第2回iKnow!デベロッパーカンファレンス開催―将来は自分の知能をすべて管理するためのサービスにiKnow! API KICK OFF結果発表

2009年2月2日、語学学習SNSとして幅広いユーザを獲得しているiKnow!ユーザを対象とした「第2回 iKnow!デベロッパーカンファレンス」が開催されました。同イベントは、iKnow!の開発元であるセレゴ・ジャパンが、iKnow! APIリリースに際して開催した記念プログラミングコンテスト「iKnow! API KICK OFF! Developer Challenge」の受賞者を発表するための場として用意したものです。ビールとピザを片手に、カジュアルな雰囲気の中始まりました。

2回目となるデベロッパーカンファレンスがスタート
2回目となるデベロッパーカンファレンスがスタート

iKnow!のこれから

まずはじめに、Kirk McMurray氏によるセレゴ・ジャパンの方向性の発表後、同社の開発陣より機能やサイト上のアップデートについて発表が行われました。

開発陣による発表は表1の通りです。

表1 発表内容とスピーカー
発表内容発表者
OAuth、OpenIDの利用状況、Facebookコネクト真武 信和氏
ブックマークレットの機能拡張(多言語対応)William Shostak氏
Android上で起動するアプリSamuel Joseph氏
構成されていない言語―情報の集りに対するセマンティックアプローチDominiek ter Heide氏、Kim Ahlstrom氏

まずはじめに真武氏から、iKnow!の認証に関してOAuthおよびOpenIDの利用状況、また、iKnow!でのOAuth実装やFacebookコネクトに関する発表が行われました。とくにOAuthに関しては、日本の各Webサービスの対応がこれからということもあり、非常に貴重な資料となりました。プレゼンテーション資料については、後日SlideShareで公開されるとのことです。

日本ではまだ実装例が少ないOAuthについて、Provider/Clientの両面から語った。
日本ではまだ実装例が少ないOAuthについて、Provider/Clientの両面から語った。

続いて、William氏からはiKnow!ブックマークレットの機能拡張について、Wikipedia(英語版)上での利用を元にした内容が発表されました。現在は、英語←→日本語、英語←→中国語に対応しています。この事例は、iKnow!が持っている翻訳精度の高さなどがうまく活用されている機能と言えるでしょう。

iKnow! Bookmarklet
URL:http://www.iknow.co.jp/bookmarklet
プレゼンテーションではWikipedia(英語版)でiKnow!ブックマークレットを実行する様子を見せた。
プレゼンテーションではWikipedia(英語版)でiKnow!ブックマークレットを実行する様子を見せた。

次にSamuel氏より、Android上で動くiKnow!アプリ「gKnow」に関する発表が行われました。今後の展開を期待したい内容です。

Android上で動くiKnow!アプリ
Android上で動くiKnow!アプリ。

そして最後に、Dominiek氏とKim氏から、iKnow!の将来像として、セマンティックでのアプローチについての発表がありました。この中で、iKnow! APIを構成する「Contents Structure」⁠Linguistic Tools」⁠Semantic Tools」の3つの要素について説明があり、今後は最後となった「Semantic Tools」に関する開発に取り組むとのことです。具体的には「言語処理に関する開発を進めていき、まずは文字体系(例:漢字→ひらがな)を翻訳する機能、将来的には構文解析、最終的なゴールとしては、語義の曖昧性までを含めた機能を盛り込むことを考えている」と発表されました。

そして、⁠今、iKnow!は徐々に語学学習ではなく、自分の知能をすべて管理するためのサービスを目指します」とBrian氏はコメントしました。

iKnow!の最終的なゴールについて「自分の知能をすべて管理できるサービス」と語る、COOのBrian Tsai氏。
COOのBrian Tsai氏

応募作品および受賞作品の発表

バラエティに富んでいた応募作品

iKnow!開発メンバーのプレゼンテーションの後は、まず、iKnow! API KICK OFF!に応募した作品のいくつかに関して、LT(ライトニングトーク)形式での発表が行われました。

iKnow!しりとり

まず、藤川氏より「iKnow!しりとり」のデモが行われました。これは、iKnow! APIを利用し、日本語の読みでしりとりをするのですが、回答は英語で行うというものです。たとえば、ラジオ→音楽(おんがく⁠⁠→クイズであれば、Radio→Music→Quizとなります。

iKnow!しりとり
URL:http://iknow.mail-s.net/

開発には、JRuby on Railsを利用し、バックエンドにGlassFishv3など、かなり作り込んだアプリケーションでした。

iKnow!しりとりのデモを行う藤川氏。
iKnow!しりとりのデモを行う藤川氏。
Project Novita

続いて、Brett Gneiting氏からは、iPhone上で使えるiKnow!アプリ「Novita」が発表されました。一番の特徴は、iKnow!接続時にリストを読み込み、iPhoneがネットに接続されていなくてもiKnow!が利用できる機構になっている点です。⁠いつでもどこでも」がコンセプトになっているとのことでした。質問などはbrett@bakarakuda.comで 受け付けているそうです。

