Sapporo RubyKaigi 2012 スペシャルレポート

札幌Ruby会議2012 事前特集 第1回

はじめに

地域RubyKaigiのひとつである、札幌Ruby会議が9月に札幌で開催されます。

この事前特集では、開催まで4回に渡ってイベントの概要やスピーカー、セッションの内容を紹介していきます。イベントを楽しみにしている方々が、より楽しく過ごせるように。また、会期中を思い描いて気持ちの高まりを感じていただくための一助になれば幸いです。

初回となる今回はイベント全体とキーノートについて紹介します。

イベント概要

札幌Ruby会議はプログラミング言語Rubyに関する国際的なカンファレンスである「日本Ruby会議」の地域開催の一つで、2008年から開催されています。札幌という開催地ながら、毎回全国各地からRubyistが集うカンファレンスとして知られています。

その第4回目となる札幌Ruby会議2012公式サイトは、 2012年9月14日から16日までの3日間、札幌市産業振興センター(北海道札幌市)にて開催されます。今年は本家である「日本Ruby会議」が開催されないこともあり、国内だけではなく世界からRubyistが集まる、地域Ruby会議としては最大規模での開催となります。

すでにチケットは完売しておりますが、Ustreamによる配信、当日レポートの公開などが予定されていますので、会場にこられない方はぜひご覧ください。

また、情報共有のための公式タグを用意しています。Twitterでは#sprk2012BlogやFlickr等ではsappororubykaigi2012です。ご活用ください。

テーマ

札幌Ruby会議2012のテーマは「We Code.」です。

誰とコードを書いているのか、どうしてコードを書いているのか、どうやってコードを書いているのか。カンファレンスから帰るときに、参加した人たちが自分にとってのコードを書くという活動について、いろんなことを感じながら帰ってもらえるような、そんな場所にしたい。そのような思いをこのテーマに込めているとのことです。

キーノート

キーノート(基調講演)として、2日目午前中にAaron Pattersonさん、2日目午後にまつもとゆきひろさん、3日目午後にEric Hodelさんが登壇します。

Aaron Patterson

2日目、1人目のキーノートは、Aaron Pattersonさんです。

Aaronさんは、@tenderloveたこやき仮面(ruby-list メーリングリスト)などでも知られる、著名なRubyistです。HTMLのスクレイピングなどでAaronさんが開発されているNokogiriを利用したことのあるRubyistは多いのではないでしょうか。

Aaronさんは、昨年行われた日本Ruby会議2011でもキーノートを担当されていました。 その時は、⁠Ruby Ruined My Life.」というタイトルで、Rubyが自身の人生にどのように影響を与えたかについて話されました。 ユーモアにも定評のあるAaronさんですが、札幌ではどのようなことを話されるのでしょうか? Ruby on Railsのコミッターとしても活躍されているAaronさんですから、Rails4の足音が聞こえる今、もしかするとRails4開発の裏話などが聞けるかもしれません。

まつもとゆきひろ

2日目、2人目の基調講演はご存知Rubyの生みの親、Matzこと「まつもとゆきひろ」さんです。

まつもとさんはRubyKaigiでは基調講演皆勤賞で、また札幌で開催された「札幌Ruby会議03」に引き続き今回の「札幌Ruby会議2012」でも基調講演を引き受けていただきました。

発表のタイトルは「One size does not fit all」です。直訳すると「万能薬はない」となりますがこれは一体何を意味しているのでしょうか?

現在、RubyはCRubyを始めJavaVM上で動作するJRubyや.NET Framework上で動作するIronRuby、さらにはMac上で動作するMacRubyなど様々なプラットフォーム上で動作する処理系が開発されています。 また、Rubyの主な用途としては業務効率を向上させるテキスト処理やスクリプティング、さらにRuby on Railsの登場によりWebアプリ開発においても使用されることが増えてきました。 そして今年4月20日にはまつもとさん自らが開発を手がけるmrubyが公開されました。

まつもとさんがよく使われる「多様性は善」という言葉の通り、mrubyの登場によって組込み機器やゲーム開発の分野などにおいてもRubyが活用される機会が増えていきそうです。 今回の発表ではタイトルの「One size does not fit all」「多様性は善」というキーワードをもとにmrubyに関連したお話をしていただけるのかもしれません。今後も広がるRubyの未来についてどのようなお話が聞けるのかとても楽しみですね。

Eric Hodel

Eric Hodelさんはシアトル在住のRubyistで、数多くのプロジェクトを擁する地域RubyistコミュニティであるSeattle.rb(Seattle Ruby Brigade)の創設者です。また、自身もRubyのコミッタとして非常に多くのライブラリのメンテナンスを手がけています。

今回のキーノートでは「Writing Ruby for Fun」と題して、Ericさんがこれまでに書いたプログラムについて語ります。彼が手がけているプロジェクトにはrubygemsやrake、rdocなどのRubyを扱うためには欠かすことのできないコマンドラインツールや、HTTPの持続的な接続をサポートするライブラリ(net-http-persistent⁠⁠、growl(Macのサードパーティによる通知システム)やUPnP(Universal Plug and Play)プロトコルの関連ライブラリなどがあります。

Ericさんが楽しみながらこれらのプログラムを書いたのは学習の喜びのため、そして実用のためでした。今回の札幌Ruby会議のテーマは⁠We Code.⁠です。もしあなたがRubyのプログラマではなくても、楽しんでプログラミングをするためのヒントを見つけることができるかもしれません。

おわりに

第2回では1日目のセッションの紹介などを行う予定です。なお札幌Ruby会議2012に関する最新の情報はRuby会議日記に告知されますので、そちらもあわせてご覧ください。お楽しみに!

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