レポート

速報レポート:エンジニアの未来サミット0905

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第二部:「弾 vs. 個性派エンジニア ─サバイバル討論」

15時35分からの第二部は「弾 vs. 個性派エンジニア ーサバイバル討論」とし,前回その個性的な語り口で強烈な印象を残した小飼弾氏ディーエイエヌ(有)にさまざまなエンジニアのみなさんが挑みます。個性派エンジニアには,山崎徳之氏⁠株⁠ゼロスタートコミュニケーションズ⁠,高井直人氏伊藤忠テクノソリューションズ⁠株⁠⁠,閑歳孝子氏⁠株⁠ユーザーローカル⁠,井上恭輔氏⁠株⁠ミクシィ⁠,米林正明氏⁠株⁠Abbyが参加。モデレータは馮富久氏⁠株⁠技術評論社が勤めます。

左から馮,弾,米林,井上,閑歳,高井,山崎の7名(敬称略)

左から馮,弾,米林,井上,閑歳,高井,山崎の7名(敬称略)

テーマ1:エンジニアのスキルとは

スキルについて

前回に続き2回目の参加となる高井&米林組,出版社勤務からエンジニアという珍しい経緯を持つ閑歳氏,唯一の80年代生まれ井上氏など多才な顔ぶれが並んだ今回。エンジニアに必要なスキルとして「自分の取り組みや技術をエンタテインメント的に表現できるスキル」を提案した井上氏,その勢い溢れる語り口はまさにスーパールーキーといった印象です。

他方,⁠一般の人でも使いやすいようデザインや使い勝手にこだわることが大切」と語る閑歳氏の発言は,Award on Rails 2008大賞を受賞しただけに説得力がありました。最終的な全員の共通意見は,⁠技術力をつけた上で,人とコミュニケーションを取る技術や伝える技術を磨くこと」に。

ではそのスキルアップの方法にはどんなものがあるのでしょう。⁠トラブル対応で経験値をつけた」山崎氏のような追い込まれ型,⁠努力を少しずつ積み上げ続けた」米林氏のようなコツコツ型に加え,高井氏は「つまずきは技術評論社の本を読んで解決する」発言で会場を沸かせます。さらに会場からのコメントとして,前回のパネリスト庄司嘉織氏⁠株⁠ドワンゴからの「チュートリアルを写経した後で実際に作るのが一番」との意見もあり方法はさまざま。読解能力の必要性なども含め,習得にはやはり⁠急がば回れ⁠⁠。技術書の読解と実制作の繰り返しが確実のようです。

途中,高井氏から井上氏に向けて「最も頭が回転する26歳ごろまでに自分に必要なメソッドを見つけるべき」とアドバイスする場面では,深く頷く来場者の姿も見受けられました。

地域格差について

地域格差問題も地方在住のエンジニアにとっては興味深い問題です。⁠開発はフェイストゥフェイスの方が効率が良く,密度の高い場の方が成果を出しやすい」⁠山崎氏⁠⁠,⁠サービスを売る営業さんと温度差が出ないよう近くにいたほうが良い」⁠閑歳氏)など,勉強会の多さやプラットフォーム,開発上の環境などからまだまだ東京に地の利があると言えそう。そうではないエンジニア諸氏にとっては,おそらく小飼氏の「東京に住まなくても出てこれるという気持ちは必要」という発言が落としどころなのかもしれません。

質問(1)

Skypeなどでコミュニケーションを取るような会議ではダメ?

山崎氏の回答は「セッションに限ればアリだが,目の前でないと伝わらないことが多いので技術力を伸ばしたい段階ならば膝をつき合わせる必要があると思う。逆に言えば,技術を身につけてからならば地方でも良い気がする⁠⁠。その他の発言からも,技術力を向上させるなら東京が強いという結論になりました。

その後,質問を受ける形で,米林氏からの「これまでで最も非効率だった方法を教えてほしい」という質問には,⁠本を最初に読むのが自分には合わないので人の行動を真似してある程度作ってから読む」⁠閑歳氏)「変化球の学び方をすると失敗することが多い」⁠高井氏)などの回答が。逆説的に見て効率を上げるポイントは「自分の気分を乗せるスイッチの入れ方を知っていること」にあると言えるのではないでしょうか。

第二部はカジュアルな中話が進みました

第二部はカジュアルな中話が進みました

テーマ2:エンジニアの未来について

パネラーに過去の思い出を尋ねたところ,かなりバリエーションに富んだ回答が集まりました。データセンター運用時の経験から「ものすごい経験をするとそれよりラクなときに,なんとかなると思える。私は過去にデータセンターのハードウェア差し押さえという経験があり,それを乗り越えたことは非常に大きな糧となっています」と語り,会場から賞賛の声と拍手をもらった山崎氏や,⁠不運に恵まれて幸運に巡りあった」という小飼氏,入社後にストレス性円形脱毛症にかかったことで「自分を見つめ直し,やりたいことをアピールしたらうまく行きだした。境界線は自分で作った物でしかないと気付いた」井上氏など,壮絶な内容もちらほら。

