PHPカンファレンス2009 スペシャルレポート

1日目、ビジネスデイレポート[随時更新]

本日・明日で、PHPカンファレンス 2009が開催されます。本日(1日目)は、オラクル青山センターで「ビジネスデイ」と題して、ビジネスを意識した視点のセッションが用意されています。

本ページでは、1日目のレポートを随時掲載していきます!

イベント開始前

開場は12時からですが、スタッフの皆さんは10時に集合しました。

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準備中の中、会場13階のエレベーターを降りてから、受付、スポンサーブースを通り、会場まで歩いた模様が以下の動画です(なお、撮影の後にブースがつくられたもの等もあります⁠⁠。

ニコニコ動画:https://www.nicovideo.jp/watch/sm8130289

鈴木則夫さん「イントロダクション」

PHPカンファレンス実行委員長 鈴木則夫さんのあいさつから、いよいよPHPカンファレンス2009が開幕です。

スポンサー各社の紹介、本イベント主催の日本PHPユーザー会の紹介、⁠"新しい" PHPカンファレンス」としての抱負や2日連続で行われることや、本日(ビジネスデイ)のプログラムの紹介などがありました。

鈴木さんの「過去、PHPカンファレンスに参加したことがありますか?」との質問には、2割程度の方が手を挙げられているようでした。初参加者が多い、まさに"新しい⁠PHPカンファレンスとなりそうです!

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永原篤さん「NetCommonsでオープンソース・ビジネスモデルの実現⁠

NPO法人コモンズネット理事 OSSコンソーシアム理事兼CMSビジネス部会リーダオープンソース・ワークショップ 代表 永原篤さんによる、オープンソースを利用したビジネスモデルのありかた、つくりかたが紹介されました。

永原さん自身は、NetCommonsの可能性を感じNPO法人コモンズネットに参加し、また本イベントのスポンサーである株式会社RYUSの天野社長とCMS Nightを展開してきたと語りました。現在はCMSビズと名称を変えて2ヶ月に1回の割合でイベントを開催しているとのこと。他にも、WARPプロジェクトにも参画し、CMSの普及を目指しているそうです。

NetCommonsの活用事例として、国立情報学研究所のほか、企業サイトやポータルサイトとして使用されている状況を紹介しました。また、⁠ライフラインとしてのNetCommons」として、神戸市でインフルエンザ関連の学級閉鎖などの情報が錯綜せずに素早く伝達することが出来た事例として取り上げました。

NetCommonsは、コンピューターのリテラシーが低い方でも簡単に更新できる点、自分で工夫すること無くSEO対策ができることが好評で、永原さん自身も「記事を書くのが苦手な僕でも、記事を書くのが楽になった」といいます。

NetCommonsの機能として「掲示板」⁠スケジュール」⁠キャビネット(資料置き場⁠⁠」などのWebサイトに限らず、プライベートやグループウェアとして便利なものが「オールインワン・モジュール」として入っており、NetCommonsではすべて同様の操作性で使用できると説明しました。

特徴は「使いやすい」⁠国産」ということをあげ、とてもシンプルながら力強い紹介がされました。

ビジネスとしての利用はもちろん、⁠手軽にWEBサイトを構築したい!」と思われている方は、WARP+NetCommonsの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

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マクラケン直子さん「世界標準パブリッシングプラットホーム WordPress」

オープンソースのブログエンジン「WordPress」のについてWordPress 日本語チーム / Automattic, Inc. マクラケン直子さんの発表です。

冒頭の「WordPressを知っている方?」との問いに、会場は5割程度の方が手を挙げていたようです。

WordPressは、国内での知名度以上に海外ではメジャーなブログシステムであり、Technorati Top 100 ブログの統計の結果、36%がWordPressによるもので、第2位のBlogsmithの14%を大きく差をつけて第1位であることを示しました。つまり、人気ブロガーの3割がWordPressを選択しているといえます。参考までに、Google社のBlogger.comは3%で1/10程度です。

WordPress.org バージョン2.8のダウンロード数は累計で526万回で、日本では一日に1700回のダウンロードがあることが語られました。そして、WordPressのレンタルブログサービス「WordPress.com」は月間12億PVで世界19位のアクセス数(Alexa)を誇り、700万人のユーザーが利用しているとのこと。

また、豊富なテーマ(公式で紹介されているもので950以上)や、プラグイン(公式で紹介されているもので6300以上)による高い拡張性が魅力であることがサンプルを示しながら紹介されました。

企業ブログの導入事例として、株式会社ミクシィの開発者ブログ「mixi Engineer's Blog」をはじめ、eBay、米Yahoo! などの大手企業が、 またメディアでの事例として、WIRED ブログ、ロイターブログ、TechCrunch ジャパンなどの有名メディアがそれぞれ挙げられました。ちなみに、PHPカンファレンスの公式サイトで利用されているブログもWordPressです:-)

ブログとしての利用以外にも、オンラインストアやマイクロブログなどに活用されている例の紹介がありました。

豊富な導入事例、柔軟な拡張性、世界各地で活発なコミュニティなど、魅力が盛りだくさんなWordPressから今後も目を離せません。

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藤田拓さん「ezPublish ディスクール -- エンタープライズWebCMSに求められる機能とその実現 --」

eZ Systems Japan Business Development Manager 藤田拓さんの発表です。

eZ Publish とは、ノルウェーのeZ Systems社99年より開発し提供している、オープンソースのWebCMSです。開発には、PHP自体の開発者 Derick Rethans(QAチーム、Xdbugメイン開発者)も参加しています。

特徴としては、以下の点が挙げられます。

  • WebCMS に求められる5要素「コンテンツ投入」⁠ワークフロー、アセット管理、ユーザー/権限管理」⁠コンテンツ出力」を実現できる多機能さ
  • ブログシステムでは難しい、他のシステムとの連携などを用いた柔軟性・拡張性
  • 開発元ならではのサポート(有料)

