世界で5000万人以上が利用する共同購入型クーポンサイトを運営する、グルーポン・ジャパンのCTO・山路昇氏のセッションの模様をお伝えします。
前週比が50%というペースで増加するPVをさばく!
グルーポン・ジャパン株式会社(グルーポン)のCTO・山路昇氏は、「グルーポンに見るフラッシュマーケティングを支えるテクノロジー」をテーマにスピーチをしました。山路氏は、日立造船情報システム、マイトリップ・ネット(旅の窓口)、楽天(楽天トラベル)、フォートラベルという職歴を経て、2010年10月にグルーポンに入社しました。グルーポンでは、サービス開発部で開発やインフラ、Webプロデュース部でデザインやユーザインターフェース、社内情報システム部で社内インフラを担当しています。
本社であるGrouponは2008年11月にシカゴで設立され、現在は世界38ヵ国に展開、さらに拡大中です。世界で5000万人以上が利用する、1日1エリア、1店舗限定で地域に特化したお得な情報を提供する共同購入型のクーポンサイトです。
日本では2010年6月にクーポッドとして設立され、10月にグルーポン・ジャパンに社名変更、12月には日本全国でサービスを展開しました。現在、日本国内に10の支店があり、さらに拡大を続けています。なお、日本向けのサービスはすべて日本で作られています。
山路氏が入社した当時は、グルーポンが日本で急激に成長と拡張を続けていた時期であり、PVの前週比が50%というペースで増加していて驚いたといいます。そして指令されたミッションは「何があっても落ちないようにしてください」だったのです。そこで山路氏はまず、現段階でのキャパシティとボトルネックを調査し、1ヵ月先にどこがボトルネックになるのかを予想、それに対して今すぐ必要なチューニングとさらに先を見据えてサーバの発注を行いました。
ApacheのチューニングとPHPの処理見直し、データのキャッシュなどによりWebサーバの負荷を下げ、アクセスをさばけるようにしました。すると今度はアクセス増によってデータベースサーバに負荷がかかり、MySQLの設定やSlowQuery、スキーマの見直しなどにより負荷を下げると、再びApacheが高負荷になるという繰り返しになりました。現在ではサーバも増強されていますが、やはり特定の時間帯にアクセスが集中する現実にはヒヤヒヤしているといいます。
というのも、グルーポンでは毎日12時にクーポンの販売を開始し、それに合わせて数百万通のHTMLメールを配信しているため、この時間帯は余計に負荷が高くなるのです。毎日のように対策を行って乗り切っても、翌日は乗り切れるかわからないという日々が続いたといいます。
また、社員の増強も実施され、2010年10月には250名だった社員数が年末には700名になり、つまり毎週70名増加する新入社員に対し、各自用のPCのセットアップや配送、アカウントの設定、配線、サポートなどの作業にも追われたといいます。現在は落ち着いてきていますが、それでも毎週数十名分の作業が発生しており、さらに先を見据えて効率化を進めながら対応しているとまとめました。