はじめに
オブジェクト指向スクリプト言語Rubyに関する世界を代表するイベント,日本Ruby会議が今年も開催されます。
2006年の開催から4回目を数える日本Ruby会議2009(略称:RubyKaigi2009)は,7月17日(金)から19日(日)までの3日間,過去最大のスケールで開催されます。
今回,RubyKaigi2009を3日間に渡ってレポートします。基調講演や一般発表,Lightning Talksの様子を,写真付きで随時更新してお届けしますので,現地にこられない方も,RubyKaigiの熱気を感じていただければ幸いです。
初回は事前レポートということで,これまでのRubyKaigiを振り返りつつ,RubyKaigi2009の見所を紹介します。
イベント概要
チケット(初回販売分)が発売から約2時間で売り切れるなど,開催前から期待の高さをうかがわせました。チケットは追加販売を含め既に完売しています。また,昨年設置されたチケット無しで入場できるフリースペースは,今年は設置されません。
会場は東京都千代田区の学術総合センターです。昨年はつくばでの開催でしたが,今年は都内での開催となり,多くの人にアクセスしやすい会場となりました。基調講演が行われるメインの会場は約500人が収容できる大規模なホールです。
なお,現地参加できない方のために,今年もUstreamを利用したライブストリーミング配信が予定されています(詳細は後述)。
テーマは「変える/変わる」
RubyKaigi2009のテーマは,「変える/変わる」です。
昨年のRubyKaigi2008は「多様性」をテーマとし,Ruby1.9.0のリリースやRuby on Railsの話題だけでなく,JRubyやIronRubyなどオリジナルRuby処理系以外の実装についての発表がありました。
本会議終了後のRejectKaigiでは,運営委員長である角谷信太郎さんから地域Ruby会議(Regional RubyKaigi)が提案されました。これを受けてこの一年の間に札幌や九州など8カ所で開催され,いずれも好評を博しています。
Rubyの実装だけでなく,Rubyコミュニティにも多様性を目指す動きがみられ,まさしくRubyのポリシーである「多様性は善」を体現したものとなりました。
今年のRubyKaigi2009では,Ruby1.9系の安定リリースであるRuby1.9.1の発表を受け,1.8系からの変化を知ることができるでしょう。
RubyKaigi自体にも変化があります。大きな変更として,発表が3トラック並列に行われ,Lightning Talksも2セッション準備されています。また今年の特徴として,海外からの参加者も例年以上に多いそうで,このあたりもRubyKaigiの「変化」を肌で感じられるのではないでしょうか。
昨年の多様性というテーマを発展させ,日本Ruby会議2009の紹介にもあるように,「変革への期待と決意を一望できる場所」となることを期待しています。
プログラムの紹介
続いて,タイムテーブルを眺めながら,今年のプログラムを紹介します。3日間,3トラックを合計して,54個の発表と22個のLightning Talksが予定されており,過去最高に盛りだくさんの内容となっています。
基調講演
まつもとゆきひろさんの基調講演は,現時点で内容未定(!)となっているのでなんとも言えませんが,RubyKaigi2008のときの「Rubyをキメると気持ちいい」に続く,素敵なフレーズの登場を期待せずにはいられません。
もう一方,高橋征義さんの基調講演の題は「Rubyと私、そして日本Rubyの会」。高橋さんは,先月末に発行されたRubyist Magazine 0026 号の巻頭言の中で,
私にとって一番変えるべきなのは、このるびまも含めたRubyの会で。なので、会長を辞めることもそれなりに考えていたのだけれど、まだもうちょっとやれそうな気がするので、それ以外の「変えること」を、話してみたいと思う。
とドキッとするようなことを述べられています。今後の大きな動きについてお話されるようで,要チェックです。
一般発表,Lightning Talks
発表のタイトルからキーワードを抜き出してみると「Ruby 1.9」「Ruby VM」等のRubyそのものの進化の話,「Rails」「JRuby」といったここ数年のトレンドを汲んだものから,「Sinatra」「Ramaze」「Sequel」 のような新たなフレームワーク,ライブラリまで,内容が多岐に渡っていることがうかがえます。
特に,「Sinatra」「Ramaze」に代表される,よりシンプルで軽量なWebアプリケーションフレームワークの台頭は,皆が沸いた「Rails時代」の先にある世界を予見させてくれます。
また,Rubyを取り巻くコミュニティやイベントの話も多数あり,今後のRuby界の動向を追いかけていく上ではこちらも目が離せません。
発表者の2割以上が海外からの参加であり,総じて,日本国内だけに留まらない「世界のRuby情勢の今」を知る絶好の機会となります。先に紹介した「Sinatra」など,開発者自らがRubyKaigiのために多数来日し,彼らがコードに込めた想いを聞かせてくれることでしょう。このような豪華ラインナップですが,悩みは,魅力的な発表が同じ時間に重なってしまうことでしょうか…!
その他
最後に,ここまでの話に含められなかったトピックをまとめて紹介します。
会場へのアクセス
会場は東京都千代田区の学術総合センター(地図)です。最寄り駅は,東京メトロ半蔵門線,都営地下鉄三田線,都営地下鉄新宿線の神保町駅,または東京メトロ東西線の竹橋駅です。
Ustreamを利用した映像配信
3つのトラック(会場)それぞれにおいて,発表の様子が配信されます。当日,会場にこられない方も,中継を見てぜひRubyKaigi2009に参加しましょう!
ジュンク堂書店RubyKaigi店
今年も「ジュンク堂書店RubyKaigi店」が出店します。Rubyistな著者の方々によるサイン会も行われます!
公式タグ,公式ハッシュタグ
ブログやTwitter上で利用していただきたい,公式タグ,公式ハッシュタグは以下のとおりです。
- 公式タグ: rubykaigi2009
- 公式ハッシュタグ: #rubykaigi
これらを利用することで,以下のように情報を共有することができます。
おわりに
開催まであとわずかです。それでは,RubyKaigi2009でお会いしましょう!