第4回 戦略的Webマーケティングセミナーレポート

基調講演「コンバージョンに徹底的にこだわったWebサイトプロジェクト事例」

実施期間と、ゴールの明確化を

第4回 戦略的Webマーケティングセミナーでは「コンバージョン率の向上」をテーマに、コンサルタントやセキュリティー分野などの各界の第一人者らが講義に立ちました。トップバッターとして基調講演を行ったのは、株式会社クリエイティブホープ代表取締役の大前創希氏でした。ゲストに劇団四季の吉田智誉樹取締役を迎え、当事者の生の声も伝えられました。

株式会社クリエイティブホープ
代表取締役 大前創希氏
株式会社クリエイティブホープ 代表取締役 大前創希氏

大前氏は、コンバーション(CV)向上のためには「ミッションとビジョンを明確化することが大切」と訴え「webで何をするのかではなく、そもそも『どのような事業戦略なのか』を考査した上でウェブ戦略を構築することが必要」と定義付けました。CV向上を考える際に、まず前提となる「プロジェクトの期限と明確なゴールを設定することが大切です」とし、数値目標にとどまらず、Webサイトの未来ビジョンまで共有することが、本質的な成果に繋がると述べました。その上でツールとしてGoogleAnalyticsを利用する場合「1、ゴールの設定を常にすること」⁠2、カスタムレポートを使うこと」⁠3、アドバンスセグメントを使うこと」⁠4、キャンペーンタグをURLに入れること」⁠5、クッキーを有効に利用すること」の5点を重視することで、コンバージョンの定点観測が可能になり向上にむけた取り組みがスムースになる点を指摘しました。

劇団四季 取締役 吉田智誉樹氏
劇団四季 取締役 吉田智誉樹氏

成功事例として紹介された劇団四季は、1953年に創立された興行界のリーディングカンパニーであり、年間3000を超える上演回数と相対するシステム稼動が実施されています。オンライン予約システムも、業界に先駆けて導入し、2000年にはウェブサイトを稼動させました。空席状況をすべてオンタイムで情報開示し、座席を選べるシステムとし、顧客の利便性を向上しています。また、本年実施中の「ウェブプラン2010」では顧客属性に応じた情報提供や、紙チケットの物流からデータの情報流通への移行も推進しています。

「コンセプトは、個別ニーズに対応すること。近年はミュージカルの一般的認知度は上がったが、まだまだこれから成長するマーケットであり、それに見合うシステムが絶対条件なのです」と吉田氏はwebの必要性を訴え「今後は地域毎の情報を提供する、エリアターゲティングもさらに充実させ、SNSや動画サイトなどの施策も展開しながら、CV向上に力を入れていく」と語りました。

また、興行界で初の導入となるチケットレス、チケット譲渡システムにも触れ「モバイル端末の増加に対応し、QRコードや予約番号で入場券を電子化しています。理想としては完全チケットレスですが、紙媒体と親和性の高いお年寄りなどの顧客も大切にしなければならないので、目処としては来場者の半数のチケットレスシステム利用を想定している」と今後の展望を語りました。

大前氏は昨年サイトをリニューアルし、飛躍的にCV向上を実現させたWWFジャパン(世界自然保護基金の日本事務局)の事例にも触れ、Webサイトの課題を明確化し事前に事業目的を徹底的に反映させてサイトを再構築したことでPVとCVが共に2倍以上になったと報告し「WWFジャパンのサイトでは、入会や寄付に直結する顕在的な情報ニーズに応える側面と、活動を伝え間接的に支援者拡大につなげる広報メディアの側面の2点が非常に重要でした。徹底した調査に基づいて、2つの側面でアプローチを変え、コンテンツや導線の改善を進めていくことで、成果が上がった」と指摘しました。

最後に、⁠社内のみならず制作会社ともWebサイトの目的を共有し、細かく改善をつなげていくことがWebサイトの成果に重要」と基調講演を締めくくりました。

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