6月2日、( 株)日立製作所は、同社の統合システム運用管理ソフト「JP1」の3年ぶりの新バージョンJP1 Version 9を発表した。
JP1は、複雑化するシステム運用を統合して管理することができるミドルウェア。「 モニタリング」( 統合管理など) 、「 オートメーション」( ジョブ管理) 、「 ITコンプライアンス」( セキュリティ管理など) 、「 ファウンデーション」( ネットワーク、ストレージ、サーバ管理)の4つの製品群に分かれており、それぞれWindows、UNIX(AIX、Sorlarisなど) 、Linuxプラットフォーム版がラインナップされている。これまで3年ごとにメジャーバージョンアップを行っており、今回のバージョンも予定通りのリリースと言える。
新バージョンVersion 9の特長は、いま企業システムにとってもキーワードになりつつあるクラウド、そしてその基本技術としての仮想化に対応したことで、仮想化によって管理業務的には複雑になるシステムもシンプルに管理できる。サービスレベルは維持したまま、管理コストを削減できるとのこと。なお、対応している仮想化ソフトウェアはVMware ESX-Serverで、さらにMicrosoft Hyper-V、および日立のVirtageにも間もなく対応の予定。
コンセプトは「Flexible & Smart」
Version 9のコンセプトは「Flexible & Smart」 。Flexibleとは、システムの拡大や縮小といった変化に合わせた柔軟な運用と無駄のないリソース配分、Smartは、おもに操作面でのわかりやすさを追求し、シンプルな運用を可能とすることを指す。このコンセプトの元、とくに「モニタリング」と「オートメーション」の性能、操作を重点的に強化した。
「モニタリング」においては単なる仮想環境の管理を一歩進め、仮想環境のコンピュータリソースと物理構成の両方を確認しながら、最適なリソース配分を行い、急激な構成変更にも対応する。またシステムの大規模化、あるいは縮小化する場合にも柔軟に対応可能。
仮想環境を業務視点で表示、監視することが可能
稼働状況も部署ごとにビジュアル表示
また「オートメーション」では、ジョブ管理機能をリニューアル。JP1/AJS2からJP1/AJS3に進化した。AJS3では、前バージョンに比べてジョブ起動時間が10分の1に短縮されたという(8多重=8コアでの起動) 。運用メニューをカスタマイズすることで入力項目を減らしたり、役割に応じたメニューを用意できるなど操作性も大きく向上している。
JP1製品発表会で製品の概要と戦略について語る 同社ソフトウェア事業部長 坂上秀昭氏
JP1製品発表会においてVersion 9の目指すコンセプトについて説明する同社システム管理ソフトウェア本部長 石井武夫氏
同じく発表会において、新バージョンの強化ポイントを解説する同社JP1マーケティング部 主任技師 更田洋吾氏