日本と台湾のPythonコミュニティの架け橋に ―「PyCon Taiwan 2019」レポート

第2回 Python学びの道は人それぞれ ―2日目キーノート~3日目クロージング

この記事を読むのに必要な時間:およそ 4 分

3日目:Open Spaces

カンファレンス3日目の夕方はトークセッションはなくOpen Spacesが行われました。Open Spacesとはその名の通り「オープンなスペース」で,場所を確保しているのでそこで「こんな話がしたい」とカンファレンス中に申し込んでディスカッションなどが行われるものです。

10個くらいのテーブルが用意されており,例として以下のようなテーブルがありました。

  • asyncio
  • PyCon Taiwan 2020 @ 高雄
  • Health care
  • Numeric software
  • PyCon [A-Z]{2}

私は一通り見て回ったあとに「PyCon [A-Z]{2}」という海外PyCon参加についてディスカッションしているテーブルに入ってみました。主催者はWei Lee@clleew氏で,PyCon JP参加時のさまざまな写真をスライドショーで紹介していました。

Open Spacesの様子(奥の白いTシャツがWei Lee氏)

Open Spacesの様子(奥の白いTシャツがWei Lee氏)

Wei Lee氏が他の参加者に私のことを「彼は日本から参加していて,各国のPyConで発表している」といったことを説明していました。

その後,他の参加者から「日本と台湾のPyConはどう違うのか?」という質問があったので「開発Sprintのありなしとか,チュートリアルが別の日だったりとかの細かい違いはあるけど,みんなUSのPyConやお互いを参考にしあっているのでそこまでの違いはないと思います。」という説明をしました。

ここにいた人が他国のPyConに興味を持って参加してくれるとうれしいなと思いました。

3日目キーノート「The Different Paths We Take As Programmers」―Tracy Osborn

カンファレンス3日目は夕方にもTracy Osborn氏@tracymakesによるキーノートがありました。

現在はDjangoの書籍(⁠Learn how to build a web app⁠)なども執筆しているスピーカーが,自身がプログラミングを学んでいった険しい道について語りました。

Tracy氏と著作

Tracy氏と著作

氏は現在35歳だそうですが,高校生のころにシンプルなHTML(h1とpタグしかないような)を書いてWebサイトを作りはじめたそうです。それを見て先生は「おお,Webサイトが作れるなんてすごいね」と驚いたといいます(笑⁠⁠。コンピューターやWebサイトが好きなので大学に入ってコンピューターサイエンスを学ぶことにしたとのこと。大学に入ってプログラミングを学べると興奮して「コンピューターサイエンス基礎」を受講し,10分経つとわけがわからなくて呆然としたそうです。その後JavaやGUIなどを学びましたが,途中でデザインなどのクラスをとり,最終的には真逆の芸術の学位をとって卒業しました。

卒業後はデザイナーとしてWebのフロントエンドを作成するようになり,そこでJavaScriptを使い始めたそうです。その後自分のスタートアップを起業し,技術に強い共同創業者を探します。そしてDjangoを学び6週間でWebサイトを立ち上げたそうです。以下がその経験を書いたBlogです。

このように,プログラミングを学ぶときには初心者→中級者→上級者という一本道ではなく,さまざまな道があるという話がありました。そして自身がDjangoを学んでWebサイトを作成できるようになった経験をもとに書籍を執筆したそうです。また,現在は大学以外にもさまざまなPython等のプログラムを学ぶためのWebサイト,サービス,動画などが提供されています。そういう大学などとは異なったパスからプログラミングを学ぶこともできるという話がありました。

さまざまなバックグラウンドを持った人がプログラミングを学ぶことに対して背中を押す,素晴らしい発表でした。トークの終了後に「持ってきた著書をプレゼントする」と言うと,参加者が一斉に群がり即席サイン会がはじまって面白かったです。

クロージング

カンファレンスの最後はChairであるTaihsiang Ho氏によるクロージングです。スポンサーへの感謝などが述べられたあとに,TaiwanメンバーがPyCon JPに参加したときの写真を引用して,今年はツアーを行ったことが紹介されました。また「Do you know PyCon JP?」にかけて,PyCon JP以外にもアジアや各国のPyConがあるので,ぜひ知って参加してみてほしいという話がありました。

