PyCon JP 2014参加レポート第4回は、キーノート、トークセッション以外の内容を中心にお届けします。
チュートリアル
カンファレンス前日の9月12日(金)にPythonに関する有料のチュートリアルが開催されました。今年は次のようなテーマが設けられ、50名以上の方が参加しました。
- チュートリアルA - サーチエンジンを作りながら学ぶソフトウェアツールプログラミング(講師: 磯 蘭水さん)
- チュートリアルB - Python基礎研修(講師: 清水川 貴之さん)
- チュートリアルC - PyData入門(講師: 池内 孝啓さん)
私も実際にチュートリアルAに参加させていただきましたが、ソフトウェアツールを作るための概念を基本から応用まで解説していただいてとても有意義な内容でした。4時間という時間でしたが、本当にあっという間に過ぎていきました。もし機会があれば来年もぜひ参加したいと思います。
ランチ、コーヒーブレイク
カンファレンス1日目のランチはお弁当、2日目のランチはサンドイッチが提供されました。とても美味しく、ボリュームもあり満足できる内容でした。
コーヒーブレイクでは、おやつとしてマカロンとカステラが提供されました。またスポンサーからもチョコレートやクッキーなどのお菓子が提供されていました。おやつを食べながら休んだり、他の方と交流をしたり、それぞれがコーヒーブレイクを楽しんでいたようです。
コミュニティブース、ランチディスカッション
カンファレンス1日目のランチの時間にコミュニティブースが開催されました。コミュニティブースに参加されていたのは次のコミュニティの方々です。
参加者の方は興味のあるコミュニティのブースに立ちより、一緒にランチを食べながら楽しそうにお話をしていました。普段はあまり話す機会のないコミュニティの方とお話でき、とても有意義でした。
またコミュニティブースと併設でランチディスカッションが開催されました。ランチディスカッションではテーマ別の席が設けてあり、参加者の方は興味のあるテーマに関して一緒にランチを食べながら語り合う姿が見られました。
PyCon JPパーティ
カンファレンス1日目のクロージングの後に、PyCon JPパーティが開催されました。PyCon JPパーティでは、美味しい料理とビールなどの飲み物が提供されました。
PyCon JPパーティの参加費はPyCon JPのチケットに含まれている事もあって、とても多くの方が参加しており、料理を食べながらたくさんの方と交流を深める事ができました。普段交流する機会のない分野の方や、また海外から参加している方とPython関連の話題についてお話できて、とても有意義な時間を過ごす事ができました。
ポスターセッション
2日目のランチ前の時間にポスターセッションが開催されました。ポスターセッションは、発表者がブースの前に立ち、ポスターや機材を展示して、発表を行うセッションです。この時間はトークセッションは開催されなかったので、参加者は自分の好きなブースに立ちより、ゆっくりと話を聞くことができました。
ポスターセッションでは、発表者の方が展示物を前に、参加者の皆さんに熱心に説明していました。私もいくつかのポスターセッションに参加しましたが、実際に開発されている方と直接お話できて、とても良い機会になりました。またトークセッションではデモなどが難しい展示物なども、ポスターセッションだと間近で見ることができ、その点も素晴らしいと思いました。
ジョブフェア
2日目のランチ前の時間にポスターセッションと併設してジョブフェアが開催されました。ジョブフェアでは 『Let’s know about other JOBs!! ?開発の裏側、ココだけの話、こっそり教えます?』 というテーマでパネルディスカッションが行われました。
パネルディスカッションでは次の6名の方が登壇し、技術選定や、開発ツールなどについてディスカッションを行いました。
- モデレーター
- エンジニアtype 編集長 伊藤健吾氏
- 登壇者
- ヴェッテル CEO 山下英孝氏
- 白ヤギコーポレーション CEO 柴田暁氏
- VOYAGE GROUP CTO 小賀昌法氏
- モバイルファクトリー リードエンジニア 佐藤健太氏
- リアルグローブ CEO 大畑貴弘氏
技術選定やツールの選択に関しては各社の考え方に違いがあり、とても参考になりました。各社で実際に利用しているツールや、新技術の提案方法、また導入のプロセスについて知る事ができたので、今後の参考にしたいと思います。
ジョブフェアではその後、企業によるライトニングトークとミートアップが行われたようです。
ライトニングトーク
カンファレンスの1日目と2日目の夕方に、ライトニングトークが開催されました。1日目は5名、2日目は7名の方が登壇し、様々な話題についてライトニングトークを行いました。
ここでは1日目と2日目からトークを1つずつ紹介したいと思います。
Pythonで高速/高効果広告配信サーバーを運用してみた話
カンファレンスの1日目のトークからは、Shunsuke Aihara氏による「Pythonで高速/高効果広告配信サーバーを運用してみた話」を紹介します。
Shunsuke Aihara氏はGunosyの広告配信基盤チームのマネージャを務めており、トークではGunosy社で実際に使用されている広告配信サーバについてのお話しをされました。
