レポート

“ネ申エクセル”をめぐって徹底討論! 「Excel方眼紙公開討論会」開催

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来場者を交えた「ネ申Excel」Q&A

会場:Excelを基礎から勉強してほしいということですが,初心者向けのトレーニング方法はあるでしょうか?

田中氏:講習か入門書かというところは重要ではなく,自分で考えることが重要。⁠だってネットに書いてあったから」はやめて,ひとつひとつの機能に「なぜ」を考えながら勉強してほしい。

上原氏:学びたいのモチベーションを付けることが大事だと思います。成功体験を経験させてあげることが一番ですかね。

会場:ネ申エクセル=悪だと言っている人々を若い世代と仮定して,たとえば20年後,世代交代でネ申エクセルはなくなるでしょうか?

長岡氏:20年後には,ファイルという概念自体がなくなるかもしれないので,世代交代というよりは,技術の変化でなくなるかもしれないとは思います。

渡辺氏:たとえばRedmineのような代替ツールの登場によって,見た目としてのExcelはなくなると思います。

上原氏:大学の学生を見ていると,世代交代で技術の平均値が上がるというのには悲観的。キーボードが打てない人も増えています。スマホの普及で,ファイルという考え方の理解も怪しいほどです。

会場:一人一人にExcelの使い方を啓蒙していくのは無理があると感じています。組織全体での変革はどのように行えば良いでしょうか。

上原氏:担当者を置いてトップダウンで変えていくのが良いでしょう。

田中氏:Excelの間違った使い方をしている人には,⁠上の人が言うから」といった人が多いので,トップダウンによる変革は効果的。加えて,⁠こういう使い方はどうか」といった,ボトムアップでの提案も大事でしょう。

会場:大前提として,A4など規格が決まっている紙を基本に考えることが間違っていると思っています。そこからの脱却は可能でしょうか。

長岡氏:ページの概念をExcelに持ち込むのは悪ですよね。Excelなら項目・値だけの単純なもので良いと思います。

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会場:どのようにタイムスタンプや電子署名を普及させ,デジタルデータへの信頼性を上げれば良いでしょうか。

上原氏:たとえばログインのログをとっておくことで,トラブル時にはそれをたどれば解決できるなど,実際の業務と関連付けて説明するのが良いと思います。

長岡氏:多くの会社で,紙はもう必要なくなっています。各種クラウドサービスも出てきているので,そちらに舵を切る会社は増えてくるとは思います。

会場:DBのスキーマ定義書の作成にはほかに便利なフリーツールもありますが,Excelを使っているのはなぜでしょうか。

長岡氏:Excelはどこの会社でもあるから,というのが大きな理由。フリーのツールであっても,自分だけが使えるものでは不適当。そういったツールの普及度の問題もあります。

会場:DTP関係の者です。Excelで罫線を駆使して作った文書をPDF化したものを納品されることがよくあります。ただExcelの罫線は特殊で,厳密には罫線ではなく矩形です。なので太さ1つ変えるのでも作りなおしになってしまいます。ExcelによるDTPは安く済むというイメージがあるようですが,こういったコストがかかる場合が多いです。Excel,とくにExcelの罫線は,DTPの世界では蛇蝎のごとく嫌われています。

会場:現在プログラマをしています。情報教育の話が少し出ましたが,大学で学んだ情報のほとんどが現在役に立っていません。実用的な情報技術も大学で教えるべきではないでしょうか。

上原氏:大学では,10年20年先に持っておいてしかるべきものを教えています。Excelの技はそれにはあたりません。目の前の問題に対しても,コンピュータの動作原理やデータ構造といった基礎からの延長として対処してほしいという思いがあります。


Excel方眼紙をテーマに取り上げた,恐らく史上初の企画でしたが,Excelの苦労話には会場から同意の声が漏れたりなどと,強い一体感を感じられたイベントでした。

著者プロフィール

中田瑛人(なかたあきと)

Software Design編集部所属。2014年 技術評論社入社。

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