Googleケータイ、世に現る

第25回Androidは、人気急上昇なのか?

今回は2010年に向けてのAndroidの展望についてお話します。

人気者になれるのか?

最近Android周辺が少しずつ賑やかになって来ました。

最近、Camangi Japan株式会社からAndroid OSが搭載された7型タブレット端末「WebStation」が発表されました。一昔前であれば、こうしたタブレット型のモバイルインターネットデバイス(MID)には、OSにLinuxかWindows Mobileが搭載されていましたが、最近はAndroid OSが搭載され始めています。

図1 WebStationのホームページ。ビッグローブのAndroid専用サイト「Andronavi」のモニター端末として使用される。
図1 WebStationのホームページ。ビッグローブのAndroid専用サイト「Andronavi」のモニター端末として使用される。

Android OSが使われ始めた理由

なぜ、Android OSが使われ始めたか考えてみます。

最初に考えられるのは、ロイヤリティが不要で、多くはApache 2.0のライセンスに準拠していることが上げられます。これはわかりやすい理由で、デバイスの販売価格にも関係します。メインでなく、補完的な役割が多いMIDの場合、メインPCのように、多くの費用をかけられないので、価格は重要な要素となり、購入の際にも大きなウエイト占めているはずです。しかし、ロイヤリティで言えば、フリーを武器に世界を席捲しているLinuxも同様です。

Android OSのアーキテクチャ

では、なぜAndroid OSなのか?を考えてみます。

1つ考えられるのが、ハードウェア層とソフトウェア層を上手く分離して、それぞれの開発に専念し易くなっている点が挙げられます。上手く分離するために、OSとアプリケーションの間に、仮想マシン「Dalvik」を設け、アプリケーション側から見れば普通のOS、ハードウェア側から見ると仮想マシンに見えるように、巧みに抽象化されています。それぞれ、開発エンジニアは異なるので、上手く機能すれば開発効率が格段に向上するはずです。

筆者は、Android向けのアプリケーション「NetaShare」を開発していますが、正にこの印象で、こうした端末のアプリケーション開発では、所々でハードウェアの差異を気にする必要があるのですが、仮想マシンがハードウェアを上手く抽象化しているためか、ハードウェアを意識することが少ないと感じています。

図2 Andoridのアーキテクチャは、developer.android.comで詳細に解説されている。興味のある方にはぜひご覧いただきたい。
図2 Andoridのアーキテクチャは、developer.android.comで詳細に解説されている。興味のある方にはぜひご覧いただきたい。

Dilvik≠Java VM

そのDilvikは、Java VMと紹介されることがあります。

これは間違いです。開発言語がJavaを用いているだけで、いったんJavaコンパイラでクラスファイルにコンパイルして、コンパイルしたクラスファイルをDalvik実行形式にリコンパイルすることでDalvikで動作するようになっています。また、Java VMとは異なり、ジャストインタイムコンパイルをサポートしていないのが特徴です。話が逸れましたが、MIDでAndroid OSが使われるようになったのは、このDilvikも一役買っているのは間違いないはずです。

GUIはどうなってる?

次に、タッチスクリーンでの操作に対応したグラフィカルユザーインタフェースの存在が考えれます。たとえば、ノキアのN900に搭載されているMaemo(Debian GNU/Linux ベース)は、iPhoneのような宝飾品のようなユーザインタフェースで、トレンドのタッチ操作やズームインタフェースを備えていますが、ようやく搭載された端末が登場したところで、多くの実績がありません。

オープンソースのウィンドウマネジャーを利用することも考えられます。

秀逸なものが多いのは間違いありませんが、GTK+、Qt、Xlibなど選択肢が多いが仇となって、バラバラでわかりづらいと印象を受けてしまいます。また、これらの中には、高解像度の画面と入力デバイスにマウス・キーボードを想定しているものが多く、タッチ操作で使うとユーザインタフェースのオブジェクトが小さく慎重な操作が求められます。その結果、ユーザはストレスを感じながら使うことになるので、ユーザインタフェースを再構築したり、チューニングする等の手間をかける必要が出てきます。

その点、Androidは、低解像度のタッチパネルと数個のハードボタン、タッチ操作を前提としてグラフィカルユーザインタフェースがデザインされているので、MIDのようなデバイスではストレスを感じることなく使うことができ、多くの手間をかけることなく製品化することができます。

Android Marketの魅力

最後、標準で添付されているアプリケーションやAndroid Marketも見逃せません。

Webブラウザやメールなど、モバイルデバイスに最適化されたアプリケーションが揃っている点や、Android Marketには、1.6万本のアプリケーションが登録されており、これも理由の1つに上げることができます。

皆が同じになる不安が…

ケータイ以外でAndroid OSが使われて始めたと言っても、人気者への道はまだ険しく、リリースされているのはものの多くは、現状から電話機能を除いてリリースしている物ばかりです。

一定品質をクリアした上で、安価であることは意味がありますが、烏合の衆では、プラットホームの魅力向上には繋がりません。かつて、Pocket PCのiPAQがヒットした時に、劣化コピーが急速に増えたことがありました。時代の潮流も関係していますが、結果、プラットホームの魅力を押し上げることはなかったので、多くのバリエーションが存在して、様々にニューズに答えてくれる、特徴的なデバイスが我々の掌に収まり、真の人気者になってくれることを期待します。

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