Sun Tech Days 2008 in Tokyo開催~2008年のJava振り返りと2009年のJava展望

2008年12月2~4日の3日間、東京ミッドタウン(六本木)にて「Sun Tech Days 2008 in Tokyo」が開催されました。同イベントは、Sun Microsystems, Inc.の技術を中心に、オープンソースソフトウェアやオープンスタンダードな技術にフォーカスしたテクノロジーカンファレンスです。

初日の12月2日には、Javaの産みの親、James Gosling氏による基調講演が行われました。ここでは、その模様を中心にお届けします。

コミュニティのつながり

基調講演の司会を務めたのは、サン・マイクロシステムズ(株⁠⁠、増月孝信氏。同氏は、今回のSun Tech Daysの開催意図について、これからのSunとしての技術展開およびエンジニアへの貢献などについて述べました。

写真1 司会の増月氏。
写真1 司会の増月氏。

また、サン・マイクロシステムズ代表取締役社長Lionel Lim氏によるビデオメッセージが届き「今年、日本の組織にもWeb 2.0部門を立ち上げました。これは異なるコミュニティの開発者たちが一緒に働けるようにすることを目的とした部署で、開発者同士の対話を促進していきます」と、これからの取り組みについて説明しました。そして、⁠今、Sunは、Javaをはじめ、GlassFish、MySQL、OpenSolaris、NetBeansなど、さまざまなオープンソースソフトウェアにコミットし、オープンソースソフトウェアの業界を牽引しています。この動きは今後も続けていきます」と挨拶し、イベントが開幕しました。

写真2 サン・マイクロシステムズ代表取締役社長Lionel Lim氏のビデオメッセージ。
写真2 サン・マイクロシステムズ代表取締役社長Lionel Lim氏のビデオメッセージ。

オープニングデモ―新Java Plug-in&Applet、DTrace&jMonkey Engine、Wiiリモコン&Bluetooth

基調講演に先立ち、アイスブレイクとして3つのデモンストレーションが行われました。

新Java Plug-in&Applet

まずはじめに、Chuk-Munn Lee氏による、Java SE 6 Update 10から実装されている新Java Plug-inおよびJava Appletのデモンストレーションが行われました。デモでは、Webブラウザ上で稼働するマウス操作が可能な画像加工Appletが紹介され、さらに、ブラウザから切り離した形で、1つのアプリケーションで動く様子が紹介されました。

写真3 新Java Plug-inの可能性を語るChuk-Munn Lee氏。
写真3 新Java Plug-inの可能性を語るChuk-Munn Lee氏。
ニコニコ動画:https://www.nicovideo.jp/watch/sm5457880

DTrace&jMonkey Engine

続いて、Jon Haslam氏による、DTraceを可視化するjMonkey Engineを実装したアプリケーションが紹介されました。同氏は「これは、機能面だけではなく使い勝手やビジュアルを意識して作ったものです」と紹介し、新しい見方ができるデータ分析の可能性について述べました。

写真4 ⁠明らかなデータを、より良い形で見られます」と話すJon Haslam氏。
写真4 「明らかなデータを、より良い形で見られます」と話すJon Haslam氏。

このアプリケーションは、3Dメガネ(左右にそれぞれ赤・青のフィルムを貼ったもの)を使うことで、立体的に見ることができました。

写真5 3DメガネとDTrace&jMonkey Engineを利用したアプリケーション。
写真5 3DメガネとDTrace&jMonkey Engineを利用したアプリケーション。

Wiiリモコン&Bluetooth

最後に、Simon Ritter氏が、JavaFXを使いながらWiiリモコンでBluetooth通信を制御するアプリケーションのデモを行いました。このデモでは、赤外線センサーを利用することで位置情報を取得し、投影先の画像を変換するというものでした。

写真6 3Wiiリモコンの操作イメージを身振り手振りで解説したSimon Ritter氏。
写真6 Wiiリモコンの操作イメージを身振り手振りで解説したSimon Ritter氏。
ニコニコ動画:https://www.nicovideo.jp/watch/sm5457959