まずアドサーバの開発、運用には次のような項目が必要だとお話しがありました。
- 高速な配信サーバ
- 巨大なログデータに基づいたモデルの構築、運用
- ビジネス要件に基づいた複雑な仕様とさまざまな条件管理
- 営業や代理店が運用しやすいようにパラーメータやKPIを可視化
そしてアドサーバを作る際に必要な項目と、Gunosy社での実際の構成例の関係を次のように挙げて説明を行いました。開発・運用から仮説検証まで少人数で行う場合には、複数の言語を使用して複雑な仕組みを作るよりもPythonを使用して構築した方が良いと判断し、Pythonで開発したとのことです。
高速なAPIサーバ
高速な統計学習・機会学習環境
- Numpy,Scipyや様々な機会学習ライブラリ
- Cython, Numbaによる高速化
- Anaconda Scientific Python Distribution
並列計算の環境
ログの分析による仮説検証環境と可視化
- IPython Notebook + pandas + Bokeh
内部パラメータや入稿データ・KPIの管理
最後に、実際に運用していくなかで、最初の構成から変更した部分や、スパイクアクセスに対応するために行った工夫などについて話しました。現在では分間数十万リクエストを平均10msで捌いているとのこと。Gunosy社で実際に利用されている構成内容やライブラリなどを知ることができ、非常に有意義なトークでした。
Pythonではじめる競技プログラミング
次にカンファレンスの2日目のトークから、Chica Matsueda氏による「Pythonではじめる競技プログラミング」を紹介します。
まずは競技プログラミンングに出題される問題の例を挙げながら、競技プログラミングについての説明を行いました。競技プログラミングとは、与えられた問題に対して解く速さと正確さを競う競技であり、有名なものとしてICPC、TopCoder、Google Code Jamなどがあります。続いて競技プログラミングについての基本的なルールを解説し、競技プログラミングの良いところを挙げました。
次に競技プログラミングでPythonを使用するメリットとして、オーバーフローを気にしなくて良いところや、デバッグが楽なこと、そして標準ライブラリがたくさんあるというお話しがありました。また欠点としては実行速度が遅い点を挙げ、上級者向けの問題では解けない場合があるという事も話していました。
トークの最後には主要な競技プログラミングの紹介もありました。トークを聞いていると、競技プログラミングはとても楽しそうな印象を受けました。私も機会があれば参加してみようと思います。
ライトニングトークでは恒例のドラ娘も登場し、会場を盛り上げていました。発表者の方の持ち時間は、5分間という短い時間のトークでしたが、とても密度の濃い内容が多く、会場も大変盛り上がっていました。
他のトークに関しても次のリンクより動画を閲覧する事ができますので、ぜひご覧いただければと思います。
開発スプリント
カンファレンスの次の日である9月15日(月)に開発スプリントが開催されました。開発スプリントはハッカソンに似たイベントで、スプリントリーダーがテーマを提示して、参加者は興味があるテーマに参加してどんどん開発していくというイベントです。
テーマとしては、Django、PylonsなどのWebアプリケーションフレームワークから、Micro Pythonなどの組み込み系まで多岐に渡り、それぞれが楽しんで開発を行いました。私は参加できなかったのですが、最後に簡単な成果発表も行われたようです。
クロージング
カンファレンス2日目のクロージングではまず全体の写真撮影、その後にスポンサー提供プレゼントの抽選会が行われました。抽選は通常プログラム等を使用するのですが、今回はソフトバンクロボティクスのロボットPepperくんが番号を読み上げるという方式でした。ちなみに、Pepperを展示していたソフトバンクロボティクス社はPyCon JP 2014のプラチナスポンサーです。
あらかじめ抽選番号が参加者の名札に印刷されており、司会者がPepper君に話しかけるとランダムに番号を読み上げて抽選するという趣向でした。Pepper君はかなり優秀な動きをしていたので、会場は大変盛り上がりました。
最後に座長(Chair)である鈴木たかのり氏がカンファレンスの振り返りを行い、スポンサー、スピーカー、スタッフ、参加者の方々に対して感謝の言葉を述べました。またPyCon JP 2015の開催も正式にアナウンスされ、来年もまた会いましょうと締めくくり、カンファレンスは幕を閉じました。参加者、スタッフ共に一体となり会場は大きな拍手に包まれました。とても素晴らしいカンファレンスとなりました。
まとめ
チュートリアルからはじまり、カンファレンス、スプリントと4日間に渡って開催されたPyCon JP 2014が終了しました。今年は全部で545名の方が参加されたようです。とてもたくさんの催し物が開催され、いろいろな角度から楽しむことができたカンファレンスでした。さまざまな出会いや学びもたくさんあり、非常に有意義な時間を過ごすことができました。来年のPyCon JP 2015も開催が決まったので、ぜひ楽しみたいと思います。それでは、PyCon JP 2015でまたお会いしましょう!