Googleケータイ、世に現る

第14回Android 2.0の一部がお披露目

今回は、Android次期バージョン、Android 2.0について紹介します。

次はドーナツ!

少し古い話にはなりますが、先月開催されたGoogleの開発者向けイベント「Google I/O」で、Android OSの次期バージョン「Android 2.0(開発コード名:Donut⁠⁠」の一部がお披露目されました。

いきなり余談になりますが、Android 2.0の開発コード名には、Donutが使われています。Android 1.5はCupcake、Android 2.0の次期バージョンはEclairという開発コード名になるようで、いずれもお菓子の名前が使われています。これは、お菓子の名前をアルファベット順に採用するという命名方式に沿っているそうです。どうせならば、バージョンを重ねるために、カロリーの高いお菓子の名前が使われれば、皮肉混じりで面白いのですが(笑⁠⁠。

Android 2.0は、開発者に向けてお披露目されたので新機能の解説が中心でしたが、本連載では、Android 2.0に搭載される新機能が、アプリでどう使えるかも想像しながらご紹介します。

まずは、十八番の検索機能

まずは、ユニバーサル検索からです。この機能を使うと、アプリに検索機能を追加できます。

ユニバーサル検索は、インターネットやローカルデバイスなど、情報の保存場所を意識することなく横断的に検索して、結果をリストアップします。開発段階なので、変更の可能性はありますが、検索結果がインターネットからであれば、ホームページへ移動するのはもちろんこと、結果にアプリが含まれていれば、実行が可能になります。例えば、検索結果に連絡先が含まれていれば、そこから電話をかけたり、メールが送信する等の使い方が予想できます。G1のようなスマートフォンには、アドレス帳や予定表、電子メールなど断片的な情報が多く保存されているので、統一されたインターフェースを使ってアクセスできるならば、使い勝手向上するのと同時に、使い方を大きく変化させる可能性があります。

ユニバーサル検索は、Appleが販売していたPDA「Newton」のアシスト機能の影響を受けている印象を持ちます。アシスト機能は、ある文法に沿って書かれたメモに従って、OSが処理を行ってくれるインテリジェンスなものです。いまに思えば、早すぎた感がありますが、我々のスマートフォンには、様々な情報が詰め込まれているので、いまこそ、アシスト機能のような仕組みが必要になってくると考えます。たとえば、アシスト機能のライクに「田中 電話」と入力すると、アドレス帳から田中さんを検索して、電話をかける一歩手前まで準備してくれれば、なかなか便利です。

ユニバーサル検索がメタ検索に留まるのか、それとも、アシスト機能のように、インテリジェンスが備わるのか現時点では分かりませんが、志半ばだったNewtonの想いを引き継いで、現代に蘇らせてくれることを期待してしまいます。

Newton 2100。アシスト機能やインクテキスト、ジェスチャーコマンドなど、当時としては意欲的な造りだった
Newton 2100。アシスト機能やインクテキスト、ジェスチャーコマンドなど、当時としては意欲的な造りだった

テキストを音声に変換機能も

Android 2.0では、テキストを音声に変換する音声合成機能が追加されます。

この機能を使うことで、アプリにテキスト読み上げ機能を追加できます。簡単に言えば、喋るアプリを開発できるわけです。ただ、現状の技術水準では、人のように綺麗な音声で、流暢に喋るのは難しいかもしれません。また、機械音声は長時間聞き続けるとストレスが溜まるので、利用できるシーンは限定されるだろと考えます。

テキスト音声変換と言われると、いの一番にメールの読み上げが思いつきますが、こうした理由で、少々不向きかもしれません。ただし、現状の技術レベルを理解して、利用場面を吟味してやれば、効果的に音声合成機能が使えるはずです。

たとえば、G1で音楽を聴いている最中にメールが到着した場合、着信音ではなく「○×さんから、○×の件でメールが到着しました」と、音声を使ってカットインすることも考えられます。音声は、画面を見なくても情報を伝えることができる特性があるので、上手く使えば、先で書いたような情報通知のタイミングさえも、内容の濃い情報提供が行える可能性を持っています。

ジェスチャーコマンドもサポート

Android OS 2.0では、手書きのジェスチャーコマンドも追加されます。

もちろん、この機能もアプリが利用することできます。Google I/Oでは、多くの楽曲の中から画面上に書かれたアルファベットが曲名に含まれるものがリストアップされるデモが披露されました。

Android OSには、メニューにショートカットキーが設定されていますが、これはキーボードで利用することが前提になっているので、Palm OSで使われた、特殊な書き方をする手書き認識「グラフィティ」のように、ジェスチャーコマンドを使ってアクセスできるようになれば、キーボードレスのデバイスでもサクサク使えるようになるはずです。

Palmグラフィティのジェスチャーコマンド群。使いやすかったので、Androidで復活させてほしい
Palmグラフィティのジェスチャーコマンド群。使いやすかったので、Androidで復活させてほしい

リリースが楽しみ

駆け足になりましたが、Google I/Oで公開された情報を元にAndroid OS 2.0の新機能をご紹介しました。

多くの機能は、PDAの諸先輩達が試行錯誤して来た結果を、現代風にリメイクした感がありますが、現実的で非常に意欲的な造りです。リリースまでには、まだ、開発段階なので、多くの変更が加えられることになるでしょうが、掌に収まる日が来るのが楽しみです。Cupcakeに続いて、Donutも美味しいが気になるところです。⁠笑)

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