ボンジュールEuroBSDCon 2008─裏から見るEuroBSDCon

第2回カンファレンス/デベロッパーサミットの裏方

EuroBSDCon 2008が開催されたフランス、ストラスブールの名物お菓子。カンファレンス中にも振る舞われた。
EuroBSDCon 2008が開催されたフランス、ストラスブールの名物お菓子。カンファレンス中にも振る舞われた。

カンファレンスを開催するのは誰?

*BSDのカンファレンスでは、The FreeBSD ProjectThe FreeBSD Foundationにカンファレンスを開催するための特定の組織や部門があるわけではなく、各国の開発者やユーザが議論して運営に担当できる人たちが集まって委員会を作成し、カンファレンスの立案と運用を行っています。運用形式も担当組織もばらばらです。BSDCanのように特定の人物が運用の中心にいることもあれば、EuroBSDConのように毎年中心となる人物が代わることもあります。

ストラスブールの街。旧市街地はいたるところがこんな風景。
ストラスブールの街。旧市街地はいたるところがこんな風景。

カンファレンスを運用する場合、まず中心となる委員長がいて、その監督のもとで論文委員会、プログラム委員会、広報担当、運用担当などが設けられます。

現場の手配や運用、当日運営するためのスタッフの確保や指示などを担当する運用担当や、開催を伝えるための広報担当が必要なのはもちろんおわかりかと思います。送られてくる論文を監査して、採用するかどうかを決定する委員会も重要です。

開催委員会はカンファレンス以外にも、ソーシャルイベントの企画と運用や外食の手配、ホテルの案内、当日会場にやってくるユーザとの挨拶や案内など多忙です。しかしながら、実際に交流をもって新しい情報を得たり技術を磨けることは有益なので、各国で工夫してカンファレンスが立案、運用されています。

カンファレンス中、ロビーで談話する参加者たち
カンファレンス中、ロビーで談話する参加者たち

デベロッパーサミットやプロジェクトイベントを開催するのは誰?

カンファレンスが開催される前の1~2日間は、OS別に何らかのイベントが開催されることが多いようです。FreeBSDの場合、カンファレンス開催前2日間に「デベロッパーサミット」と呼ばれる開発担当者による会議や勉強会が実施されます。

こうしたプロジェクトイベントはカンファレンス委員会ではなく、それぞれのOSの関係者によって自主的に企画され実施されます。カンファレンスと同じ会場を借りるといった場合もあり、場合によってはカンファレンス委員会とOS関係者とで調整がとられることもあります。

デベロッパーサミットって何をするの?

FreeBSDではカンファレンスの開催に合わせてデベロッパーサミットを開催します。デベロッパーサミットはコミッターおよびコミッターが招待した開発者や研究者が参加して行われるサミットで、新規開発したサブシステムの発表や意見交換、問題の提示と開発担当者の模索、対処できるPRを探してその場で解決をはかるバグバスティング、共通認識を得るための勉強会的なものなど、そのときの必要性に応じてさまざまなやりとりが行われます。

良質なコードの閲覧やハイレベルな開発者とのやりとりが開発者自身のスキルを高めるために一役買うため、参加する開発者のレベル向上にもつながる重要な会議です。デベロッパーサミットの内容は参加するデベロッパーや状況によって変わります。カンファレンスに近い形式が取られることもあれば、バグバスティングのようにその場での議論とコミットが実施されることもあります。

デベロッパーサミットの風景
デベロッパーサミットの風景

運用の資金はどうやって確保する?

カンファレンスを実施する場合、少なくとも会場を借りるための費用が必要になります。これに開催中に振る舞う飲み物(コーヒーやジュース)の費用、昼食の費用、夕食の費用、パンフレットやチラシなど小物にかかる費用、プロシーディングやデータ配布用USBメモリの費用、当日運用として動くアルバイトへの支払い、クレジット支払いに伴う手数料などさまざまな費用が発生します。カンファレンスによってはスピーカへ渡航費とホテル代の支援、チュートリアルの講師代なども発生するため、総額はそれなりの金額になります。

こうした費用はカンファレンスへの参加費用やチュートリアル受講費用でまかなわれますが、これだけでは足りないことがあります。そこで、通常はこれにThe FreeBSD Foundationからの支援費用を受け、さらにFreeBSDを企業活用に採用している企業にスポンサーシップを要請して資金的に援助を受けます。

東京で開催されるAsiaBSDConは、他のカンファレンスと比較すると参加費用がかなり安く抑えられており、加えて製本されたプロシーディングが得られるなどかなり好条件といえます。BSDCanのスタイルは毎年あまり変わりません。プロシーディングはありませんが催されるセッションの数や参加者の多さは随一です。一方EuroBSDConのクオリティはかなり変化します。論文データの配布やソーシャルイベントが充実している年もあれば、直前まで基調講演の講演者が決まっていないこともあります。

さまざまな人々に支えられるカンファレンス

カンファレンスには企画立案から運用までを行う委員会の存在も欠かせませんが、論文を投稿して発表するスピーカ、国を越えてカンファレンスに参加する開発者やユーザ、カンファレンスを支持する企業の支援、そしてこうした活動の成果物であるOSと関連ソフトウェア、それを活用するユーザの存在が欠かせません。*BSDが多くの人々によって支えられているように、カンファレンスもまた人々の協力で成り立っているのです。 ;)

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