Drastic? Dramatic? Tumblr!!

第4回 Tumblrの世界にハマる―ReBlogの使い方とソーシャルネットワークの活用

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B面:ソーシャルなつながりツールでもあるTumblr/中野宗

海の向こうには,Internet ArchiveのText ArchiveAmazon.comのSearch Inside the BookそしてGoogle Book Searchなど大掛かりな書籍のデジタル化プロジェクトがあります。以前,こういう動きがもたらす変化について⁠books read one another(本が本を読む)⁠という表現で洞察している人がいました。

本の電子化の「あちら側」 - bookscanner記

> まぁ,まだまだ原始的な段階だろうけど,電子図書館ってのは,本が本を読んでいるんだよね。そんで,人間の脳なんてものとは関係なく,作業を進めているんだよ。

情報にちゃんとした意味づけ(セマンティクス?)が具備され,情報と情報が勝手につながっていき自己組織化がはじまるようになる? 情報技術の未来はすごいことになりそう。

なぜこの話を冒頭に持ってきたかというと,ぼくはTumblrのDashboardを眺めていると,写真やquoteたちが勝手に感応しあい自律的にチェーンをつくっているような錯覚に陥ることがあるからです。

袖触れ合い,横目で見合うネットワーク

でもポストやReBlogは人がやっているもので,そこにはわずかでもパーソナリティが滲み出しています。だからTumblrのDashboardは,どんなに希薄ではあってもやはりソーシャルネットワークだと言えるのです。

nakano.tumblr.com

> tumblrユーザは「そんな不可視のメタデータでも人はネットで繋がりあえる」という衝撃の事実にぶちあたる。言外の意味による高度なコミュニケーションはとても日本的であり,tumblrが日本人受けする理由もそこらへんにあるんだと思う。

(ReBlogが繰り返されていて引用部分をどなたが書いたのかわかりません。⁠自分だよ」という人,よければ修正するので連絡ください)

ぼくはこれをReBlogしつつ「袖触れ合ってる」とコメントしました(⁠⁠袖触り合うも多生の縁」から⁠⁠。これはリアルでいえば,中古CD屋で同じジャンルの棚を漁っている他人を横目で見るぐらいの感覚に近いかも。Dashboardでの人との関係はこのように,ノンバーバル(非言語的⁠⁠,暗示的と言えそうです。

Tumblrでは他人をFollowできるけど,mixiの「マイミク」のように相互承認による友達機能ではありません。followは『RSSリーダーに登録する』だし,removeは『RSSリーダーでの購読を辞める』ぐらいでしょ。⁠otune氏)というのがまっとうな感覚だと思います。

nakano.tumblr.com

> it’s like myspace for independent minds. we’re not messaging each other, we’re bearing witness to each other’s lives. it’s like how good relationships are about turning outward rather than to each other.

“ミニサイズのブログ+スクラップ帳⁠的に使いこなす守旧派が根強い英語圏でも,このSam Reich氏のようにTumblrに生まれた新しいソーシャル性を見抜いている人はいます。⁠Tumblrは)独立心を持った人のためのMySpaceだ」⁠メッセージを送り合ったりしない代わりに,互いの生活を目撃し合う」⁠関係は二者間でなく,外に向かっている」⁠いずれも超訳)という表現は,実に的確だと思います。

Dashboardの雑音を聞き分け,偶然を目撃する

Dashboardを流れてくるのは,自分がFollowしている人たちがいろんな強弱レベルで感応しキャプチャし得た写真やquoteたちです。Twitterユーザのさえずりを「生活雑音」ネットを介した生活雑音Twitter - REstructuringと表現した人がいましたが,TumblrのDashboardでは,ユーザは砂の嵐の中で⁠見分けることができた⁠ものをReBlogしていくのです。ショーウィンドウを眺めたら自分の欲しいものだけが目に飛び込んできた,そんな選択行為です。皆が感応(ReBlog)し,繰り返し流れてくるアイテムを何度めかでReBlogしてしまうこともあります。反復にはきっと意味があると感じるからかもしれません。

2人のポストが楽しいチャット風になっている様子を目撃したり,1人遊びを覗いたりといった偶然も起こります。

見通しが悪いコミュニティの“あたたかさ”

あるブログ記事のはてブコメント欄にあったほとんどのサービスで繰り返されてきたことだけど,この手の『検索システムが整備される前の,私の大好きなあったかいコミュニティ』状態というのは,Tumblrのコミュニティとしての魅力についてもあてはまる良いフレーズです。

何人のユーザがいて,つながりはどうなっていて,どんな話題で盛り上がってきたかなどが可視化されているSNSやネットコミュニティと比べて,TumblrのDashboardは恐ろしく見通しが悪い場だといえます。歴史や物語が積み重なっていくようにも見えません。時折⁠歴史的⁠なコメント付きquoteが掘り起こされたとしても,それはすぐ流れてしまいます。

が,見通しが悪い場は単純性を保ち続けることができ,新参者には優しいのです。いや正確にいえば,冷たくはないだけで優しくもないのかもしれませんが。

このようにTumblrは,普通のSNSなどと比べると異色ではあるものの,ユーザーのつながり欲もちゃんと満たすことができるサービスなのです。

次回はいよいよ最終回。Tumblrの⁠万能ナイフ⁠⁠,ReBlog機能のすごさについて語ってみます。

著者プロフィール

ふじかわまゆこ

2000年よりフリーランスでWebデザイン,(X)HTML/CSSマークアップ,Webディレクションなど,Web制作全般の業務に携わる。2007年4月よりWeb制作ユニット「#fc0(エフシーゼロ)」を結成し、主に中/小規模のサイトの企画から制作までを請け負う。1990年よりネット上でのコミュニケーションを通じた人との出会いに関心を持ち,探究しつづけている。WebSig24/7モデレーター。

Twitterhttp://twitter.com/fuuri/

Tumblrhttp://mayunezu.tumblr.com/


中野宗(なかのはじめ)

株式会社アークウェブ取締役副社長/CMO(最高マーケティング責任者)。Webプロデューサー。

オープンソースのECサイト構築ソフトウェアの日本語化プロジェクト「Zen-Cart.JP」の立ち上げ,Web制作者コミュニティ「WebSig24/7」モデレーター,Web屋の“楽しい”社会貢献を志す「WebSigエコ&ピース」代表。最近では自社のTwitterのマッシュアップサービス「ecoったー」「necoったー」や,社会貢献型サービス「Miqqle」の企画など。

個人ブログ:du pope : NAKANO Hajime’s Blog