PASONATECH CONFERENCE 2017イベントレポート

04 インフラエンジニアday:AIトラック~不可避な流れとの対峙の仕方・AI時代のインフラエンジニアの役割

パソナテックは「AI・IoTの流れをキャリアに活かしたいエンジニアに贈る2days」と題し、⁠PASONATECH CONFERENCE 2017」を実施しました。

PASONATECH CONFERENCE 2017
https://www.pasonatech.co.jp/lp/conference2017/

今回から3回にわたって2017年5月27日に行われたインフラエンジニアdayの模様をお届けします。まず、AIトラックの2セッションです。

不可避な流れにどう乗るべきか~第一人者が語るクラウドの普及がもたらした影響とその後

⁠エンジニアが知るべきテクノロジーの『不可避」な流れ』と、 コミュニティが持つキャリア形成への影響力」と題して講演を行ったのは、Amazon Web Servicesのマーケティングリードを務め、日本最大のクラウドコミュニティJAWS-UGの設計者でもある小島英揮氏です。

InstaVRのCMO、Stripe Japanのエバンジェリスト、
MOONGIFTでのコミュニティアドバイザー等
さまざまなパラレルキャリアを持つ小島英揮氏
InstaVRのCMO、Stripe Japanのエバンジェリスト、MOONGIFTでのコミュニティアドバイザー等、さまざまなパラレルキャリアを持つ小島英揮氏

黎明期からクラウドビジネスに携わっている小島氏は、最初期のころは「仮想化は社内でやっている、わざわざ外に出す必要はない」⁠本屋のサーバに用はない」などと説明に行った企業で言われた経験があったと話しつつ、⁠確かにクラウドは、テクノロジーの側面で見ると新しいものではないイメージがあるでしょう。CPUにしてもストレージにしても、自前で調達できるようなものだからです。何が違うのかというと、調達方法とそれにかかるコスト、スピードです」と、クラウドが普及するに至った要因を説明しました。

さらに「クラウドが普及したことによる変化で大切なのは、単に仮想化の技術が浸透した、あるいはサーバーを安価に調達できるようになったという話ではありません。ビジネスのスピード、それからサービスが広まるスピードがものすごい勢いで速くなっている。その中でエンジニアの皆さんは、次の潮流をどう見つけるかが大事です」と語ります。

クラウドがもたらした変化として説明された3つのポイント
クラウドがもたらした変化として説明された3つのポイント

コミュニティや勉強会で新たな潮流を見極める

そしてケヴィン・ケリー氏が著した『The Inevitable(邦題:〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則⁠⁠』の内容を紐解きつつ、⁠10年前を思い起こすと、モバイルの世界が来るという潮流は理解できたはずです。じゃあ、それを理解したうえでどう立ち回るべきだったか。翻って、今の状況を見て、これから来る潮流が何なのか」と聴衆に問い掛けました。

⁠新たな潮流としてAIやIoTがありますが、そうした流れを見たうえで自分の行き先を決めたほうが良いのではないでしょうか。なぜなら、それは不可避な流れで逆らうのは大変だからです。川でおぼれそうになっているとき、上流の岸に向かって一生懸命泳ぐよりも、流れに身を任せて安全な場所を探す方が合理的です。キャリアの選び方もたぶんそうなのですよね⁠

その潮流を見極める上で、コミュニティや勉強会が非常に大事な場になると小島氏は話し、オフラインの場に行くことのメリットを次のように説明しました。

⁠これはヒットしないテクノロジーだなとか、逆にこれは来そうだといったことを判断するための熱量は、オフラインの場に行かないと分からないんですね。後でレポートを読んでも、熱量までは伝わってこない。さらにリアルな場に行けば、そのテクノロジーについてよく知っている人、情報のハブになっている人とフェイスツーフェイスで知り合う機会も得られます⁠

小島氏はコミュニティに参加することのメリット、そしてアウトプットすることのメリットを説いた
小島氏はコミュニティに参加することのメリット、そしてアウトプットすることのメリットを説いた

そして「少なくとも東京は勉強会の頻度やコミュニティの密度が高い。海外と比べても、これだけオフラインで情報に接することができる年は世界でもほぼないです。これは活用したほうがいい」とアドバイスして講演を締めくくりました。

AI時代のインフラエンジニアの役割

得上氏のセッションである「AI時代にインフラエンジニアができること。やらなきゃいけないこと。」では、AIを使った大規模データ処理においてインフラエンジニアに求められる役割について解説されました。

Microsoft MVP for DataPlatform 得上竜一氏
Microsoft MVP for DataPlatform 得上竜一氏

まずデータ処理のプロセスについて、得上氏は収集と保存、整形、シェアの5つがあると説明します。処理対象となるデータを集め、それを効率的に保存し、AIが処理できるようにきれいに整形する。それを分析した上で、人間が把握しやすいように可視化したり、あるいは分析結果を機械が利用できるように提供するといった流れです。

その上で「インフラエンジニアとしてできることは、データを分析する人の手元にストレスなく届けること。これは非常に大事です。これがないと、データが手元にないということになり、だいたい頓挫します。必要なデータを必要なタイミングでストレスなく届けることが必要です」と説明しました。

AIプロジェクトにおいて、インフラエンジニアが対応すべき3つの役割
AIプロジェクトにおいて、インフラエンジニアが対応すべき3つの役割

AI時代にインフラエンジニアとして1歩先へ進むために

データが届いて使えるようになった後、それをディープラーニングなどで学習させるといったフェーズでは、そのための環境をどう整えるかも考える必要があるとしました。

⁠ディープラーニングの技術を使って学習させる、あるいはデータマイニングするといった際、それを実行するための環境が特殊だったり、あるいは極めて高いスペックを求められたりします。その部分をどうするのか、スケールアップなのか、それともスケールアウトなのか。そういった部分も含めて計画してあげることもインフラエンジニアとして大事だと思います⁠

データを効率的に扱うには、インフラ面に加えて「ちゃんと見せてあげることも必要」だと話します。具体的には、⁠いま手元にあるデータは何件か、どんなデータが入っているのか、分布はどうかといったことが見えるだけで、データサイエンティストはやりやすくなります」と説明しました。

データ活用においては、対象データの可視化(Visualize)も重要だと得上氏は説明する
データ活用においては、対象データの可視化(Visualize)も重要だと得上氏は説明する

このように、AIを使ったデータ分析においてインフラエンジニアがやるべきことを語った後、1つ先へ進むためにプログラミングもやってほしいと述べました。

⁠できればプログラミングをやって欲しい。言語はなるべくJavaを触って欲しいなと思います。ミドルウェアがJava化しつつあり、バーチャルマシンが優秀になってきたことで高速化してきています。そういった背景があり、Javaで書かれることが増えていますが、一方でエラーログやバーチャルマシンの癖もあります。その辺りを知るためにも、軽くプログラミングをしておくとよいでしょう⁠

最後に、今後のトレンドとしてFPGAを挙げ、⁠AWSで実際にFPGAが使えるようになってきているほか、マイクロソフトも使い始めています。この辺りを今の段階から触っておくと、5年後くらいに生きてくると考えているので、ぜひ触ってみてください」とアドバイスしました。

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