2015年9月に最初のサービスである
国内での地位を固める一方で,
しかし国内で成功したビジネスモデルをただ海外に展開するだけでは,
ソラコムはメンバーが世界中で活躍できる「疎結合で非同期なチーム」
- ――ソラコムのCTOである安川さんが米国に移住すると聞いたときはずいぶん驚いたのですが,
まずは渡米に至ったきっかけを教えてもらえるでしょうか。 安川:ソラコムが最初にグローバル展開を開始した2016年の段階から,
イノベーションが世界でいちばん最初に始まる場所, つまり米国に拠点が必要だということは玉川 (ソラコム 共同創業者 兼 代表取締役社長 玉川憲氏) ともつねに話してきました。我々のゴールはソラコムを世界中で使ってもらえるプラットフォームに成長させることで, そのためにはつねにチャレンジする文化が根づいている風土の中で, 最先端のトレンドに触れながら新しいものを生み出していくアプローチが不可欠だという結論になり, 開発の責任者である私が行くことになったんです。 - ――安川さんが日本を離れてしまったことで,
重要な決定やコミュニケーションに支障が出たりすることはありませんか。 安川:ソラコムはもともとメンバーがあちこちに分散して働いている"疎結合で非同期なチーム"なので,
全員が同じオフィスで同じ時間帯に仕事をする文化はありません。だから米国にいても日本のメンバーとの間で齟齬が生じることはないですね。コミュニケーションもSlackなどでつながっていれば問題ないですから。 - ――現在はシアトルのオフィスで川本さんと一緒に働いていると伺っていますが,
赴任当初はシリコンバレーにいらっしゃいましたよね? 安川:最初はFacebookの本社にも近いメンロパークにいたのですが,
シアトル在住の川本に強く誘われて, いまでは私もシアトルにいます。川本が北米の事業責任者としてソラコムにジョインしてくれたことは, 我々の海外展開にとっても大きな分岐点でした。 - ――川本さんがソラコムにジョインすることを決めた理由を教えてもらえますか。
川本:私はもともとAWSで7年間働いていて,
玉川や安川とはAWS時代の同僚でもあります。AWSでは東京リージョンの立ち上げ (2011年) に関わったあとに米国本社 (シアトル) に移り, その後はAmazon EC2やデータベースビジネスを担当してきました。私はどちらかというと 「0から1を作り出す」 よりも 「1を100に拡げる」 ほうが得意で, AWSでも立ち上がったサービスを大きくすることにフォーカスしてきたんですが, 7年も経つとさすがにAWSでできることはやり尽くした感があったんですね。そろそろ新しいことにチャレンジしたいと思っていたタイミングで, 以前から誘ってくれていたソラコムからの申し出を受けることに決めました。 最終的に入社の大きな決め手となったのは,
開発責任者の安川がすでに米国にいたことですね。ひとりで海外法人をドライブするのはさすがにきつかったと思います。米国でのトレンドやユーザの動向をリアルタイムで開発チームにフィードバックできる体制が最初から用意されていたことは私にとってもありがたかった。だから強引に安川をシアトルに引っ張ってきました (笑) もうひとつの大きな理由はソラコムがすでに日本のテクニカルプラットフォームとして成功していたことです。日本発のプラットフォームをグローバルに拡大していく,
その最初のステップとしてシアトルからチャレンジしてみることに可能性を覚えました。 安川:ソラコムが米国でのビジネスにチャレンジするには,
現地の事情に精通しつつも日本の文化やビジネスを理解している人材がどうしても必要で, 玉川とも 「もう北米のビジネスを任せられるのはユージーン (川本氏) しかいないよね」 とよく話していました。日米両方の市場を理解している人材はそうはいないですからね。