ET2009(組込み総合技術展)レポート

ET2009 横浜で開幕――Android開発、解析ツール、仮想化、USB3.0がキーワード

11月18日、パシフィコ横浜で「ET 2009」が開催された。国内外から384の企業、団体が参加し、組込み技術に関する基調講演、テクニカルセッション、セミナー、各社の製品・技術展示が行われる。スマートフォン、デジタル家電、オートモーティブ、エネルギー関係などエンタープライズ系の展示会とは違った活気にあふれるイベントといえるだろう。その中でエキシビジョンホールから、いくつかの展示を紹介する。

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アックス

組込みLinux、組込みBSDで有名なアックスでは、組込みシステム向けの仮想化ハイパーバイザである「蛍」の展示を行っていた。蛍は、アックスが開発したシングルコア対応のハイパーバイザだ。特徴はシングルコアのメリットを生かした、低消費電力と軽い実装だ。仮想化方式にはSMPを採用し、ゲストOSには、リアルタイムOSであるμITRONやAUTOSARをはじめ、Linux、BSD、Androidなどに対応する。サポートCPUはiA32、x86だが、ARM、MIPS、V850系への対応を進めているそうだ。

ネット端末化が進む携帯電話やスマートフォン、あるいは車載情報機器などにおいて、通信部分やコアな機能にリアルタイムOSを動かし、インターネット接続、ユーザーインターフェイスやアプリケーションレイヤのためにLinuxやAndroidを動かすような使い方が可能だ。

仮想化技術とアックス独自のスケジューリング方式によって、他方のゲストOSの障害が他方に及ぶことなく信頼性も確保されているそうだ。

そのほか、イーフローなどパートナー企業などとAndroid開発キットの展示などを行っていた。

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コベリティ

ソースコードの解析ツールで定評のあるコベリティでは、新製品となる「Coverity 5」のデモ展示を行っていた。新製品の特徴は、米国国土安全省(DHA)が公開しているソフトウェアの不具合や欠陥のガイドラインであるCWEに対応したコードチェックが可能になっていることだ。また、不具合についてマッピング情報を管理し、プロジェクトを超えたソースコードレベルの検出、修正が可能になっている。

あるソースコードに欠陥が見つかったとして、ソースコード内の同じコード、当該部分を呼び出している箇所やモジュール、さらに別プロジェクトのファイルに対しても、依存関係のマッピングを行い、修正管理を行ってくれるということだ。これによって、効率のよいデバッグが可能になる。

また、ダッシュボード機能では、各モジュールの開発の進捗状況やバグ密度(1000行あたりのバグ⁠⁠、バグや改修済みの推移グラフなどのレポーティング機能も充実している。

なお、ブース前には「バグ探しクイズ」のパネルが展示してあった。パネル上のコードのバグを見つけたらノベルティ(虫のおもちゃ)がもらえるそうだ。

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東陽テクニカ

今回の展示では、ソースコードの静的解析ツールのデモや発表が目立っていたが、東陽テクニカでは「アーキテクチャ解析支援ツール Structure101」を前面にだしてアピールしていた。これは、ソースコードの不具合や脆弱性を検出するだけなく、モジュールやソースコードの依存関係やプログラムの構造を解析して、グラフ化してくれるというものだ。

現時点では、作成された図やグラフに最終的な判断を下すのは人間に頼らざるを得ないが、仕様や設計どおりになっているかの確認やシステムの状態を把握するためのツールとしても使えるようだ。従来からの静的解析ツールでは、QA C/QA C++のデモも行っていたが、自動車関係の組込み機器のコーディング規約であるMISRAに対応したモジュールもデモされていた。MISRAモジュールによってQA C、QA C++の解析にMISRA-C:2004のうち125のルールへの適合性がチェックできるようになる。

東陽テクニカでは、単なる解析ツールからソリューションベンダとしてのビジネスにも対応していくとしている。

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