インタビュー

不動産業務支援システム「いえらぶCLOUD」がRPAサービスをリリース~業界が抱える課題解決を目指す不動産テック最前線

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簡略化が難しい,物件情報登録の定型業務

松木氏:

大手不動産ポータルサイトを閲覧すればイメージが湧くと思いますが,登録作業をなかなか簡略化できない理由に,1件の物件情報だけでも多種多様な掲載事項がある点が挙げられます。

物件名,沿線情報,最寄り駅からの徒歩時間,建物の構造といった基本的な情報もあれば,セールスポイントになりやすいオートロック,日当たり,ペット可,2人入居可といった設備条件など,掲載させる情報は多岐にわたります。

また,物件が賃貸か分譲かでも,さらに入力項目は細分化されます。

仲介会社様は,物件1件あたり何百項目もの入力情報を用意して対応しなければならず,業務支援サービスへの登録作業の簡略化がなかなか難しい,といった背景があります。

小玉氏:

さらに同じ物件でも,不動産会社様の特色によって,公開される情報にバラつきが生じることがよくあります。

例えば,ファミリー向け物件を多く取り扱う仲介会社様では,ファミリー層に受ける「学区」「公園」の情報を入力項目として設けることがあり,入力情報の細分化につながります。

課題を認識していても定型業務簡略化に注力できない背景とは

小玉氏:

課題として取り上げられても,不動産業界が煩雑な定型業務をなかなか解消できない要因に,不動産業界における中小企業の割合の高さや,ITや業務支援システムの普及率の低さがたびたび指摘されます。

株式会社帝国データバンクから提供された「不動産業界主業態の売上高別割合」によると,売上高が1億円以下の規模である中小企業の割合は,75%以上と圧倒的です。

また当社では,株式会社ビズオーシャンの施策機能を活用して,全国の不動産会社に向けてに「ITや業務支援システムの導入状況」に関するアンケートを行っています。

 自社業務におけるITや業務支援システムの導入状況
(4/1~5/18時点実施中,速報値,一部抜粋)

自社業務のIT活用状況割合n=215
とても活用している10.2%22
まあまあ活用している38.6%83
あまり活用されていない37.7%81
まったく活用されていない13.5%29

ITツール活用状況割合n=215
Excelなどパソコン付属ソフトを活用48.4%104
とくに活用していない(電話・紙・FAXが主体)32.1%69
不動産業界向け業務支援システムを導入15.3%33
セールスフォースなど業務システムを導入4.2%9

従業員数割合n=215
1-9名83.3%179
10-49名8.8%19
50-99名2.8%6
100-299名2.8%6
300-499名1.4%3
500名以上0.9%2

「自社業務のIT活用状況」については,活用している/活用されていないの回答割合は半々と拮抗していますが,⁠ITツール活用状況」の回答結果を確認すると,Excelなどの簡易的なツールで物件情報を管理している企業が大半で,業務支援システムを導入している割合は20%以下です。

また,いまだに紙やFAXベースで業務をこなしている企業の割合が,32.1%もあります。

アンケート対象とした企業の内,83.3%が従業員数10名未満,50名未満も含めると90%を超えます。中小・零細不動産会社はITリテラシーの高い人ばかりとはいえず,日常業務がある中では社員のITリテラシーを上げるために教育コストを割くことも現実的には難しいです。

なかなかIT活用が普及しない不動産業界の実態や課題を表しているといえるでしょう。

著者プロフィール

酒井啓悟(さかいけいご)

株式会社技術評論社クロスメディア事業室所属。

1986年生まれ。富山県富山市出身。2011年4月株式会社技術評論社に入社。書籍編集部を経て,現職。電子書籍,オーディオブックなど,出版業界に訪れる新しいジャンルの市場の成長に関わっていくことが当面の目標。

サッカーとねこが好き。

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