Googleケータイ、世に現る

第3回2009年のGoogleケータイを見る

第3回の今回は、開発ブランチ「Cupcake」やAndroid Marketなど、2009年の動向について取り上げます。

開発ブランチ「Cupcake」

昨年末、将来のAndroid OSを想像させるニュース、Androidのオープンソースプロジェクトに、開発ブランチ「Cupcake」と呼ばれる成果が本流へのマージが完了したと発表されました。

Browserの動作速度には不満なし。最新のWebKitとSquirrelFishでさらに速くなる。
Browserの動作速度には不満なし。最新のWebKitとSquirrelFishでさらに速くなる。

その内容は、MMSやEmail、Alarm Clock、Package Installerなどのバグ修正が多くリストアップされていますが、積極的に新機能が追加されているので、気になる機能をいくつかピックアップします。

HTMLレンダリングエンジンのアップデート

まずは、HTMLレンダリングエンジンのアップデート。

標準のWebブラウザのBrowserでも使われるHTMLレンダリングエンジン「WebKit」が2008年11月バージョンになり、高速JavaScriptエンジン「SquirrelFish」がサポートされます。Browserは、現状でも満足いく動作速度ですが、さらに伸びしろを身に付けるわけですから楽しみです。

ソフトキーボードのサポート

次に、ソフトキーボードのサポート。

現行のAndroid OSでは、OSレベルでソフトキーボードがサポートされず、アプリが個別に対応しているので、早々にサポートされたのは、ユーザ・開発者ともに歓迎できます。この機能追加に合わせて、サードベンダが入力ソフトを開発できる枠組みが用意されます。我々日本人にとっては、OSレベルで日本語入力ソフトを開発でき、前回ご紹介したJSandBoxやsimejiは、さらに快適な日本語入力ソフトが提供できるはずです。

ビデオ撮影モードのサポート

最後に、ビデオ撮影モードのサポート。

カメラ機能が強化され、ビデオ撮影モードが追加されます。リリースには、機能追加の記述だけで、用意されるアプリまで触れていませんが、USTREAM.TVにストリーミング配信できるアプリが登場すれば、Androidの新たな活用方法が提案できるはずです。

このポイントだけでも、将来のAndroid OSを期待させる内容です。これが、甘い装いのCupcakeとなって、我々の手元に届けられる次期リリースが非常に楽しみです。

サクサク動作のWebブラウザ「Browser」だが…

スマートフォンのWebブラウザは、さまざまな制約を受けるので、ストレスを感じることがあります。

本題に入る前に、快適ポイントからご紹介します。

Browserは、ページのレイアウトを崩さず実用的な速度でページを表示し、Ajaxを使うGMailなども実用的な速度で動作します。また、ページのスクロールを、手で画面を覆ってしまうタッチ操作だけではなく、トラックボールでも操作できるところも快適ポイントです。このおかげで、観るコンテンツさえ決まれば、ストレスフリーで閲覧できます。

Browserは、レイアウトを崩すことなくレンダリングする。
Browserは、レイアウトを崩すことなくレンダリングする。
Ajaxを使ったページも実用的な速度で利用できる。
Ajaxを使ったページも実用的な速度で利用できる。

ストレスを感じるのは、ここからです。

G1の場合、ページを戻る時は、本体下のバックボタンを押し、ページを移動するときは、画面の上のリンクをタッチします。何てことない操作ですが、状況を判断して操作方法を変える必要があるので、ストレスを感じます。

また、ページの拡大/縮小操作がもどかしく、メニューを辿るか画面をタッチして、コマンドボタンを表示した後、目的のサイズに変更するために数回ボタンを押します。iPhoneのピンチ操作は、直接操作している感覚が得られますが、この操作は間接的に感じて慣れるまではストレスです。

横画面の表示。画面中央のページ拡大/縮小ボタンは、使いづらい。
横画面の表示。画面中央のページ拡大/縮小ボタンは、使いづらい。

このように、使い勝手の面で改善余地がありますが、動作速度は満足いく仕上がりなので、早期のアップデートで改善されることを期待します。

Android Marketは、これからか?

iPhoneのAppStoreのように、Androidにもコンテンツ配信のプラットホーム「Android Market」が用意されており、G1には、それへアクセスするアプリ「Market」が搭載されています。

Android Marketのトップページ。上段にはFeaturedとして、いくつかのアプリが紹介されている。
Android Marketのトップページ。上段にはFeaturedとして、いくつかのアプリが紹介されている。

Marketを起動すると、ピックアップされたアプリとカテゴリの大分類が表示されます。それを入り口に、ユーザは、小分類のカテゴリを辿って欲しいアプリを見つけ出します。Marketのアプリには、レーティングやコメントを付けることができ、他ユーザの評価を参考に、欲しいアプリを選択することもできます。

アプリの紹介画面。⁠Install]をクリックするとダウンロードが開始される。
アプリの紹介画面。[Install]をクリックするとダウンロードが開始される。

Market経由のアプリは、ダウンロードからインストールまでが自動化されており、ユーザは、それぞれの手順を踏まなくともアプリが使えるなど、コンテンツ配信プラットホームとしての魅力を備えていますが、AppStoreのように、トップ25のジャンルがなかったり、アプリのスクリーンショットが確認できないなど、まだ荒削りと感じられ「これからか?」と感じさせます。

日本語環境は?

この青い目をしたスマートフォンは、日本語を巧みに操ります。

標準の日本語フォントは、美しいデザインで、アンチエイリアス処理された後でも高い視認性を保ちます。先のBrowserや前回ご紹介したGmailやCalendarでは、何の設定なしに日本語が表示されます。

日本語の入力は、JSandBoxやsimejiのお世話になります。

日本語入力の枠組みがOSレベルで無いので、操作は少々煩雑で、先のアプリ内で日本語入力を行い、それをクリップボードにコピー、そして、目的の入力欄にペーストする流れで操作します。Cupcakeで追加されるインプットメソッドの枠組みを使えば、OSに溶け込んだ感じで操作できるはずです。

次回は、今回ご紹介できなかった内蔵アプリや、Android Marketで公開されているアプリをご紹介します。

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