憧れがチカラになった2日間!「SQUARE ENIX GAME CAMP」レポート

2014年6月7~8日、14~15日の各2日間、スクウェア・エニックス本社において、Life is Tech !とスクウェア・エニックスの共催により「SQUARE ENIX GAME CAMP」が開催されました。第1回は約80名、第2回は約120名の中高生がゲームの聖地とも呼べるこの場所で、⁠さあ、冒険をつくろう。」をテーマに個性あふれるゲーム作りに挑戦しました。

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2日間にわたるこのキャンプを企画したLife is Tech !は、2010年の設立以来中高生向けのIT教育プログラムを展開している企業で、個性や創造力を引き出すカリキュラム、厳しい研修を積んだ大学生メンターによるフォローなど、独特のスタイルが評価され話題を呼んでいます。今回、14日から始まった第2回のキャンプを取材させていただくことができましたので、その様子をお伝えします。

開始直後の自己紹介の様子。手前に見える「脳内シート」に興味のあることを書いて紹介に使っています
開始直後の自己紹介の様子。手前に見える「脳内シート」に興味のあることを書いて紹介に使っています

独習スタイルのカリキュラムとそれを支える「?」

教育プログラムといっても講師の話をみんなで聞いて学習する時間はありません。5~6人ごとのグループになって各自テキストを見ながら開発を進めていくのがこのイベントのスタイルとなっています。わからないことがあっても心配ありません。次の写真にあるような札を立てておくと、グループに1人ついているメンターが教えに来てくれるという仕組みがあります。この札は、疑問があっても聞きづらい子供を助けるために発案されたそうです。

「?」札。このようにPCに付けて使います。
「?」札。このようにPCに付けて使います。
タブレットでテキストを確認し、マルチスクリーンで開発を進めます。メンターに教えてもらうほか、参加者同士で教え合う姿も見られました
タブレットでテキストを確認し、マルチスクリーンで開発を進めます。メンターに教えてもらうほか、参加者同士で教え合う姿も見られました

参加できるコースは、レベルや興味に合わせて、GameSaladを使った2Dゲームコース、enchant.jsを使った2Dゲームコース(応用プログラミング⁠⁠、Unityを使った3Dゲームコースの3つに分かれています。⁠GameSalad」「enchant.js」は日本ではそれほどメジャーなものではありませんが、⁠GameSalad」は直感的に操作でき、入門に適しているため、⁠enchant.js」は導入が容易であることと、短時間でそれなりの形に仕上げられることから選ばれたとのことです。

開発の合間には「謎解き」も、同じ興味を持った仲間との出会い

お昼休みなどのタイミングでは謎解きのアクティビティが織り込まれています。メンターを含めグループで知恵を絞っていました。

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こうした活動で参加者同士の交流が深まるのも魅力のひとつです。参加者からは「学校ではゲーム開発の話題を話せる人がいないけれど、ここでは同じ趣味をもっと人と出会える」との声も聞かれました。

憧れのクリエイターとの交流!ドラクエ X ディレクターの講演にモーションキャプチャーの見学まで

午後には現役クリエイターの講演や、スクウェア・エニックスの社内見学が行われました。

現役クリエイターによる講演では、⁠ドラゴンクエスト X』のディレクターを務める「りっきー」こと齋藤力さんが登壇しました。ゲーム以外のシステム開発を行っていた経験を持つ齋藤さんは、ゲーム開発特有の面白さについて、⁠決まったものを作るのではなく、思いついたことをドンドン組み込んでいく、加点式のタイムアタック的な面白さ」だと語りました。ゲーム開発で大切なことを一通り語った講演の最後では、⁠リアルとゲームの唯一の違い」として、失敗した時に最も経験値が入るということをあげ、果敢なチャレンジを続けてほしいと参加者にエールを送りました。

齋藤力さん
齋藤力さん

齋藤さんの講演の冒頭で、メタルキングのぬいぐるみを賭けてゲームが行われました。行われたゲームは、普段ドラゴンクエスト開発チーム内で物を分けるときに行われているというものです。ルールは「紙に自然数を書き、一番小さい数字を書いた人が勝ち。ただし同じ数字を書いた人がいたら、全員無条件で負け(=他人とかぶらない最小の自然数を書いた人の勝ち⁠⁠」というシンプルなもの。読者の皆さんもお菓子の取り合いなどが起きた際には試してみてください。

自分と同じ数字の人がいないかハラハラしながらの答え合わせ
自分と同じ数字の人がいないかハラハラしながらの答え合わせ

質疑応答では「社員に女性はどのくらいいるのか」⁠最低限身に着けておくべき言語は何か」⁠試作版はどのくらいの規模のチームで開発するのか」などスクウェア・エニックスへの就職を意識した質問が相次ぎました(齋藤さんの回答はそれぞれ「30%程度を女性が占める。ドラクエX開発チームでは女性は主戦力」⁠現状C++。いずれC#になっていくかもしれない」⁠数人から、ドラクエのような大作で50人程度⁠⁠。

齋藤さんに熱心に質問をぶつける参加者
齋藤さんに熱心に質問をぶつける参加者

ドラクエに関する素朴な質問も盛り上がり、⁠なぜ普通の装備より水着の方が強いのか」という質問に齋藤さんは「かわいい女性が水着を着ていたら手加減するのではないか」と、個人的見解を述べていました。

講演後、参加者と交流する齋藤さん。
講演後、参加者と交流する齋藤さん。

社内見学は非公開のためレポートできませんが、バトルプランナーによる講習やエフェクトデザインの紹介、モーションキャプチャーの実演等が行われました。内容に興味がある方はLife is Tech !のスタッフブログを参照してください。

社内見学に向かう参加者。この階段の下に開発フロアが広がっています。メディア関係者は社内見学に参加できないということで、残念ながらお見せできるのはここまで
社内見学に向かう参加者。この階段の下に開発フロアが広がっています。メディア関係者は社内見学に参加できないということで、残念ながらお見せできるのはここまで

開発の後は発表!他の参加者の作品の体験も

2日目の午後には、開発した作品の発表会が行われました。発表会では、オリジナリティや工夫した点、開発にあたって苦労したことを、実際の画面を用いつつ伝えていました。また、前日の社内見学で学んだことを受けて、エフェクトにこだわったという作品が複数見受けられました。質疑応答のタイミングでは、参加者のほか、見学に来た保護者からの質問もありIT教育に対する関心の高まりが垣間見えました。

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enchant.jsを使ったRPGゲームの発表。戦闘シーンとフィールドシーンの切り替えが難しかったそう
enchant.jsを使ったRPGゲームの発表。戦闘シーンとフィールドシーンの切り替えが難しかったそう

発表のためにスライドも用意していました。ゲーム開発には独特の難しさがあり苦労したとのこと。

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発表会の後は、ほかの人の作品を自由に遊んでみる試遊会が行われました。手書きで書かれた説明書を読みながら思い思いに楽しみました。

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中にはスマートフォン上で動くジャイロセンサーを活用した作品も
中にはスマートフォン上で動くジャイロセンサーを活用した作品も

キャンプの最後では、認定式や、アクティビティの謎解きの解説が行われました。メンターから認定証を受け取った参加者は「楽しかった」⁠また参加したい」とモノを作る楽しさを実感できたようでした。

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今回初めてゲーム会社を舞台に開催されたこのキャンプ。今後、子供たちの幅広い興味に応えるため、もっとさまざまな業界とのコラボレーションが広がっていくことを期待したいと思います。

お世話になったメンターに寄せ書きを送ったグループも
お世話になったメンターに寄せ書きを送ったグループも
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