『【ヒカ☆ラボ】起業を目指す皆様へ!! 必見!! フリーランスが法人化をするメリット、デメリットお教えします!!』レポート

2014年4月14日(月⁠⁠、レバレジーズ⁠株⁠主催のイベント【ヒカ☆ラボ】にて「起業を目指す皆様へ!! 必見!! フリーランスが法人化をするメリット、デメリットお教えします!!」が開催されました。当日は参加者のほとんどがエンジニアの方でしたので、SEの方が法人化する際の話をイメージして講演されました。今回はそのセミナーでの内容をピックアップしてレポートいたします。

フリーランスの方は法人化に関して興味を持たれている方が非常に多いそうです。講師の小池康晴氏は、このような法人化関連はどうしても書籍に載っているような内容になってしまうと語りつつも、会場では個別ケースに掘り下げてお話しくださいました。

本レポートの内容
  • 個人事業主と法人、何が違うのか
  • 法人化のメリット
  • 法人化のデメリット
  • 法人化の手順
  • まとめ
写真1 小池康晴氏
写真1 小池康晴氏

講師プロフィール

小池康晴(こいけやすはる)
あおば法律会計事務所 共同代表/レバレジーズ(株⁠⁠ 顧問税理士

<略歴>
H9年 中央大学商学部会計学科卒
H12年 税理士試験合格
H17年 あおば法律会計事務所 共同代表
H25年 現在に至る

<現在の顧問先数>
法人80件、個人90件、セカンドオピニオン多数

個人事業主と法人、何が違うのか

図1 個人事業主と法人、何が違うのか?
図1 個人事業主と法人、何が違うのか?

個人事業主と法人での大きな違いは、

  • 税率
  • 経費算入のルール

とのことです。

税率

法人化すると割安な税率になります。ただし単純なパーセンテージでは判断できません。ネットでの情報では税率テーブルのトリックの話はあまり出てこないのですが、実はかなり重要だそうです。

経費算入のルール

経費参入のルールがどれだけ節税効果があるのかということについても、法人化のメリットとして話していただきました。

また、法人になると面倒になるのではないかと思われている方は多くいますが、基本的な利益なども個人事業主とあまり変わらないようでした。

法人化のメリット

図2 法人化のメリット①
図2 法人化のメリット①

法人化のメリット①として税収面の説明です。

このあたりはネットでもよく見る情報ですね。税率面での差を見ますと年収が900万円くらいのケースで法人化されると約100万円程の差が出そうです。

法人税は最近減税の方向に向かっており、これは政権が変わってもあまり変わらない流れがあるそうです。一方、所得税は増税の方向に進んでいるそうです。そのため、将来的に個人事業主と法人の税率面での恩恵はますます差が開いてくることが予想されます。

図3 参考① 所得税率表
図3 参考① 所得税率表

こちらは、先程お話に出てきました税率テーブルのトリックです。所得税には控除額と言うものがあり、見た目の「実効税率」は小さくなるそうです。

上記の表を参考にすると年収900万円の場合、

  • 900万円-900万円×33%+153.6万円=756.6万円

となります。

ただし、法人税の場合は実効税率などはないために税率がそのまま所得から引かれる形になってしまいます。これが税率テーブルのトリックであり、インターネットのサイトでは説明している所が少ない情報だそうです。

図4 法人化のメリット②
図4 法人化のメリット②

続いて法人化のメリット②も税金面のお話です。

法人化することで個人事業主では事業所得だったものを給与所得に切り替えることができるとのこと。給与所得に切り替えることにより給与所得控除の適用が受けられるようになります。

ここで説明された給与所得控除は見逃せない程度の額ですね。スライドのケースの場合、100万円以上経費が増えるので税金はかなり安く抑えられます。600万円くらいでも25万円/年くらいはお得になる計算ですね。

図5 法人化のメリット③
図5 法人化のメリット③

法人化のメリット③は経費算入の範囲が広がることです。

法人化することによって家族への給与支払や車両経費、社宅が主に経費として算入できるようになります。個人事業主は自宅を事務所として計上している方も多いそうですが、注意を要するところも。

実は、昨年の秋に保険会社で働いている個人事業主の方が自宅を事務所として計上していたところ、裁判で敗訴したという判例があったそうです。自宅を事務所として計上することは、以前と比べると徐々に厳しくなってきているということでしょうか。とくにデータの持ち出しができず、自宅であまり仕事ができていないような方は注意が必要です。

