「マジカカンファレンス2009」レポート―業務フローを誰でも簡単に書けるようにするために

2009年11月9日に開催されたマジカカンファレンス2009の様子についてレポートする。

「うちの会社の仕事の流れには無駄があるような気がする」――多くの人がそう思った経験があるだろう。⁠マジカ!」は、業務フローを誰でも簡単に書けるようにするために考案されたもの。病院の受付業務でいうと、⁠患者さんが来たら問診票に記入してもらい、窓口に提出してもらう」といった業務の流れを、数種類用意されているイラストの入ったカードに1コマずつ書き込み、それをつなぎ合わせていくことで業務フロー全体を記述する。非常に直感的なので、専門家ではないエンドユーザーにも簡単に業務フローを記述できる。

マジカ!は無償で公開されており、開発元の ⁠株)マジカジャパンが運営するサイトからダウンロードできるが、実際にどのように利用するのかを知りたい人も多いだろう。そのようなニーズに応えたのが、2009年11月9日に開催された「マジカカンファレンス2009」である。

マジカ!の魅力

最初の基調講演に登壇したマジカ!の生みの親である⁠株⁠マジカジャパン 代表取締役社長の羽生章洋氏は、業務フロー自体に問題があるのにそれに無理矢理対応することを繰り返すと、業務フローのさらなる複雑化や、社員の負担の増加など、負のスパイラルを生み出すことを指摘。業務フローの問題点を現場の人間が表現する方法として、⁠マジカ!」の魅力を解説した。

また、マジカ!の新しいバージョンを年末~年明けにリリースすると発表した。新しいマジカ!では、より業務フローを表現しやすくするさまざまな改善を行っていて、⁠書きやすい」⁠読みやすい」から「書きたい」⁠読みたい」へと進化するとのこと。

写真1 ⁠株)マジカジャパン 代表取締役社長 羽生章洋氏
写真1 (株)マジカジャパン 代表取締役社長 羽生章洋氏

福岡県大野城市(おおのじょうし)市役所の事例

続いて登壇した福岡県大野城市 自治経営課 IT政策担当 森永希代美氏。

保健・福祉に関する手続きは処理が多く、複数の窓口を行ったり来たりしなければならない、というイメージを持つ方も多いだろう。これらの無駄をなくしたいと職員が考えていたときに出会ったのがマジカ!だったという。フローチャートを作ろうとして挫折した森永氏も、マジカ!であれば簡単に記述でき、かつ現場の人たちにも仕事の合間を利用して業務フローを無理なく書いてもらえたという。マジカ!によって洗い出された共通化できそうな業務を一元化したり、別の人が行える業務は分担するなどし、たくさんの無駄や遠回りをなくすことができたとのこと。講演中には実際に利用したマジカ!のシートも紹介され、実際利用するイメージがとてもつかみやすかった。

写真2 福岡県大野城市 自治経営課 IT政策担当 森永希代美氏
写真2 福岡県大野城市 自治経営課 IT政策担当 森永希代美氏

⁠株⁠ヌーラボの院内業務システムの事例

⁠株⁠ヌーラボ 代表取締役社長 橋本正徳氏は、病院の院内業務システムの事例を紹介した。病院では非常事態における例外的な処理があったり、システムが利用される状況が開発者にわかりづらいなど要件定義が難しい環境だが、マジカ!を利用することで、例外的な処理を明確に分けて定型的な部分のシステム化を行えたり、医療業務のイメージをつかむのに大変効果的だったという。マジカ!による業務フロー記述の説明は、6時間という短時間のミーティングで行えたとのこと。

写真3 ⁠株)ヌーラボ 代表取締役社長 橋本正徳氏
写真3 (株)ヌーラボ 代表取締役社長 橋本正徳氏

マジカ!と連携するソリューション

最後に、⁠株)クエステトラのマウス操作で簡単に業務フローを記述できるQuestetra BPM Suite、⁠株)ワディットのGUIでプロセスを定義するだけで、システムを作成可能なフレームワーク「Kailas」など、マジカ!と連携するソリューションが紹介された。また、⁠株)フライトシステムコンサルティングは⁠株⁠マジカジャパンと共同で、マジカ!や、UIに必要な項目を決定していくツールなどを利用してコンサルティングを提供していくとのこと。


マジカ!はエンドユーザにも業務フローを書きやすいという特徴のほか、現場の人間同士、システム開発を請け負う側と顧客側など、人と人とのコミュニケーションを促進する効果もある。この「相互理解」こそが、業務フローを記述する理由であると羽生氏は語った。

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