シモダテツヤのIT四コマふんわり劇場

第124回仕事の後のおしぼり

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前職のペパボ時代や、起業したての頃、週に3回以上のペースで庄屋に通っていたことがあったのですが、その庄屋、おしぼりが死ぬほど臭いのです。

こう、顔を拭くわけじゃないですか。

三十路を越えて顔面にガッツリとのったテラテラの脂をゴシゴシと拭きとるわけじゃないですか。

一日の疲れをおしぼりで拭い、キンキンに冷えたビールをグイっといくわけじゃないですか。

その重要なリフレッシュツールであるおしぼりが死ぬほど臭いんですよ。

最初の頃は自分の顔が臭いんだと思っていたんです。顔に滲み出た僕の臭い脂が外気に触れることで表面だけ固まり、コーティングの役目をして昼間は匂いを抑えていたけれど、熱いおしぼりで拭くことでコーティング部分が溶け出し、その奥に潜んでいた僕の顔臭(がんしゅう)が波動砲のように空気中に散布されて臭いんだと思っていたんです。

それが何回か通っているうちに「もしかしておしぼりが臭いんじゃ?」という疑問が生まれまして、嗅ぐわけですよ。おしぼり。でもさっき顔拭いたから僕の顔臭(がんしゅう)がおしぼりに移ってるのかもしれないって、ずっと自分のほうがきっと悪いんだって思えて仕方がなかったんです。で、酔っ払っておしぼりを配られたときの最初の疑問を忘れてしまい、再来店したときにまた確かめる前に顔を拭いてしまい「自分の顔面が臭いんじゃ?」っていうわけのわからないループに入っていたんです。

そんなある日、また来店したときに顔を拭く前にたまたま思い出したんです。⁠拭く前に嗅いで確かめる」ってことを。そんで嗅いでみたらずっと自分の顔の臭いだと思って絶望してた匂いが最初からおしぼりにあったんです。感動しましたよ。自分じゃなかったんだ!って。おしぼりだったんだ!って。ずっと僕を悩ませて胃に穴があくほどストレスを与えていた疑問が良い方に解決したんです。⁠自分は人ではなく肛門なんじゃないか」って思った頃もございました。でも、僕は肛門じゃなかったんです。肛門が顔と尻に二つ付いてる人じゃなかったんです。

ひとつだったんです。

今回、それが言いたかったんです。

編集部注:
しらんがな。

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