Project Novitaを発表するBrett Gneiting氏。
Project Novitaを発表するBrett Gneiting氏。
iKnow! DS

次の発表は、isocchi氏が開発したインターフェースデバイスとしてニンテンドーDSを利用したアプリ「iKnow! DS」です。まず、前置きとしてDSを入力デバイスとして利用するときの注意点および自己責任である点を説明した上で、アプリの解説が行われました。このアプリケーションは、iKnow!で英語を学びつつ、実際に書取を行うことで漢字筆記の習練が行えるというもの。デモ中で実際にニンテンドーDSが使われるシーンになると、たくさんの拍手が起きました。

iKnow! DS。マウスやタッチパッド以外のデバイスでもiKnow!が活用できる。
iKnow! DS。マウスやタッチパッド以外のデバイスでもiKnow!が活用できる。
iKnowLyrics.com

4番目に発表されたのは、山内雅浩氏が開発したlyrics.comとのマッシュアップアプリ「iKnowLyrics.com」です。lyrics.comは、洋楽の歌詞をまとめているコンテンツサイトで、洋楽の歌詞から英語を学習できる仕掛けになっています。

音楽とともに英語が学べるiKnowLyrics.com。
音楽とともに英語が学べるiKnowLyrics.com。
iPhoneへの実装

LT最後の発表は、田中氏によるiPhoneへの実装サンプルです。田中氏からは「これといった目新しい機能を追加したわけではないのですが、iPhoneのインターフェース、とくにスクロールを十分に活用したサンプルとして、開発の練習の意味も込めて作ってみました」と謙虚なコメントがされました。

iPhone上に実装したiKnow!。任意のIDを入力すると、そのIDに紐付いた単語が表示される。
iPhone上に実装したiKnow!。任意のIDを入力すると、そのIDに紐付いた単語が表示される。

1位はボキャブレイヤー―動画からリストやアイテム作成が可能

その後、イベント当日体調不良のため参加できなかった審査委員長の伊藤穰一氏がSecondLifeおよびSkypeを通じて会場に登場し、受賞作品の発表を行いました。

SecondLifeに登場した伊藤穣一氏(奥のアバター⁠⁠。
SecondLifeに登場した伊藤穣一氏(奥のアバター)。

発表された審査結果は表2の通りです。

表2 iKnow! API KICK OFF! Developer Challenge受賞作品
順位受賞作品名受賞作品概要作者名作品URL
1位ボキャブレイヤー動画からリスト、アイテム作成ができる長澤智也http://jipanglish.com/english/
vocablayer.php
2位iKnow 3G!iPhone Safari上で動く学習サービス安藤靖http://apps.technohippy.net/
iknow3g/
3位iKnowLyrics.
com
lyrics.comとのマッシュアップ山内雅浩http://iknowlyrics.com/
3位NovitaiPhoneネイティブアプリBrett Gneitinghttp://blog.bakarakuda.com/
novita/

授賞式にあたり、LTでは発表されなかった、2位 iKnow 3G!、1位 ボキャブレイヤーの順に、それぞれのデモが行われました。

iKnow! 3G。iPhone Safari上で動く学習サービスで、かなりの完成度だった。名前については「今後セレゴ・ジャパンさんから正式版のiKnow! for iPhoneが出されることを期待して、iKnow! 3Gにしました」と安藤氏はコメント。
iKnow! 3G。iPhone Safari上で動く学習サービスで、かなりの完成度だった。名前については「今後セレゴ・ジャパンさんから正式版のiKnow! for iPhoneが出されることを期待して、iKnow! 3Gにしました」と安藤氏はコメント。
1位を受賞した「ボキャブレイヤー⁠⁠。凝ったビジュアルデザインやiKnow! APIを上手に活用した点など、非常にすばらしい作品だった。当日は開発した長澤氏が参加できなかったため、セレゴ・ジャパン真武氏が代理で発表・受賞した。
1位を受賞した「ボキャブレイヤー」。凝ったビジュアルデザインやiKnow! APIを上手に活用した点など、非常にすばらしい作品だった。当日は開発した長澤氏が参加できなかったため、セレゴ・ジャパン真武氏が代理で発表・受賞した。

開催を終えて

今回の発表会は、iKnow!のサービスの魅力はもちろん、APIの公開によるオープン化、また、OAuthやOpenIDなど技術的な展開など、これからの進化が期待できる内容でした。

iKnow!
URL:http://www.iknow.co.jp/
iKnow!デベロッパーサイト
URL:http://developer.iknow.co.jp/

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