James Gosling―Javaの父が語る2008年のJava、これから

大変興味深いデモンストレーションの後には、いよいよスペシャルスピーカーのJame Gosling氏が登場しました。

写真7 Javaの産みの親、James Gosling氏。
写真7 Javaの産みの親、James Gosling氏。

Learn Once, Work Anywhere

まず、これまでのJavaをテーマに、⁠10年前、20年前ではネットワークを前提としたプログラミング言語というのは過激な発想では合ったが、今はそんなことはなく、逆にネットワークを前提することがあたりまえとなっています。Javaは、13年前の誕生当初からネットワークを意識している言語なのです」と、Javaとネットワークの親和性の高さ、1,000万人近くのJavaプロフェッショナルの存在、1週間に1,500万ダウンロードされている普及率について紹介し、⁠Write Once, Run Anywhere⁠のコンセプトはそのままに、今後は⁠Learn Once, Work Anywhere⁠と、一度Javaを学べばどこでも働けます」と、Javaの産みの親として、Javaのさらなる可能性を熱く語りました。

Javaトピックス1―最近のJavaテクノロジートレンド

続いて、Javaのトピックについて、1つ1つテーマを絞って紹介しました。

まず、アプリケーションサーバ実装として、GlassFishを紹介し、最新のv3ではモジュール化が強化され、今まで以上に高機能化+汎用化が進んでいくと述べました。

次に、先日リリースされたばかりのNetBeans 6.5について、マルチ言語対応、GUIの改善、パフォーマンス向上など、その利便性の高さを説明しました。

この後は「私自身、ここ数年とくに力を入れている分野です」という前置きのもと、Real Time Javaについて紹介しました。紹介された内容には、2008 JavaOne Conferenceで紹介された産業用ロボットや、Sentilla.comのセンサーなどが取り上げられました。

最後に、Javaのパフォーマンス向上について、CPUの進化に即してJavaは開発されており、今後20年後、仮に4,000コアのマシンが出てきた場合でも、Javaはマルチスレッドにより問題なく処理できると、断言しました。

Javaトピックス2―これからのJavaと周辺情報

続いて、オープンソース化の話がされ、Javaはコミュニティ志向がますます強くなっていることを、改めて強調しました。

さらに、次のメジャーバージョンアップとなるJDK 7について、

  • モジュラ化
  • 動的言語のサポート
  • New I/O(第2世代のI/Oフレームワーク)
  • Swingアプリケーションフレームワーク

といった注目すべきポイントを教えてくれました。この他、携帯電話への動きとして「JSR248 MSA Mobile Service Architecture」を紹介したり、先のChuk氏のデモでもしょうかされていたJava SE 6 Update 10について解説しました。

Javaトピックス3―JavaFX

Goslingのセッションのトリを飾ったテーマは、Sun Tech Daysの最終日にリリースされることが決まったJavaFX 1.0です。これからのRIAを牽引していく技術であるとし、実際にJavaFXのデモンストレーションを公開しました。

 その後、12/4にリリースされました。JavaFXについてはついにベールを脱いだJavaFXをご覧ください。

以上で、初日の基調講演が終了しました。最後に、司会の増月氏からGosling氏へ、日本のNetBeansコミュニティで作られたキャラクター「ねこび~ん」をプリントしたTシャツが配られ、すぐにあてがうなどかなり気に入った様子でした。

Gosling氏には、このあと行われたプレス向けラウンドテーブルでも興味深いお話を伺いました。併せてご覧ください。

写真8 ねこび~んTシャツを受け取り喜ぶGosling氏。ちなみに増月氏からの「昨年のSun Tech Daysで、エンジニアにEmacsを使うことを止めるようにっていっていましたが、今も同じ気持ちですか?」という質問に対して「もちろん!」と答え、会場を盛り上げました。
写真8 ねこび~んTシャツを受け取り喜ぶGosling氏。ちなみに増月氏からの「昨年のSun Tech Daysで、エンジニアにEmacsを使うことを止めるようにっていっていましたが、今も同じ気持ちですか?」という質問に対して「もちろん!」と答え、会場を盛り上げました。

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