GitLab、リモートワークの最新調査を公表「リモートは未来の働き方ではなく、未来の生活」 —⁠—リモートワーカーが在宅勤務のメリットを評価。課題も捉える

DevOpsライフサイクルに対応するオールインワンアプリを提供するGitLabは、完全リモートワークを実施している企業です。GitLabのリモートワークについては、リモートマニフェストその資料にて確認できます。

またGitLabでは、リモート文化の創造における課題と解決策を共有することにより、他の企業が未来の働き方を受け入れるきっかけとなるよう、研究調査を行っています。

そして今回GitLabは、リモートワークに関する最新レポートOut of the Office: How the world adapted to working remotely in 2020を公開しました。コロナ禍によっていかにリモートワークをめぐる状況が形を変え、職場に柔軟性を持たせる流れが加速されたことを明らかにしています。

このレポートは、200人を超える世界中の社会人を対象に、3か月間にわたって調査を実施したものです。バイアスがかかっていて、回答者の84%が専門的なサービスとテクノロジーを用いる業務に従事しています。しかしながら、これまでの定量的な調査からは見られなかった、新しい洞察が得られました。

なお、2020年3月にコロナ禍によって世界的なロックダウンが実施される数日前に発行されたレポートThe Remote Work Report: The Future of Work is Remoteに対する追跡調査でもあります。

リモートワークはもはや特別な福利厚生ではなく基本要件に

GitLabでリモート統括責任者を務めるDarren Murphは、次のように述べています。

「近代史を通して、我々は仕事という固定された枠の中に生活を当てはめてきました。しかしリモートワークを競争戦略として取り入れることで、仕事で生活を補完するという素晴らしい調和をもたらすようになるでしょう。本レポートにあるとおり、この事実に気付き、職場と成果を切り離すことについて考え方を変える企業が増えています」

今回の調査に対する回答者の4人に1人が、リモートワークの最もうれしい恩恵として「時間が増えた」ことを挙げています。また3人に1人が、これまで通勤にかかっていた時間を家事に費やすことや、家族とより多くの時間を過ごすために使うようになったと回答しています。

働く人が生活様式を見直した理由は、お金の節約(12%⁠⁠、住環境の改善(9%⁠⁠、生産性の向上(12%)で、これらはリモートワーク推進における重大な懸念事項ではないことを示しています。

企業におけるリモートワークのサポートは、従業員の定着率向上につながります。事実、GitLabが収集したデータから、会社への忠誠心とリモートワークのサポートの間には極めて大きな関連性があることがわかります。

「リモートワークのサポート」を理由に現在従事している企業にとどまる可能性が高いかどうかについて、回答者の74%が「ある程度」または「非常に」その可能性が高いと答えています。

GitLabのCEO兼共同創業者であるSid Sijbrandijは、次のように述べています。

「コロナ禍によって多くの企業でリモートワークの導入が加速しましたが、コネクティビティ化と業務のデジタル化への流れが企業の素早い方向転換を可能にしました。今後、リモートワークをライフスタイルの必須条件としてではなく、特別な福利厚生として捉えることはなくなるでしょう」

コロナ禍がリモートワーカーの新たな波を生み出した

パンデミック中に初めてリモートワークを開始したとする回答者の割合は56%に上ります。それにもかかわらず、外出制限が解除されたら職場に戻りたいかという質問に対し「戻りたい」と答えたのは、わずか1%でした。

長引くコロナ禍の影響で、それらの従業員は今や自らをリモートワーカーだと「自認」するようになっています。自認することで、より積極的な会話や、各地に分散したチームの結束を強固にするワークフローを取り入れることへの意欲が高まります。

リモートワークは、フリーランスやクリエーター、起業家の間ではすでに中心的な勤務形態でしたが、コロナ禍によって職場と成果を切り離すことへの考え方が広く知られたことで、企業でも主流へと押し上げられつつあります。

