2月19日、東京大手町のパソナグループ本部において、パソナテック主催による技術カンファレンス「Devcon2011 Vol.2 卯年に跳ねるのは何? 2011年のWebサービスと技術を大展望」が開催されました。本カンファレンスは、Webサービスの最前線で活躍していたいと考えているデベロッパを対象として、2010年に注目されたWebサービスの技術的なポイント、エンジニア視点から見た押さえどころを中心に、2011年の業界動向を展望する内容となりました。ここでは、最初のセッションとなったロックユーアジアのCOOである石塚亮氏の講演の模様をお伝えします。
カンファレンスは、パソナテックの入江直樹氏による挨拶から始まりました。入江氏は「景気は上向きかけており、特にWebはさまざまに盛り上がってきています。本カンファレンスは、サービスや技術の動向を中心に、開発者が押さえるべきポイントを網羅的に解説するシリーズです。1月に続き第2回となる今回は、今年どのようなものがWebサービスにおいて重要になってくるのかを4名のスピーカーにお話しいただき、最後に全員でのパネルディスカッションを行います。そして、セッションを聞いて新しい仕事につなげていきたい、転職したいと思ったときには、ぜひパソナテックのサービス利用して欲しいと思います」と述べました。
ソーシャルアプリの特性をクリアするためにはDBアーキテクチャが重要
最初のセッションは、ロックユーアジア株式会社のCOOである石塚亮氏による「世界レベルのソーシャルアプリ開発のノウハウを大公開! ロックユーアジアが狙うソーシャルアプリ戦略」が紹介されました。石塚氏は、14歳の時に米国ボストンに渡り、2005年からシリコンバレーでIT系のスタートアップ企業を経て、2006年2月にはRockYou!の創業メンバーに加わっています。
RockYou!では、2005年12月にMyspace向けスライドショーアプリの提供を開始し、1カ月で100万人のユーザが利用した実績から法人化、現在は世界各国で10以上のSNSにアプリを提供しています。日本ではmixi、DeNA、ハンゲームにアプリを提供しており、Gree向けも開発中であるといいます。石塚氏は主にインフラ周りを担当するほか、チーフアーキテクトとしてシステム全体の設計を監督しています。
石塚氏はソーシャルアプリの特性として、「サービス当初から数千万から数億人規模の急激なトラフィックの増加があり、その上昇率は線形ではなく指数的であること」「アプリ内でのユーザの動作に合わせて平均毎秒55.5回の頻度でデータがアップデートされ、マスターDBがボトルネックになりがちであること」「ユーザの動向を常にモニタリングしてチューニングに生かしていくこと」を挙げました。これらの特性をクリアするためにはデータベースのアーキテクチャが重要であり、特にスケールアウトの容易さ、頻繁なデータアップデートの対応、膨大な量になるユーザ行動ログの収集・保存方法に注意すべきとしました。
RockYou!では、常にデータベースの安定化を目指し、格闘しており、アーキテクチャをアップデートしてきたといいます。その基準は「スケールアウトが容易か」「マスターサーバーへの書き込み負荷を軽減できるか」「SPOFはないか」であり、当初のマスター・スレーブ型からシェアード・アーキテクチャ、シェアード・アーキテクチャLookup併用型と変遷し、現在はデュアル・マスター・シェアード型に落ち着きました。これによって、mixiプラットフォームの公開当初はRockYou!のみダウンタイムが発生しなかったのです。
最後に、ロックユーアジアではPHPエンジニアを募集しており、その対象として「RockYouアーキテクチャに興味を持って大規模トラフィックへの対応のノウハウを学びたい方」「日本だけでなく全世界で利用されるアプリを開発したい方」「Hackathon制度を利用して自分でアプリの企画から開発までやりたい方」を挙げました。