Power CMS for MT ver.3製品発表セミナーレポート

6月9日、アルファサード社の製品「Power CMS for MT ver.3」の発表に伴うセミナーが開催された。Power CMS for MTはシックス・アパート社のMovable Type(以下、MT)に対応したCMS強化ソフトウェア。ver.3では、先日リリースされたMT 5.1に対応する。

制作・運営の現場では、Webサイトの大規模化、CMS運営ユーザ数の増加といった新たな課題が浮上している。アルファサード社代表取締役社長の野田純生氏は、こうしたCMSをめぐる問題の変化を背景に、最新バージョンで強化している機能をアピールした。

MT誕生から10年を迎えての課題

はじめにシックス・アパート社執行役員製品企画担当の金子順氏より、MT 5.1の紹介が行われた。今年MTは誕生から10年を迎えることに触れ、CMSは運用を継続するとコンテンツが肥大化するという問題点を提起。一方でMTは1人~数人でも効率的に運営できることを念頭に設計しているシステムだと述べた。

その考えを反映した機能の例として、新しい管理画面を紹介。MTには従来からブログを整理するための「カテゴリ」機能があるが、大規模サイトでは数が膨大になる。新しい管理画面ではドラッグ&ドロップでカテゴリの階層をスムーズに変えられるようになり、煩わしい操作からの解放がデモで示された。

また、あわせて複数条件の組み合わせによるカテゴリのフィルタリング、マルチブログ機能の強化などを説明。巨大なWebサイトや膨大な量のコンテンツが扱いやすくなっていることを重ねて示した。

オールインワンでさまざまな機能を活用

続いて、野田氏よりPower CMS for MTの概要について簡単な説明が行われた。Power CMS for MTではMTになく、Webサイトに必要なものを作り続けてきたと振り返り、承認ワークフローとリビジョン管理、3キャリア対応携帯サイトの生成などさまざまな機能を紹介。また、これらがオールインワンで利用できる点をアピールした。

Power CMS for MT ver.3について説明を行う野田氏
Power CMS for MT ver.3について説明を行う野田氏

同ソフトウェアが顧客に選ばれる理由としては、⁠多機能性」⁠MTの延長線として扱える操作性のよさ」⁠コストパフォーマンスのよさ」などを挙げた。

800以上のレシピ情報を一括インポート

休憩時間をはさみ、Power CMS for MTを活用したサイト構築の事例紹介が行われた。登壇者は、マイクロウェーブ社マーケティング戦略本部の山林賢一氏。

同氏は、エバラ食品工業社の料理レシピサイトをリニューアルしたプロジェクトについて述べ、そのときのCMSへの要望として「管理画面の使いやすさ」⁠CSVファイルによるレシピの更新」⁠PCサイトと携帯サイトの同時生成」があったことを報告した。

プロジェクトでは実際にCSVファイルでコンテンツを一括インポート。800以上のレシピ情報が一挙に更新されたという。また、同サイトでは「アクセスランキングの表示」⁠数ヵ月分の記事の公開日指定」⁠Ajax、PHPを用いた複合検索」など豊富な機能が実装されたことを紹介した。

設計フリーなオブジェクト指向CMS

続いて再び野田氏が登壇し、Power CMS for MT ver.3の機能紹介が行われた。同氏はCMSをめぐる現状の課題を分析し、多様化する利用環境に応えるためのCMSを提唱した。

その実践として、ver.3ではカスタムフィールドによる項目をオブジェクトで管理する「カスタムオブジェクトフレームワーク」の機能を大幅に強化する。カスタムフィールドとは、管理画面で独自の入力項目を追加できる機能で、MTに標準で装備されている。

MT単体では、ブログ記事やカテゴリといった、提供されている機能のなかで設計を考える必要があるが、カスタムオブジェクトを活用するときわめて自由度の高いCMS設計が可能になる。というのも、あらゆる項目はオブジェクトとして相互に関連付けすることができ、また権限設定やタグ付け、バージョン管理など数多くの情報の付加が可能なのだ。CMS版のオブジェクト指向と言えるフレームワークが提供される。

WYSIWYG的な管理画面の設計も可能

また、⁠カスタムフィールド++」はMT標準機能のカスタムフィールドを拡張する機能。25以上のカスタムフィールドタイプを選ぶことが可能になる。

野田氏はカスタムフィールド++を具体的に活用したデモとして、野球のスコアボードを入力するためのフィールドを備えた管理画面を披露し、出力Webページとほとんど似たイメージを設計できることを示した。きめ細かく管理画面をカスタマイズすることにより、エンドユーザーからの正確な記事投稿が期待できる。管理側にとって、ユーザーのトレーニングという負担から解放されるメリットがある。

その他、⁠ContactForm.pack」や強化された「Dynamic MTML」の紹介があった。Dynamic MTMLは動的なサイトの生成を強力にサポートする機能であり、たとえば最近注目を集めるマルチデバイス環境への対応というテーマ下では、端末の振り分けに威力を発揮する。

この後、質疑応答が行われ、セミナーは閉会した。Power CMS for MT ver.3は7月上旬のリリースを予定している。

おすすめ記事

記事・ニュース一覧