PyCon JPに参加したTaiwanメンバー

PyCon JPに参加したTaiwanメンバー

最後に壇上に主催者とボランティアが集合し,参加者から感謝の拍手が送られました。このあと参加者全員が壇上に集合して記念撮影を行い,PyCon Taiwan 2019は終了しました。

PyCon TaiwanのOrganizerとVolunteer

PyCon TaiwanのOrganizerとVolunteer

打ち上げ

カンファレンス後はスタッフ打ち上げに参加させてもらいました。打ち上げ会場へはみんなでバスで移動です。バスに乗るとJames(PyCon MalaysiaのChair)一家がいました。どうやら今回は家族旅行を兼ねていたようです。息子さんはLEGOが好きらしく,移動のバス中で先日沖縄のパルコシティで撮影してきたLEGOの写真を見せてあげたら,興味深く見ていました。LEGOは国や言語を超えますね。

左からJames氏,筆者,息子さん,Noah氏

左からJames氏,筆者,息子さん,Noah氏

打ち上げ会場は台北のほど近くにあるタイ料理中心のビュッフェです。ここのビュッフェには生ビールが付いていました。すばらしい!!! ここでもデブ活に励みながら,いろんなスタッフやキーノートスピーカーと交流しました。

打ち上げが終わって何人かはNight Marketに行くそうですが,私はクラフトビールが飲みたいのでそのチームとは分かれて台湾メンバー数名と一緒に飲みに行きました。別れ際にキーノートスピーカーのPaul Ivanovが「Do you know?」と私にフリを入れてきたので「PyCon JP!!」と答えて別れました。Paulさんめっちゃ面白い人だ。

ビールのお店はZhang Men BreweryのBreezeSongGao店です。この店は屋上に出られて,その屋上から台北101が見えるというとてもシャレオツなロケーションにあります。心地よい夜風に吹かれながら,台湾のみなさんと楽しく過ごしました(何を話したかほぼ覚えていない⁠⁠。

クラフトビールと台北101

クラフトビールと台北101

おわりに

以上でPyCon Taiwanのレポートは終了です。振り返ってみると私を含めて4名の日本人がトークを行い,LTでも5名が登壇しました。⁠Do you know PyCon JP?」はキーフレーズとなって,参加者のみなさんに浸透したんじゃないかなと思っています。

今後もこの日本と台湾の関係性が継続して,たくさんの人が行き来するといいなと思います。ご飯もおいしいし,漢字の意味がなんとなくわかるので,初めてのPyConとしてとてもおすすめです。

日本からの参加メンバー

日本からの参加メンバー

私の次のPyConツアーはシンガポールです。次はどんな出会いがあるでしょうか(実はこの原稿を書いている時には,すでにPyCon Singaporeは終わっているんですけどね……⁠⁠。

著者プロフィール

鈴木たかのり(すずきたかのり)

一般社団法人PyCon JP,副代表理事,株式会社ビープラウド所属。

部内のサイトを作るためにZope/Ploneと出会い,その後必要にかられてPythonを使い始める。PyCon JPでは2011年1月のPyCon mini JPからスタッフとして活動し,2014年-2016年のPyCon JP座長。他の主な活動は,Pythonボルダリング部(#kabepy)部長,Python mini Hack-a-thon(#pyhack)主催など。

共著書に『Pythonによるあたらしいデータ分析の教科書(2018 翔泳社刊)』『Pythonプロフェッショナルプログラミング 第3版(2018 秀和システム刊)』『Pythonエンジニア ファーストブック(2017 技術評論社刊)』『いちばんやさしいPythonの教本(2017 インプレス刊)』などがある。

最近の楽しみはPython Boot Campの講師で訪れた土地で,現地のクラフトビールを飲むこと。2019年は世界各国のPyConでの発表に挑戦している。趣味は吹奏楽とボルダリングとレゴとペンシルパズル。

Facebook:takanory.net

Twitter:@takanory

Github:takanory