レポート

第6回 ICTトラブルシューティングコンテスト 運営レポート

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検証機材調達と検証作業

このコンテストではトラブルシューティングを実際のサーバーやルーターなどの実機を用いて行うことを特徴としていますが,機材調達する場合,機材のスペックや数が最初から決まっているわけではありません。どんな問題を出したいか,その問題に必要なサーバーのスペックはどれくらいかなどを話し合い,機材の台数やスペックなどを仮決めします。その後,実際に借りられそうかどうかについて,各企業の担当者と話し合い,再度調整を行います。また,逆に機材を多く借りても,その分のLANケーブルを作成する必要があったり,電源が不足したりということもあります。本コンテストでは,当初Cisco Catalyst 2960を各チームに3台ずつ用意する予定でしたが,その後の仮想ネットワーク設計によって各チーム1台で十分になったことがありました。結果として,参加者が触る競技用ネットワークの複雑性が上がり,問題の難易度向上に貢献するといった事態も生じました。

今回の選手側ネットワークの物理トポロジ図。複雑さが見て取れる

今回の選手側ネットワークの物理トポロジ図。複雑さが見て取れる

ネットワーク機材はシスコシステムズ様からCisco 1841,Cisco 892といったルーター,同じくCisco Catalyst 2960を始めとしたスイッチ, IP Phone,Wi-Fi AP Aironetなどをお借りし,NHNテコラス様からラックマウントサーバー,CyberAgent様からラックマウントサーバとゲートウェイ(JuniperのSRX240)をお借りしました。

問題作成の段階で実際にどんな問題が出せそうか,出す場合どのような設計をすればいいかなどの検証を行う必要があるため,あらかじめいくつかの機材を問題作成用として運営委員が通っている学校に送っていただいたり,NHNテコラス様のデータセンターをお借りして実際のサーバー・スイッチ等の設置・構築などを行いつつ問題作成作業を進めていきました。

HotStage

トラコンでは,ホットステージという名のコンテスト直前の準備期間が開催日の2週間前から設けられています。この期間は,各地のバラバラだった運営委員がコンテスト会場に集合して一気に準備しよう!という期間で,Phase1とPhase2に分けられています。

機材の検品。100台以上ある機材が正しく動作するか,1台1台確認していく

機材の検品。100台以上ある機材が正しく動作するか,1台1台確認していく

Phase1ではシスコシステムズ様の大阪オフィスの会議室をお借りし,実際に各社からお借りしたすべての機材が各地から搬入されます。ここでは,お借りした機材の型式や台数などを確認します。それらが正常に動作するか,設計したネットワークなどが正常に動作するかといったことや,リモートオペレーションの環境では行えなかった,実際ネットワークとサーバーを使う問題などの検証も行われます。

会場へ機材を運び込んでいく

会場へ機材を運び込んでいく

緊張のラッキング

緊張のラッキング

LANケーブルも大量に作成する

LANケーブルも大量に作成する

問題が想定通り解けるかどうか,実際の環境で検証する

問題が想定通り解けるかどうか,実際の環境で検証する

Phase2では実際のコンテスト会場であるNTT西日本研修センタへ機材と共に移動し,参加者が利用する机や椅子,ラックサーバやネットワーク機器の配置を行い,本番へ向けたラストスパートとして対外ネットワークの接続や,コンテストで使うVMの準備などを進めていきます。また,今回会場の中央に配置されたラックのケーブリング,ケーブルコスメなども行い,⁠あぁ本番が近づいてるなぁ」と感じながら準備を進めていきます。また参加者や来場者のための会場案内の段取りやケータリング,コンテストの進行などのリハーサルもここで行います。

Phase1では順調と思われたホットステージも,Phase2では様々な問題に直面し,運営委員自身のトラブルシューティングが発生します。コンテストネットワークのコアスイッチのCPU使用率が100%に張り付いて通信が不安定になったり,サーバー基盤として使用していたCloudStackが正常に動作しなかったりといったトラブルが生じました。これらはコンテスト当日までには絶対に解決する必要があったため,運営委員は朝から晩まで,LinuxカーネルやCloudStackのソースコードリーディング,パケットキャプチャなど,様々な方法を駆使してトラブルシューティングを行いました。

ホワイトボードにトポロジ図を書き込みつつ,問題を特定していった

ホワイトボードにトポロジ図を書き込みつつ,問題を特定していった

綺麗にケーブリングが行われたラックを囲み,構築を進めていく

綺麗にケーブリングが行われたラックを囲み,構築を進めていく

また,今回の取り組みとして,問題の出題や参加者からの質問,解答の採点を統合管理するコンテストサイトの開発も行われていましたが,これについてもHotStageに入ってからはさくらインターネットの実行委員の方々も会場へ合流し,本番で提供できるよう,急ピッチで開発が進められました。

実際,コンテストサイトは本番前日の時点で問題出題はおろか,参加者登録すらできない状態だったのですが,当日の朝4時前ごろには競技開始前最後のコミットが行われ,すべての機能が正常に動作するようになりました(その後,競技中にも改善,修正が続けられました)⁠

最終的な会場の全体図。コア機材の入ったラックを中心に配し,全体が見渡せる

最終的な会場の全体図。コア機材の入ったラックを中心に配し,全体が見渡せる

著者プロフィール

岸本涼(きしもとりょう)

大阪情報コンピュータ専門学校 総合情報メディア学科 4年 / ICTSC6 運営委員 リーダー
小さい頃からゲームが大好きでネトゲからITの世界に入る。プログラミングしたりサーバ・ネットワークのインフラに触れるのが好き。CentOS愛好家。

GitHub:https://github.com/suzutan


田中京介(たなかきょうすけ)

1996年生まれ / 電気通信大学 情報理工学部 情報・通信工学科2年 / MMA 所属 / ICTSC6 運営委員 副リーダー
サーバー、ネットワーク問わず様々な技術・事柄に興味があり、それらを広く深く学ぶことが趣味。好きなOSは FreeBSD。

Web:https://monora.me/
Github:https://github.com/kyontan