米Liferayはポータルプラットフォームとして世界で50万以上のユーザを持つ企業です。2012年7月に日本法人である日本ライフレイ株式会社を設立した同社が、11月9日に「Liferayオープンソース勉強会」と題し、メディア向けの勉強会を開催しました。
同社のメインソリューションである「ポータル」は非常に多くの機能をもつソフトウェアです。おもに企業内の情報共有などを促進するためのWebサイトを簡単に構築するというものですが、CMSの機能を基本としてグループウェアの機能や各種コラボレーション機能、さらに最近はソーシャルアプリ機能も加え、社内ポータルだけでなくユーザ向けのサービス等にも幅広く利用できるソフトウェアとなりました。こうしたシステムを導入しようとすると、通常はコンテンツの作成も含めかなりの出費が必要となるでしょう。
同社が競合製品としているのはMicrosoftのSharePointやIBMのWebShere Portalなどですが、これらの製品とLiferayの最大の違いは、Liferay Portalがオープンソースベースという点です。元々Liferayはオープンソースのポータルプラットフォームとして2000年に誕生し、全世界で7万人以上のユーザを抱えるオープンソースコミュニティにより現在まで開発が続けられています。このオープンソース版が大手の企業等によって利用されるようになり、より高度なサポートが求められたことを受け同社は設立されました。
このため今回の勉強会も「オープンソース」とあえて銘打っているわけですが、もちろんLiferay Portalはオープンソース版でもそのフル機能を利用することができ、一般的なOSSと同様コミュニティによる改良や情報提供も活発に行われています。OSS版を元に開発された製品版Liferay Portalエンタープライズエディションは、さらに大規模な使用やセキュリティ、パフォーマンスを追求した製品で、もちろん同社の手厚いサポートやサイト構築、運用に関するコンサルティングを受けることができます。
同社のミッションも一般的なIT企業とは少し異なり、社会貢献を大きな目的としています。もちろん赤字になっては企業が存続できませんので利益追求を無視するということでは無いようですが、収益の10%を基金として各種のNPOを通じて疾病や難民の救済に送ったり、2011年の東日本大震災でも、同社CEOのブライアン・チェン氏自らがボランティアとして復旧作業に参加するなど、積極的に貢献活動を行っているとのこと。またこの社是を守るため、同社は株式も公開しておらず、外部の資本によって社の方針を大きく転換させられるようなことはないと言います。
オープンソースベースの製品を軸とした企業は数多くありますが、企業存続のためにオープンソースとしての特長を捨てざるを得ないケースもよく見かけます。同社が独立独歩の方針を貫けるのは、元となるオープンソース版の性能がよく、これを支える開発コミュニティも発展を続けており、サポート面で安定した収益を得られるサイクルがうまく回っているからだと言えます。
これまでLiferay Portalが多く使われていたのはおもに北米やヨーロッパの大手企業でしたが、トヨタやホンダの米国法人やオージス総研など、日本企業でも徐々に採用が進んでいるとのことで、日本企業にも同社のポータルが採用される土壌は十分にあると見ているようです。そこで今回の日本法人の設立に当たって、同社は初めて原資を使ってプロモーションを展開していくとのこと。製品のポテンシャルは非常に高いので、一気にブレイクするかも知れません。
- 日本ライフレイ
- URL:http://www.liferay.com/