それは先ほども触れたとおり、オープンにすると作品が人の目に触れる機会が増え、新しい出会い、発展の機会が増える(Openness brings opportunities)、共有すれば反応がその分多くなるので自分自身の軸がぶれなくなる(Openness brings reflection)、オープンなモノ程生き延びる(Openness works survives)とし、それによりクオリティが高まり、未来に繋がる作品ができあがると信じているからです。
私が衝撃を受けたのは「stop working on things that can be stolen / 人に盗まれるようなものだったらそんな作品を止めてしまえ!」というスライドが紹介された時です。オープンにするとアイディアが盗まれる、誰か他の人が自分の作品を模倣してしまうのではないか?という恐怖心は自然なモノかと考えていたのですが、Kyle氏の考えは違います。
シャイな人間とはモジモジしている引きこもりだけではなく、責任を果たしてないとビシッと言います。「Shyness is selfishness. You don't know who needs your help. / 恥ずかしがり屋=シャイって言い訳は結局自己チュー的な考え方なんだよね。世界中で君の助けを必要しているヒト達が見えてないのさ(意訳)」
今回のFITC TOKYO 2013には日本代表のクリエイティブカンパニー、そしてクリエイターも登壇しています。DELTRO INC.、真鍋大度氏、PARTYから中村洋基氏と清水幹太氏。彼らのセッションの中にもオープン/シェアリングする大切さが語られていました。
ここでは2つの作品を通して、この大切さを紹介します。
Perfume "Global Site Project" ファンとクリエイターを結ぶオープンソース/シェアリング プロジェクト
2013年第16回文化庁メディア芸術祭エンターテイメント部門大賞を受賞した真鍋大度氏のPerfume“Global Site Project”は、人気グループPerfumeの世界進出プロモーションのために、Perfumeの3人の新曲ダンスのモーションキャプチャーデータをオープンソースとしてプロジェクトサイトやGitHubに公開することで世界中のファン、クリエイターがオリジナルのPerfume新曲プロモーションに参加できるような仕掛けです。
この活動の肝はアーティストのプロモーションにファンやクリエイターも参加できるような仕掛けを真鍋大度氏がオープンソースプロジェクトで実施したことにあります。いままではアーティストの振付け/ダンスはアーティストに帰属し、ファンは受動的にアーティストからの情報を受けるだけ、クリエイターも特に関与できるキッカケがありませんでした。それが、今回のGlobal Site Projectによりファンとクリエイターは自分たちの得意分野を活かしてPerfumeの世界進出を応援することができるようになったのです。