法人化して社宅とした場合、一定額を控除することはOKとのことでした。

法人化することでのメリットには他にも、生命保険料も経費算入が可能になるということが挙げられます。保険会社も節税対策になる商品を作ってきているので、最終的な利益調整がしやすくなるそうです。

法人化のデメリット

図6 法人化のデメリット
図6 法人化のデメリット

法人化のメリットばかりお話してきましたが、もちろん法人化にはデメリットもあります。

地方税均等割

地方税の均等割は都道府県に対する場所代のようなイメージのもの。これは市区町村で数千円変わる場合があるそうですが、基本的には全国どこでも7万円前後ということでした。

社会保険

法人化すると原則強制加入になり、非常に負担が重くなります。会社員であれば半分が個人、半分が会社の負担になりますが、法人化した場合にはすべてを自分で納めなくてはいけなくなります。

スライドのケースをご覧ください。月給50万円の方の場合、健康保険、厚生年金を合わせて月13万円以上もの額を納める必要が出てきます。最近は年金事務所のチェックが厳しく、社会保険に入っていない事業所はすぐわかりますので、必ず入るようにしましょう。

もし調査において未加入だと判明した場合、2年間さかのぼって支払わなくてはいけないので、大変な金額になってしまいます。

税理士報酬

法人は個人事業主の場合に比べて税理士報酬が5~10万円程度高くなります。法人化しても自分で行うことは不可能ではないようですが、個人事業主の場合よりも手続きが複雑なので現実的には厳しいようです。

法人化の手順

図7 法人化をする場合の手続き
図7 法人化をする場合の手続き

このあたりはあまり表に出ていないお話も多々ありました。

司法書士にお願いしてもあまり値段は変わらない

司法書士にお願いするとネットの最安値で約24~25万円程、自分で登記した場合は24万円になります。

そう、自分で行うのとほとんど金額が変わらないのです。大変な思いをしながら自分で手続きをするくらいなら、格安な司法書士事務所をネットで探したほうが早いかもしれないですね!

ちなみに司法書士に直接相談した場合、少なくとも30万円以上はかかってしまいますのでご注意を。

株式会社? 合同会社?

正直なところ、株式会社のほうが世間体が良いイメージがありました。しかし実は最近、合同会社が結構流行っているそうなのです。

合同会社とはジョイントベンチャーのようなもので、株式会社とは税務上・会計上、なんら変わりはないとのこと。持ち分の株には違いがあるそうですが。なお実際の業務への影響はないようです。

合同会社のメリットは、なんといっても登記費用が株式会社の半額以下しかかからないということ。合同会社を選ぶ方が増えているという現状も理解できますね。

決算期は設立月の前月が一般的

理由は税金の申告をできる限り先送りできるからです。法人化したてでお金の無い中での税金徴収はできるだけ避けたいですからね。

資本金について

資本金の借り入れを考えている場合、多くの方が日本政策金融公庫を利用されるそうです。その際、最近制度が変更になり融資枠が2倍から10倍に緩和されましたが、融資を想定する場合にはやはり300万円ぐらいを目安に資本金を積んでおいたほうが良いとのことでした。

と言うのも、そのほうが貸す側の立場で考えるとスムーズに融資を受けられるからとのことでした。

ではいつ法人化すればよいのか?

図8 ではいつ法人化すればよいのか?
図8 ではいつ法人化すればよいのか?

法人化の時期について、理論上は課税所得が600万円ぐらいあれば法人化してもメリットのほうが強くなります。それ以下の課税所得でも人によってはメリットが大きくなる場合もありますので、まさにケースバイケースと言ったところです。

また法人化することで事業拡大できる可能性も増えてきます。法人だとルールが変わってくる場合も多いので、個人事業主よりも動きやすくなるためです。

そのため、現状は課税所得の面で法人化はデメリットのほうが大きいけれども、事業拡大の狙いがあれば法人化してしまうほうがいいのかもしれませんね。

他にも様々な要素を検討して個別に考えていただければよいとお話しくださいました。

まとめ

法人化の大きなメリットは税率面と経費算入面

税率テーブルのマジックも考慮した場合での、課税所得が600万円ほどの方から法人化を検討するべきとのこと。

デメリットも多数ある

法人化することによって手続きが面倒になるということはあまりないのですが、登記費用や社会保険料がかかってきてしまいますので、メリットだけではないことを念頭に置きましょう。

お金以外にも法人化にはメリットが

借入額や社会的な信用の面でも、法人化することによって大きなメリットが得られる場合があります。そのため、事業拡大を狙っている場合などは様々な要素を考慮して法人化を検討しましょう。

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