最も重要なことは職場では手に入らない

住む場所を選ぶ際に最も重要な事柄は何かという質問で、回答者の半数近く(47%)「自然とアウトドアスペース」を優先事項の1つに挙げています。また、34%は「快適なホームオフィス環境を持つ価値」を挙げ、25%は「家族の近くで生活すること」が重要だとしました。ほかにも28%が、より自然の近くや温暖な場所、好ましいコミュニティに転居したいと答えています。

非常に多くの企業が社食やジムといった職場での特別な福利厚生に多額の予算を割いている中、そうした福利厚生を惜しむ声を上げるのは、回答者のわずか5%にすぎません。

リモートは未来の働き方ではなく、未来の生活

回答者の37%が、家族やコミュニティとより長く過ごすために生活を最適化したと答えています。また、30%はアウトドアまたは運動と健康を優先事項に挙げ、26%は日常の時間をより多く取り戻すためにスケジュールの合理化を図っていると回答しています。

この結果から、リモートワークが未来の「働き方」というよりはむしろ未来の「生活」だという、微妙に異なる現実が見えてきます。リモートワーカーが評価するのは、仕事を生活のスケジュールに合わせることのできる 柔軟性であり、その逆ではありません。その選択性を評価するうえで、多くの人は自ら動く必要がないためです。重要なのは、リモートワークによって日常がより管理しやすいものとなることです。小さなQOL(生活の質)の調整を積み重ねることで、最終的にライフスタイルが大きく向上します。

リモートワークのリーダーに求められるのは実用主義を取り入れ、政治的駆け引きを控えること

一連のさまざまな回答から、リモートワーカーが期待しているのは、自分たちが責任を持って仕事上の目標を達成するための柔軟性であり、確実なコミュニケーションであり、信頼であることがわかります。

リモートワークでは、称賛や昇進における対面での政治的駆け引きの重要性が低下し、出勤時間や退勤時間の意味も弱まります。むしろリモートワーカーは、各自の成果だけを見て判断されることを求め、評価プロセスから偏見が取り除かれることを期待しているのです。

仕事と生活の境界線が複雑な課題に

リモートワークを検討している人にどのようなアドバイスをしたいかという質問には、回答者の77%が次の4つの回答に集中しています。

  • 境界線を設定すること(25%)
  • 集中力と生産性を維持すること(20%)
  • 心身の健康を守ること(23%)
  • 個人の優先事項を一番に考えること(9%)

昨今業界を超えて燃え尽き症候群の発生率が高まっており、働く人の多くがリモートワーカーになりつつあるという事実からわかることを踏まえると、この結果は、私たちが直面している最大の課題の1つが健康を考慮して仕事と生活の境界線を設定することにあると示しているとも考えられます。

文化を構築するには対面での関わりが不可欠

回答者の65%が、リモートワークによってチームワークに良い影響またはそれなりの影響があったと回答していますが、25%は悪い影響があったとしました。また過半数(57%)が、従業員が直接集まる職場環境での社会的交流がないことを残念に感じています。さらには、チームとして連携する際の妨げとなる課題も存在します。

リーダーは、コワーキングスペースなど(職場でも自宅でもない)第三の場所で働いている従業員をサポートするとともに、結束を固め、計画を立てるためにチームを招集することを目的とした通勤の予算を戦略的に立てるべきかもしれません。従業員にとって通勤が、義務的な行為から嬉しい福利厚生へと変わるでしょう。

リモートワークのエキスパートでさえ、すべての答えを持っているわけではない

今回の調査では回答者が自分の言葉で答えることができるように自由回答欄を設けました。それから得た教訓は、驚くべきものでした。パンデミックは間違いなく未曽有の状況です。リモートワークの歴史も浅く、こうした誰も経験したことのない状況下で人々がどのように回答するかを予測することはできません。教訓を得るには、新たな質問をし、未知のことに対する余地をつくる必要があります。

Out of the Office: How the world adapted to working remotely in 2020 - GitLab
URL:https://about.gitlab.com/out-of-the-office/

※この記事は、GitLabのプレスリリースを基に、構成を変えて編集したものです。

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