海外PyCon発表修行レポート2015

第3回 EuroPython 2015参加レポートと,Sphinxに関する発表(前編)

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EuroPythonの様子

公式サイトhttps://ep2015.europython.eu/en/
期間2015年7月20日(月⁠⁠~26日(日)
構成基調講演を含む5トラック(英語セッションと,一部スペイン語セッション)+トレーニングセッション3トラック
参加費用早期割引230EUR,通常440EUR(1EURは約138円)
会場Euskalduna Conference Center (ECC)
参加人数約1,100人

7月20日(月⁠⁠~24日(金)は5つのキーノート,170個のトークセッション,25個のトレーニングの並行開催でした。トレーニングはそれぞれ3時間前後で,Python入門やDjango Girlsワークショップといった入門編から,DevOpsやNumpy,pytest,Lego for Scrumなどさまざまです。筆者はトレーニングセッションには参加せず,主にトークセッションに参加しました。

受付からオープニング

カンファレンスデイ初日,7月20日(月)は9:00からオープニング,9:30からキーノートの予定でしたが,オープニングは40分ほど遅れて始まることになりました。筆者はホテルが近かったためのんびり出発して8:50頃に会場に着きました。しかし,この時点で受付待ち行列ができており,150人くらい並んでいました。筆者はスピーカーなので並ばずに受付できましたが,名札が見つからず,当日参加受付列に並んで臨時の名札をもらうことになりました。どうやら,一部の名札がどこかに紛れてしまったらしく,名札を探す時間で受付が混雑してしまったようです。1,100名分の名札を並べて探すのは簡単ではなかったようで,座長が来年以降の改善点にしたいと言っていました。

ノベルティのTシャツと袋にリアルなヘビの印刷,プログラム冊子,アルミの水筒

ノベルティのTシャツと袋にリアルなヘビの印刷,プログラム冊子,アルミの水筒

EuroPythonでは,遠方からの参加者を意識した観光案内などにも力を入れていました。ノベルティの袋にはビルバオ市内の観光スポットが記載された地図が同封されていました。さらにオープニングでは,グッゲンハイム美術館のチケットを10ユーロで提供することを紹介していました。正規に購入するには,美術館で並んで13ユーロで購入する必要があります。この10ユーロは翌年の遠方支援費への寄付になるそうです。筆者はこれを聞いて,参加者とカンファレンス,そして街の特徴とがとてもうまく繋がった構成になっていると感じました。

また,遠方からの参加者は,長期休暇を兼ねて家族連れでカンファレンスに参加することがあります。筆者もビルバオへ家族を連れて行きました。そこで,家族向けのイベントPARTNER PROGRAMとして,ビルバオや近郊の観光スポットを訪れるツアーが毎日用意されていました。ツアーは有料で事前申し込みでした。カンファレンスだけでなく,訪れた都市の文化に触れる機会を持つのも楽しいと思います。次の機会にはビルバオをボートで巡るツアーに参加してみたいですね。

キーノート紹介

キーノートは毎日朝9時半から行われました。ここでは2つのキーノートを紹介します。

キーノート:Django Girls

初日のキーノートは,2014年7月に開催されたEuroPythonでDjango Girlsを立ち上げたOla SitarskaとOla Sendeckaの2人によるものでした。2人はDjango Girlsを始めた経緯などを童話形式のスライドで紹介しました。IT技術に魅せられたリスが,テクノロジーの森で孤軍奮闘するなかで仲間を見つけた,という話を絵本タッチのスライドで紹介していました。ストーリーでは,Squirrel(リス)がBadgers(アナグマ,動詞で⁠くどくど質問する⁠⁠)のなかに1匹まざって奮闘する,というシーンが紹介されています。これは女性だけに限らず,誰もがプログラミングを始めたばかりの頃に体験する話だと感じました。

キーノート:Django Girls

キーノート:Django Girls

タイトルのIt's Dangerous To Go Alone. Take This: The Power of Community(一人で行くのは危険,コミュニティーの力を手に進もう⁠⁠」はこのキーノートの内容を良く表していました。ストーリーはわかりやすく,どのようなことに困っていたのか,その後,仲間がいることで勇気づけられPythonを楽しんでいる,といったことが伝わる内容でした。

発表後には会場中が立ち上がり,長い時間惜しみない拍手を贈っていました。まさに,1週間のPythonカンファレンスのキーノートにふさわしい内容でした。

最近,日本でもDjango Girls TokyoPyLadies Tokyoなど,Pythonに限らず女性のみのワークショップやイベントが増えてきています。なぜ女性に限定したイベントが必要とされているのか,この発表はそういった疑問への答えにもなっていると思います。気になる人は,ぜひ一度,動画を見てみることをお勧めします。

It's Dangerous To Go Alone. Take This: The Power of Community

著者プロフィール

清水川貴之(しみずかわたかゆき)

ドキュメンテーションツールSphinxのメンテナ。2003年にZope2と出会い,それがオープンソース等のコミュニティー活動を始めるきっかけとなった。

Sphinx-users.jp運営。一般社団法人PyConJP理事。株式会社ビープラウド所属。

著書/訳書:「Pythonプロフェッショナルプログラミング第2版」「Sphinxをはじめよう」「Pythonプロフェッショナルプログラミング」「エキスパートPythonプログラミング」。

運営・参加イベント:Python mini Hack-a-thon主催,Sphinx+翻訳Hack-a-thon主催,PyCon JP 2011-2014運営

サイト:http://清水川.jp/
Twitter:@shimizukawa