1月26日、このほどGoogle日本法人の社長に就任した新社長の辻野晃一郎氏と、同じく製品本部長に就任の徳生健太郎氏による記者会見が開かれ、2009年に向けての同社の方針などが語られた。
辻野氏はまず、Googleのグローバライゼーションが新たなフェーズに入ると語った。10年前の誕生から2008年までは、米国本社を中心とした統一したサービスを進めており、各地域の法人はおもに翻訳などを中心に米国の提供するものをそのまま広げるような業務に徹してきたが、これからは「フェーズ2」として、現地法人独自の色を出していくとのこと。
この方針はこれまでの「フェーズ1」と呼べる方針に矛盾するものではなく、統一的な方針で築き上げたシステムの上に成り立つもので、背景にはGoogleの収益事情も関係している。これまで米国中心の収益構造だったのが、徐々に世界各地での収益が伸び、2008年には米国以外の売上がついに50%に達した。こうした状況をふまえ、日本でも独自のサービスやシステムを提供していくとのこと。また合わせて、これまで弱かった対外的なアナウンスも積極的に行う姿勢を示した。
そして日本法人の2008年については「良い年だった」と振り返った。検索サービスについては、パートナーのBiglobe、Nifty、Gooとともに伸び、携帯、モバイル検索が非常に伸びた。広告面ではAdSense for Mobileが成功を収めた。
またストリートビューについては、さまざまな問題については認識しているとしながらも、Google Mapの技術としては認められ、ビューが飛躍的に伸びた。今後も寄せられる意見は真摯に受け止めていきたいと結び、指摘されている問題についての直接の言及はなかった。
YouTubeは2007年6月に日本語化し、2008年は米国に次いで2番目に日本の利用率が高いサービスとなっている。モバイルのYouTubeも大きな伸びを見せた。今後はYouTubeのビジネス展開についても積極的に行っていくとのこと。こちらも、これまでは著作権関係の合意を取ることに注力してきた経緯があり、ビジネス化を「フェーズ2」と位置付けている。
最後に、世界的な不況の中、同社の収入源である広告ビジネスの今後について、ワールドワイドで成長は鈍っていることを認めた。ただ、広告市場の母体は成長しており、この経済状況下ではうまくいっていると評価している。ただし競合は激しいので、現在の主力であるアドワーズ、アドセンスに加えてもう1つ何か柱を作りたいと語った。これについてはよくウェブマーケティングで言われるAISAS(アイサス=Attention/注目、Interest/関心、Search/検索、Action/行動、Share/共有) のうち、これまでは3番目のSearchに注力してきたが、先の2つ(Attention、Interest)についてもこれからはフォーカスしていきたいとのこと。
続いて、これまで製品本部長を務めてきた辻野氏の後任として米国本社から「呼び戻した」という徳生氏が説明に立った。徳生氏は、日本法人の新たな戦略に乗って展開していく具体的なサービスをいくつか紹介した。まず、日本のユーザのためのサービスとして、YouTubeを使った日本独自のプログラム、モバイルコンテンツ、オリジナルのデバイスに特化したサービスを提供することを説明。次に日本から世界へ発信するアイデアとして、地図上で店の検索をした際に、店の雰囲気やメニューなどのビジュアル情報を自動的に検索ワードにマッチした形で集めて表示できるサービスを紹介。またGmailで使用可能となった絵文字は、今では海外でも「EMOJI」として定着し、42言語で展開、若年層の人気を得ているとのこと。またVodafoneをはじめとする海外の複数の携帯ポータルに携帯検索技術の提供を行っている点も紹介された。
そして同社のミッションとして「世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスして使えるようにすること」を挙げ、この目標のためにGoogle Apps、App Engineなどのクラウド技術、OpenSocialといった標準化技術を活用していきたいという抱負を語り、話を結んだ。
最後にYouTube日本、アジア太平洋地域のプロダクトマネージャーをつとめる徳生裕人氏から、オバマ大統領の選挙活動におけるYouTubeの利用を例に、大規模なムーブメントを起こすYouTubeの活用法についての紹介が行われた。