海外PyCon発表修行レポート2015

第2回 PyCon SG 2015参加レポートとSphinxに関する発表

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プロポーザルの書き方について

今回,一連のカンファレンスへのプロポーザル提出時に,気をつけたことについていくつか紹介します。

プロポーザル(発表提案)は,⁠自分はこのような発表をしますよ」ということを主催者へ伝える道具です。カンファレンス毎に一定のフォーマットがあって,そのフォーマットに合わせる必要がありますが,大抵は「タイトル(Title⁠⁠要約(Abstract⁠⁠説明(Description⁠⁠」の3項目で伝えます。カンファレンスによっては「対象参加者(Audience⁠⁠」と「アウトライン(Outline⁠⁠」の項目があります。

筆者は2014年までPyCon JPのプロポーザル審査をしていたこともあり,発表の魅力が伝わるプロポーザルの要素について考える機会が多くありました。概要と詳細が同じだったりすると,審査する側としては良い発表になりそうかどうか判断する情報が少なくなってしまい,似たような別のプロポーザルと比較できなくなります。逆に言えば,先ほど紹介した5項目を明確に書き分けていればそれだけでも充分に採用候補になり得ます。

具体的には,筆者は以下のようにプロポーザルを書きました。

1.タイトル(Title)

検索キーワードになりそうな単語の組み合わせで,この発表を聞いたらこういう事が得られそう,と思ってもらえるようなタイトルを考えました。

2.要約(Abstract)

要約は最も多く読まれる項目です。

文字数制限もあり,英単語100個くらい(日本語では500文字前後)が一般的なようです。

そこで筆者は,短い文章で具体的に伝わるように,以下の3文にまとめました。

  • Sphinxには○○という機能があります
  • あなたは○○を使って△△できます
  • この発表では,○○を使って△△を自動化する仕組みを紹介します
3.説明(Description)

要約の文章をより具体的にしました。例えば,⁠従来の方法ではこういった手順が考えられますが」といった共感をえる情報を付け足しました。

4.対象参加者(Audience)

具体的に「~~したい人」⁠~~で困っている人」と3パターンくらい列挙しました。

5.アウトライン(Outline)

発表の内容を箇条書きにしました。

また,大項目ごとに発表にかかる時間を想定して「⁠⁠10分⁠⁠」といった情報を付けました。

こういった内容を揃えるには,発表スライドを作ったほうが早いんじゃないかと思えるくらい時間がかかります(実際のスライド作成にはその何倍も時間がかかりました⁠⁠。しかし,この段階で伝えたいことの核心を明確にすることで,審査員や参加者に充分な情報を伝えられます。また実際に発表資料を作る際にも,どんな事を伝えるのかブレずにプレゼン資料の作成に集中できます。

このようにプロポーザルを作成したおかげか,PyCon APACでは2つのプロポーザルが審査を通り,PyCon SG,EuroPython,PyCon.KRでも無事プロポーザルが承認されました。PyCon APACではプログラム担当のスタッフから「あなたのプロポーザルは目的が明確で,飛び抜けて良い内容だった」と言ってもらえたりしました。

筆者が提出したプロポーザルをblogに載せていますので,参考にしてみてください。

次のPythonカンファレンスへ

今回のPyCon SGでは,Sphinxを多くの人に紹介はできませんでしたが,ドキュメント翻訳をサポートする仕組みを必要としている方に,Sphinxの手法を伝えられたと思います。また,Jessicaさんのキーノートを通して,筆者がこれからSphinxに対して行っていくべきことの指針が得られました。

次は,6月27日(土⁠⁠,28日(日)PyCon Korea 2015に参加する予定だったのですが,MERSの影響のためPyCon.KRは8月に延期されました。延期は開催3週間前に決定されましたが,KRのスタッフにとって,とても大きな決断だったと思います。8月にPyCon.KRで多くの人に会えるのを楽しみにしています。

次は,7月20日(月)から1週間にわたって開催されるEuro Python 2015に行ってきます。

著者プロフィール

清水川貴之(しみずかわたかゆき)

ドキュメンテーションツールSphinxのメンテナ。2003年にZope2と出会い,それがオープンソース等のコミュニティー活動を始めるきっかけとなった。

Sphinx-users.jp運営。一般社団法人PyConJP理事。株式会社ビープラウド所属。

著書/訳書:「Pythonプロフェッショナルプログラミング第2版」「Sphinxをはじめよう」「Pythonプロフェッショナルプログラミング」「エキスパートPythonプログラミング」。

運営・参加イベント:Python mini Hack-a-thon主催,Sphinx+翻訳Hack-a-thon主催,PyCon JP 2011-2014運営

サイト:http://清水川.jp/
Twitter:@shimizukawa