2月26日、東京・品川の日本マイクロソフト本社において、同社の主催によるイベント「WebMatrix Day〜OSS×WebMatrixでカンタンWebサイト開発〜」が開催されました。本イベントは、オープンソースWebアプリケーションを使って簡単にWebサイトを構築したい方、またその支援を行っている方を対象に、今すぐ役立つオープンソースWebアプリケーションやWebMatrixを使ったサイトの構築方法などを紹介する内容となりました。
オープンソースのWebアプリをWindows上で手早く利用できるように
イベントは、株式会社技術評論社の馮富久氏による挨拶から始まりました。「12年前に入社した当時はLinuxブームで、オープンソースが盛り上がった時期でした。数年前からはOSSコミュニティとマイクロソフトが対立するという構図がありましたので、今回このようなイベントでコラボレーションが生まれるのは新鮮で、現在のWebの流れ、開発の流れに適していて非常に価値のあるものだと思います。こういった場で情報共有することで新しいものが生まれるかも知れず、私自身も楽しみにしています」と述べました。
続いて日本マイクロソフト株式会社の加藤確氏が登壇し、「Webの世界が変わってきていることを受けて、マイクロソフトのポジションも変わっていかなければなりません。今回のイベントはそれが現実化したものといえるでしょう。日本の主要CMSのコミュニティリーダーの協力を得てイベントが実現しました。このような関係をより強化していくことで、より活性化した流れを作っていければと考えています。皆さまのご支援をよろしくお願いします」と述べました。
挨拶に続き、最初のセッションでは、日本マイクロソフト株式会社のデベロッパー&プラットフォーム統括本部 エバンジェリストである奥主洋氏による「オープンソースWebアプリケーションユーザーのためのWebMatrix概要」が行われました。
奥主氏はまず「なぜMSがOSS Webアプリケーション?」として、クラウドや仮想化を前提に、その理由を3つ挙げました。
まず、1つめの理由として、現在はクラウドの潮流もあり、短納期・高品質のシステムが要求されてきていること。そして2つめは、PHPでも開発にはWindowsを使用している人が大多数であること。そういった環境上で、たとえばマイクロソフトのWebサーバやデータベース製品を組み合わせられれば便利になると考えつつも、マイクロソフトではこれまでこのような利用者に対して何もしてこれませんでした。そこをきちんと対応しようということで、4年前から注力してきたといいます。
3つめの理由は、現在ではWebサイト作成する際に、要件に合うWebアプリがたくさんあり、これらをカスタマイズして開発することが多く、Webサイトを白紙の状態から作成することがなくなったことを挙げました。そういったオープンソースのWebアプリをWindows上で手早く利用できるようにしたいという思いがあったといいます。
マイクロソフトでは、まずはPHPから対応していこうということで、4年前からIISチームとPHPが連携し、いろいろなものを実装し始めました。また、PHPのアクセラレータをマイクロソフトが作成してパフォーマンスを最適化したり、SQLサーバへの接続ではSQLチームがドライバを作成するなど、全社を挙げてのプロジェクトとなりました。その結果、「Windows Web Application Gallery」「Web Platform Installer」「WebMatrix」の発表に至りました。
OSSコミュニティで開発されているWebアプリを申請することで、「Windows Web Application Gallery」に登録、ユーザが選んでインストールできるようにしたのです。インストールは「Web Platform Installer」によって、必要な環境を一括して入手できるようにしています。Webアプリはコミュニティで登録されている最新のリリースがRSSに反映されるため、常に最新の環境を、最も効率のいい方法で構築することができます。
「WebMatrix」は、WebサイトやWebページの作成、カスタマイズ、発行(公開)が行えるもので、開発ツールとWebサーバ、データベースで構成されています。開発は、白紙の状態から行うことはもちろん、フォルダやOSSアプリから行うこともできます。Webサーバには「IIS Express 7.5」が採用されているので、Windows XPにも対応しています。ただし、「WebMatrix」は高機能な開発ツールを目指しているのではなく、動的Webサイト開発の作業フロー上で行われる最低限の機能を提供するものとなっていて、初学者向けのシンプルなものとなっています。
続いて奥主氏は「WebMatrix」のデモを行い、IISと連携しながらIEのブラウザ上でWebアプリを容易に実行できることを実演しました。また、開発環境をオールインワンで提供できることも強調しています。
最後に「WebMatrix」の課題として、Windows XPの場合はコンポーネントの容量が約70MBになること、アンインストールをひとつずつ実施しなければならないことを挙げ、それでもWindows 7ではもっと容量を抑えられることと、アンインストール用のバッチを作れば一括アンインストールが可能であることを付け加えました。