また、オープンソースであることも魅力ですね。

他のオープンソースプロジェクトとは異なり、ベンダによるサポートなど、よりエンタープライズを意識したCMSであるので、ビジネス用途に適しているとのこと。

採用事例として、世界43カ国で刊行されている女性誌「ELLE」が挙げられ、ez Publishを導入してアクセス数が約10倍となったそうです。

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伊東裕揮さん「Oracleで加速させよう!PHPのビジネス活用 ~スケーラブルで高可用性でクラウドで~」

元気のよい「こんにちは!」の挨拶から、日本オラクル株式会社 マーケティング本部 シニアマネジャー 伊東裕揮さんの発表がはじまりました。午後の眠くなる時間帯、テンポの良いおはなしで会場を盛り上げてくれました。

日本オラクル株式会社は本イベントの会場の提供にも協力いただいています。

はじめに、オラクル株式会社の近況についてのおはなしが、それに続き「MySQLを使っている方?」⁠Oracleを使っている方?」との質問がありましたが、8:1 ほどの割合で、MySQLを利用されている方が多いようです。⁠聞かなければ良かったかも(伊東さん⁠⁠』とポツり:-)

まず、PHPの人気の高さや、その理由についての考察がありました。OracleはもちろんPHPをサポートしています。

OracleのPHPサポートとして、以下が紹介されました。

  • PHP OCIドライバー開発
  • PHP Developer Center
  • "The Underfround PHP and Oracle Manual" ⁠無料/PDFで提供)

"The Underfround PHP and Oracle Manual"は現在は英語のみの提供ですが、翻訳も検討しているとの話に拍手喝采でした。:-)

Oracle+PHPの課題として「高い」⁠難しい」の2つの項目が考えられるが、それぞれ反論されました。

「高い」... 『ウケねらいだったのに、あまりウケなかったですね(伊東さん)』

  • 安いのもあります
  • 無償のものもあります(サポートはありません)
  • 無償ツールが揃っています(GUI管理や仮想化、.NETなど)

「難しい」

  • カンタンです ...『これも外しましたね(伊東さん⁠⁠』
  • 無償のトレーニングを揃えています

また、"Amazon EX2でPHP+Oracle XE(無償)を使ってみませんか?"というお話もありました。AMIを使えば、インストール作業も不要になるので、気軽に使用できそうです。同社山口さんから Amazon EC2にOracle XEをインストールするデモも行われ、解説しながらでも15分程度、実際にはウェブインタフェース上で数クリックするだけで環境が構築できました。

無償でも使え、先のスケーラビリティに強いOracle、次回のPHPカンファレンス時には「Oracleを使っている方?」で多数の手が挙がることに期待ですね!

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田中良和さん「ソーシャルメディア GREE」

グリー株式会社 代表取締役社長 田中良和さんの発表です。

2004年12月にグリーを設立し2008年12月に上場、驚異的な成長を見せているグリーのSNSサービスや「釣り★スタ」⁠クリノッペ」などに代表されるSNS連動型ゲームが紹介されました。

GREEでは、サービス当初からPHPを利用して開発されており、大規模でPHPを採用した代表的なサービスです。

「インターネットを通じて、世界をより良くする。」

登録ユーザーは約1300万、月間100万アカウント以上の純増があり、今後もさらなる成長を見込んでいるそうです。

ウェブサービスでは珍しく、多方面に向けたプロモーションに力を入れており、国内主要SNSでは純増ナンバーワンとのこと。

「より良いサービスを作るためには収益を上げる必要がある」

収益モデルは、広告・アバター・SNS連動ゲームで、売上/利益は1年で3倍以上の伸びがあります。

「5年先を考えて、未来のユーザーに向けて作る」⁠プレゼン資料から)ことが大事であることが語られました。

PHPを採用した、大規模サービスのグリーに今後も注目です。

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徳丸浩さん「45分で分かる、安全なWebアプリケーション開発のための、発注・要件・検収」

HASHコンサルティング株式会社代表取締役 徳丸浩さんの発表です。

セキュア開発をベンダーに効果的に促したり、コストを低減についてを考慮したRFPを書くことが重要で、そのためは様々な工夫が必要になります。おすすめの書き方として次の要件を挙げられました。

  • 基本はベンダーに提案してもらう
  • 納品物としてセキュリティ検査結果を添付してもらう
  • 検収時に自らセキュリティ検査を実施する

セキュア開発の要件定義はプロジェクトごとに考える必要はなく、⁠対策を選ぶ」ようなアプローチのほうが効果的だそうです。何が重要情報かではなく、それをどう扱うかが重要とのこと。

また、開発時に気をつけることとして、以下の3つがポイントであることが示されました。

  • セキュリティ要件とセキュリティバグは分けて考える
  • 開発標準の整備とメンバーの教育でチーム力をアップ
  • コスト要因となるレビューとテストを計画的に

セキュア開発におけるコスト要素としては、セキュリティ要件、テスト、教育、開発表準作成などが挙げられるそうです。

セキュリティテストツールとしての「ウェブ健康診断仕様」

最後に、昨年度からはじまった、地方公共団体のウェブページを対象に、ウェブアプリケーションの脆弱性の有無を診断し、その対処方法などを報告する事業が紹介されました。

ウェブ健康診断仕様については、LASDECのウェブサイト(PDF)から参照できます。

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クロージング

PHPカンファレンス実行委員長 鈴木則夫さんのあいさつで、1日目が終了です。

明日は「テックデイ」を再び随時更新でお届けします。お楽しみに!

なお、明日は本日と会場が異なります。ご注意ください。

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