どのようなハッシュタグで投稿がされているか横断して調べることもできます。
また、インスタンスでどんな話題が飛び交っているか、その特徴を分析した「トレンドン」というサイトもあります。
それぞれのインスタンスには、短い紹介文も掲載されています。あなたにとって、いごこちのよい場所を探して登録すればいいのです。
小さなインスタンスに登録していても、連合タイムラインを通してより大きな、日本と世界につながったトゥートの流れを確認できます。そして、身近な話題だけを見たいならローカルタイムラインにはりついて、気になるユーザーが他のインスタンスにいるならリモートフォローしていきます。
こうして、マストドンにおけるあなた自身の居場所を、自分の手で開拓していくことができるのです。