レポート

INBOUND MKTG 2013 TOKYOレポート(その1)~インバウンドマーケティングの心構えと実践

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パネルディスカッション1:Inbound Content Strategy & Tactics『インバウンドなコンテンツづくり。ブログ,ソーシャル,SEOの活用と課題』

続いて,インバウンドなコンテンツづくり,ブログ,ソーシャル,SEOの活用課題と題して,シックス・アパート株式会社 関 信浩氏,Ginzamarkets株式会社 清水 昌浩氏,株式会社ガイアックス 栗原 康太氏によるパネルディスカッションが行われました。

インバウンドマーケティングの実践について語られたパネルディスカッション

インバウンドマーケティングの実践について語られたパネルディスカッション

高広氏は,なぜこのメンバーのパネルディスカッションを設定したのかについて,このメンバーは自分たちの会社がインバウンドマーケティングの実践者,かつ,インバウンドマーケティングを実現するサービスを提供する会社であると紹介し,インバウンドマーケティングを実践していくうえで,コンテンツをどのようにしていけばいいのかの話を伺うと説明しました。

ブログに個人の属人性を持って魅力的に。そこに会社のブランド,Authorityをかぶせる

関氏は,シックス・アパートで,Six Apart ブログを始めとして,計8つのブログと計17個のソーシャルメディアアカウントを運営しており,インバウンドマーケティングの取り組み例として,Six Apartブログを例にして紹介しました。

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Six Apartブログは2012年から運営しており,きっかけはオウンドメディアとして公式にリリースする情報だけでは「限界」を感じてきたことによると関氏は語ります。公式ブログには「型」があり,そこにはまらないものを出すところがなく,個人のブログやソーシャルメディアで発信する状況になっていったそう。これはもったいないということでSix Apartブログを立ち上げたとのことです。

高広氏が,個人が属人的な部分と公的な部分をどう切り分けているのかを質問したことに対し,関氏は属人性がないと魅力的にはならないと考えていて,そこには,個人の発言ではありながら,会社がAuthorityを与えているということに今はなっていると答えました。

Six Apartブログのコンテンツは,他社動向も含んだ業界動向の紹介から英語情報で調べた和訳的なもの,社会人としてのライフハック的なものまで多岐にわたります。会社や自分たちの自己表現の場としても機能させており,エバンジェリストたる気持ちをこの取組みで増幅させている役割もあると語りました。

Six Apartブログでは「継続性」「楽しさ」を重視

最も重視したのは「継続性」としたと関氏は語る。業務を少し超えたところもあるため,継続を実現させるために楽しさを重視したと言います。このブログではコンバージョンは意識していないそうです。KPIの話ばかりしてもモチベーションが下がります。社長賞という形でKPIはいくつか設定しているものの,それは目的ではなく,モチベーションのための手段であり,KPI自体も毎回変更していっていると語りました。

自分たちも楽しみ,好かれるのがインバウンドマーケティング

ガイアックスでは,以前はオープニングノートで話されていたハンター型と呼ばれるようなテレアポで営業活動をやっていたのですが,営業効率であったり,お客さんと信頼関係が築きにくい状況であったことから,全社的にインバウンドマーケティングの取り組みを始めたそうです。ブログは清水氏とインターン生の2,3人という体制で運営していますが,直近では月に190件ほどのリード(具体的な相談になる前の状態の問い合わせを含む)を獲得できるまでになったと紹介しました。

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同氏はアウトバウンド型の営業活動をやっていたときを振り返り,お客さんも売りに来たな,という姿勢からだとなかなか動かせない状況であったことや,営業活動を行う側もだんだん気持ちが沈んできていた状態だったと述べました。

これはシックス・アパート関氏が話された自分たちが楽しい,ということにもつながります。これがひとつのポイントであると高広氏は語り,本日のテーマであるLOVABLEにも通ずるとしました。

清水氏は実体験として,ダウンロードコンテンツを閲覧してくれたユーザに実際コンタクトした際に,こういった考え方を持っている会社なんだな,と聞く準備ができていることが大きいと,インバンドマーケティングに対する印象を述べました。

コンテンツを書く上でSEOで気をつけること

清水氏は,キーワードとしては比較的にニッチなものを狙い,コンテンツを書く前には該当するキーワードを調べ,これくらいの記事を書けばいいな,という目星を考えているそうです。ビッグキーワードとロングテールキーワードでは,ビッグキーワードは継続的に記事を書かなければならず,現状の体制を考慮すると,資産価値が低くなる可能性が高く,ロングテールキーワードを意識していると語りました。

シックス・アパートでは,少し先取りをしたキーワード,たとえば,来月にこういったイベントがあるので,こういったキーワードが検索されるだろうなということを意識していると言います。一般的に検索ボリュームを意識するSEOですが,先取りしたキーワードではソーシャルメディアからの反応から始まり,徐々に検索からの流入になっていくと解説しました。

同社の取り組みはある意味ボランタリーベースのような形なので,当初からSEOを意識してこのキーワードを取りに行くというのではなく,この記事のパターンならこのようなSEOを意識できるといったような編集をあとから考えるようにして,継続性の中で割り切っているとも語りました。

どれくらいの時間で売上貢献を考えるか

高広氏は,本パネルに登壇したメンバーのコンテンツの作り方として,具体的なセールスに紐付いたのはあくまで結果であることが特徴的である指摘しました。各社への質問でどれくらいの期間で売上を考えるかという質問に対して,関氏,栗原氏は半年から1年という期間で捉えているとコメントし,清水氏は直接的な売上というのを意識するとアウトバウンドと変わらなくなるため,意識していないとコメントしました。

高広氏は最後に,Old Economyマインドセットでは企業側のタイミングでマーケティングを行っていたが,New Economyマインドセットでは人々のスケジュールに合わせてマーケティングを行うことが特徴であるとまとめ,パネルディスカッションを締めくくりました。

著者プロフィール

和田嘉弘(わだよしひろ)

インテリジェントネット株式会社COO/WebSig24/7代表。

大手企業のコミュニケーションデザイン,コンサルティング,制作に多数携わる。2004年に業界団体WebSig24/7を立ち上げ,WebSig1日学校など参加型の勉強会を主催。

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