「こういう考え方をするエンジニアはだめ」トーク後の,失敗談トークでも山崎氏の生々しいトラブル対処経験が炸裂,⁠大事なのはいかに復旧させるか。バレる範囲をいかに狭くするかと頑張るからこそ経験値が身につくわけです」という笑いを交えた言葉に会場も大いに盛り上がりいました。

今回のイベントではUstreamの反応も積極的に取り込みました。コメントを元に給料に関する質問も投げかけられ,お金を意識することの重要性が見えただけでなく,米林氏の「難しいコードを書いているのに給料が上がらない人の原因には,上司にアピールできていない,自分の開発がどれだけの価値を生み出しているかわかってない」という発言もあり,自己評価の参考になりそうな回答が得られました。

質問(2)

気分が落ちたりした時,盛り返すための方法って?

回答は「どこまで落ちられるかゲームにする」小飼氏や「過去のある場所まで戻って自信を取り戻す」という理論派の高井氏のほか,友人や同期に相談する派,自然に受け入れる・やり過ごす派などに分れました。

質問(3)

エンジニアとしてやっていくためのモチベーションとは?

「第三者に面白いと絶賛されること」⁠井上氏⁠⁠,⁠名指しで頼んで良かったと言われること」⁠米林氏)のような他者評価型,⁠ひらめいた瞬間の気持ちよさ」⁠高井氏)などの自己追求型と,2パターンに分類されたモチベーション問題。⁠なくてもいいけどあるとがんばれるボーナス」と捉えているパネラーが大半で,質問者も「知的欲求が第一という人が登壇者には多いと思っていただけに,自分と同じ考えの人がいるとわかって良かった」と感想を述べていました。

まとめ:「エンジニアの今後について」

最後は前回も好評だったホワイトボードコメント。テーマは「エンジニアの今後について⁠⁠。

  • 高井氏:好きこそものの上手なれ
  • 山崎氏:一回切り出し 必死にがんばりましょう。そしたらなんとかなるし
  • 閑歳氏:先が見えない事を楽しむ
  • 井上氏:自重しるwww を目指す
  • 米林氏:愛札
  • 弾氏 :「Make&Make Sence」

「仕事を好きになることが大切」という高井氏の言葉を皮切りに,トラブル対応で身についた「なんとかなる」論の山崎氏や「考えてもわからないんだから好きなことをやろう」という閑歳氏,経験に裏打ちされた言葉が会場の共感を誘います。また井上氏は「僕にとって⁠自重しるwww⁠は褒め言葉,そう言われる位活発な活動をしたい」と最若手らしい言葉を。米林氏は「周囲の人を大事にしながら(愛⁠⁠,自分の開発がどれだけのお金になるか理解すべき(札⁠⁠」と挨拶にかけたコミュニケーションの重要性を提示しました。

最後はやはり弾氏。⁠嫌いな物でもやってみると好きだと気付くこともあるから,作ってから感じてもいいのでは」と,好きなことに焦点が当たりがちなイベントディスカッションに一石を投じる言葉でイベントを締めました。

パネリスト全員による集合写真

パネリスト全員による集合写真

スポンサーセッション:パソナテック

ディスカッション終了後,本イベントの協賛企業パソナテックによるスポンサーセッションが行われました。スピーカーは同社の入江直樹氏。10分ほどではありましたが,基本的な派遣・就業サービスの説明の他,コミュニティ活動の支援や無料スキルアップ機会の提供など,エンジニア活動に関するメリットを中心にお話いただきました。

⁠株⁠パソナテック 入江直樹氏

(株)パソナテック 入江直樹氏

今回はIT業界の狭い世界に閉じこもらないこと,積極的に外部と接触し意見交換することの重要性が頻出していました。パネラーが呼びかけていたように,ぜひ今回の感想をブログで発信してみてください。エンジニアの可能性や世界を広げる起爆剤は意外と身近なところに潜んでいるのです。

エンジニアの未来サミット 0905
http://gihyo.jp/event/01/engineer/0905

著者プロフィール

木村早苗(きむらさなえ)

フリーランスライター。滋賀県出身。ギャラリー勤務,Webデザイン専門誌の編集を経て,現在はデザイン,ファッション,音楽,IT系など幅広い分野で執筆を行う。著書にWSE BOOKSシリーズ『社内ブログ導入・運用ガイド』(技術評論社)。お笑い&音楽好き。