「オフシーズンのない卓球はつねに自分と相手の研究を続けていかなければならない世界。海外への遠征も多く、コーチや家族と離れる時間も長い。そうした環境においてシスコの技術でサポートしてもらえることは自分にとって大きな武器になる」―12月5日、シスコシステムズは卓球の世界ランカーであり、2020年の東京オリンピックでの活躍が期待されるふたりのアスリート―石川佳純選手、そして張本智和選手とアスリートアンバサダー契約を締結したことを発表、会見には石川佳純選手が登場し、「シスコ アスリートアンバサダー」としてシスコに期待する思いを先のようにコメントしています。
世界最大のネットワーク企業であるシスコは、2012年のロンドンオリンピック、2016年のリオデジャネイロオリンピックにつづき、2020年の東京オリンピックでもオフィシャルパートナー企業として開催期間中のネットワークを大々的に支援する予定です。また、シスコはここ1、2年、IoTやデータ分析技術をベースにスポーツ&エンターテインメントビジネスをグローバルで積極的に展開しており、世界35ヵ国以上の300を超すアリーナやスタジアムがシスコのソリューションを導入しています。こうした流れから同社は2020年に向け、「All Connected. Anything Possible.(すべてをつなぎ、何もかもを可能にする)」というビジョンを掲げ、「日本社会のデジタル変革、さらにスポーツアスリートの闘い方変革をサポートし、同時にシスコのブランド価値を向上させていく」(シスコシステムズ 代表執行役員社長 鈴木みゆき氏)という戦略を展開していくとしています。石川佳純と張本智和という日本卓球チームのエース的存在のアスリートとのアンバサダー契約を通して、彼らのトレーニングやコミュニケーションを最新テクノロジでもって支援し、スポーツビジネスの変革に貢献しながら、シスコというブランドをIT業界以外にもひろく周知する狙いがうかがえます。
では具体的に、シスコは両選手をどのようにサポートしていくのでしょうか。会見では石川佳純選手が卓球のラリーをしているところを、シスコのコラボレーション製品である「Cisco Spark」を使い、遠隔地にいる石川選手のお母さん(コーチ)とリアルタイムに動画共有するデモンストレーションが行われました。。
ラリー中の打球の速度やコースをトラッキング/視覚化したデータをその場で共有することもできるので、遠征中であってもリアルタイムな作戦会議が可能になります。石川選手は「自分の現在の状況が数字としてすぐに出てくることは、自分自身のレベルアップに大きくつながると思う」と語っており、とくに卓球にとって重要であるコース取りの分析に貢献してくれることを期待しているとしています。なお、打球のトラフィッキングに関しては、データスタジアムの技術協力のもとに行われています。
「遠征の多い選手が、簡単に安全につながるしくみを提供していきたいと考えてきた。Cisco Sparkは、つなぎたいモノやヒトを確実につなぎたい場所へとつなげる技術。アンバサダーを通じて、アスリートのトレーニングプランやゲームブランにも最新テクノロジの活用が有効であることを示していきたい」(シスコシステムズ 専務執行役員 鈴木和洋氏)
東京オリンピック開催まで1000日を切り、石川選手や張本選手への期待も日に日に高まっています。米国や欧州ではすでにスポーツ×ITはビジネスとして確立されており、野球やアメリカンフットボール、サッカー、モータースポーツといった分野でリアルタイムなビッグデータ分析が日常的に行われています。こうしたグローバルの潮流に日本のアスリートたちも対応していかなければ、勝ち続けていくことは難しい時代に入っています。日本を代表する若いアスリートの闘い方がオリンピックまでにテクノロジでどう変わっていくのか、これからのふたりの"闘い方"に注目が集まります。