後が続かず…
本連載の2回目でもご紹介したオージーメイドのGoogleケータイ、Koganの「Agora」の発売が無期延期となりました。理由は「将来的に互換性の問題が生じる可能性が高いと判断したため」としています。2009年1月7日のKoganの公式ブログでは、試作機を操作している様子のビデオと本体写真が4枚が掲載されており、Agoraの開発は順調に進んでいるように見えましたが、発売日まで残り13日で、一転して発売無期延期となりました。
Koganは、懸念する問題の1つに、画面のサイズと解像度を上げています。
Agoraの画面解像度(320×240)は、先行してリリースされているG1の画面解像度(320×480)と比較すると低いため、先行するG1に最適化されたアプリが増えてくると、いずれは互換性や相互運用性で支障が生じると考えたようです。
この決断には、少し違和感を覚えます。
Android OSには、画面向きや解像度が変わっても、意図したレイアウトを保つ仕組みが用意されています。アプリで、Agoraの解像度を考慮してやれば、多くの作業なく対応できるように思います。また、Androidのアプリは、画面に多くの操作コントロールを配置せず、ハードボタンを活用するユーザインターフェースデザインで、こちらもAgoraを考慮してデザインすれば、多くの作業なく対応版を用意できるのと考えるので、Koganは、慎重な決断した印象を受けます。もしかすると別の理由、たとえば、次期OSアップデート「Cupcake」で、不都合な部分があるとか、世界中が置かれている悲惨な経済状況が関係したなど、色々と勘ぐってしまう程、急で残念な決定となりました。
Cupcakeを試食する
前回に引き続き、アプリのご紹介を検討していましたが、次期Android OSとなるCupcakeの開発用ROMイメージを入手したので、エミュレータで動作させた印象をご紹介します。このROMイメージのファームウェアバージョンは1.5。G1のファームウェアバージョンは、1.0なので、その差0.5の違いに迫ります。
日本語周り
発表時に話題にならなかったのですが、このバージョンには日本語リソースが用意されています。設定でロケールを[Japanese]にすると、メニューやメッセージが日本語表示になり、日本語以外の言語にも簡単に切り替わるので、Android OSのバイリンガルぶりに感心させられますが、使われている漢字が間違っているなど、詰めの甘い部分があります。
ユーザインターフェース関連
ユーザインターフェース関連では、画面の切り換え時にワイプアニメーション、ウィンドウのオープン/クローズ時にズームアニメーションを行います。余り化粧っ気がなかったAndroid OSも、少し色気を身に付けた印象です。
その他、選択肢を提示するダイアログから[OK]ボタンがなくなり、選択と同時に[OK]を押したのと同じ結果が得られるよう変更されています。ただ、徹底されておらず、画面によっては造りがまちまちです。まだ、ご愛敬と言ったところでしょうか。
ソフトキーボード
ソフトキーボードは、Cupcakeから追加された新たな枠組みです。
入力エリアをタップすると、Windows Mobileのソフトキーボードのように、画面下からせり出るようにキーボードが表示されます。ROMイメージには、入力候補を表示するような機能はなく、素の英語キーボードが付属するだけで、日本語入力ソフトなどは用意されていません。Android OSでの日本語入力が、どのような使い心地になるのか、気になっていたのですが、残念ながら確認できませんでした。
ブラウザのアップデート
BrowserのアップデートもCupcakeのウリです。
具体的な数値はありませんが、ページ描画されるときに、空白ページが表示されている時間が短くなり、すぐにページが描画され、HTML描画エンジンのWebKitがアップデートされたことを実感できます。JavaScriptエンジン「SquirrelFish」が搭載されているので、GMailで動作速度確認しようと試みましたが、こちらは、空白ページが表示されるだけで、その実力を確認することはできませんでした。
新機能のページ内の検索は、キーワードを入力すると、インクリメンタルサーチされて、該当するキーワードがハイライトされ、その場所へ移動します。
コピー、ペースは、メニューから[Select Text]を選択すると、テキスト選択モードになり、コピーしたいテキストを選択して、しばらくすると、画面上にクリップボードにテキストがコピーされたとメッセージが表示されます。
甘さ控えめなCupcake?
CupcakeのROMイメージは、開発用ということもあり、造り込みの甘い部分が目に付きますが、0.5の差を十分に堪能できます。ただ、先を行くiPhoneは、華やかにデコレーションされて我々に届けられているので、比較すると、飾り気が少なく控えめな印象は残りますが、手元のG1で動作するのが楽しみです。