5月30日(水)~6月1日(金)の3日間、東京、グランドプリンスホテル新高輪にて開催された「AWS Summit Tokyo 2018」。3日目のキーノートにはAWS、Cloud Architecture StrategyのVP、Adrian Cockcroft氏が登壇しました。
Cockcroft氏は、これまでのAWSの成長について語った後、クラウド、そしてAWSが、エンタープライズにおける開発のあらゆるフェーズを変えてきたと紹介します。
中でも、最も顕著な進化を遂げているのが機械学習・AIの分野です。AWSでもインフラからアプリケーションに近い部分までさまざまなレイヤで機械学習をサポートしてきました。
日本のユーザにこそ使って欲しいSageMaker
その集大成の1つといえるのが「Amazon SageMaker」です。機械学習における面倒な管理作業を自動化するマネージドサービスで、これまでの10倍のパフォーマンスで機械学習の成果を手にすることができるといいます。
そのSageMakerが東京リージョンでも6月1日からサービス提供が開始されるとこの場で発表されました。これにより、国外に出せないようなデータを使った処理にもAWSを利用できるようになります。さらに、機械学習ライブラリとして日本でのユーザが多いChainerが利用可能となりました。SageMakerをぜひ日本のユーザに活用して欲しいというメッセージが込められているとのことです。
実際にSageMakerを利用しているユーザとして、レシピ提案サイト「kurashiru」を運用するdely株式会社 CTOの大竹雅登氏が登壇し、同社の事例を紹介しました。利用者ごとにパーソナライズされたレシピを提案するためにSageMakerを使用し、ユーザ、レシピのクラスタリング、似たユーザの好みのレシピを協調フィルタリングで取得するといった方法で、1.5ヵ月でレシピ提案システムを稼働できたとのこと。
QuickSightでBIシステム開発も加速
Cockcroft氏が次に紹介したのが、データ分析アーキテクチャです。Amazon S3を中心としたデータレイクを、RDSやAuroraといったデータベースや、Redshiftといった分析ツール等、AWSのさまざまなサービスにより構成することができるようになりました。中でも新たな機能として紹介したいのが、同じくこのAWS Summit期間中に東京リージョンでのサービス提供が発表、開始されたBIツール「Amazon QuickSight」です。
ここでQuickSightのユーザ事例の紹介を行うため、株式会社リクルートテクノロジーズ 技術フェローの高岡将氏が登壇しました。
高岡氏は同社の商用サービスにおけるユーザデータの分析活用を手がけており、AWSのデータレイクをそのインフラとして利用しています。ところが、このキーノートが行われる前日(5月31日)にAmazon QuickSightの東京リージョン対応がアナウンス、利用可能となったため、急遽QuickSightを使用した分析システムを作り、この日のデモに間に合わせました。
このほか、データを使って利用アーキテクチャを進化させるAWS Well-Architected Frameworkや、セキュリティ、認証サービスの一元化、そしてさまざまなラインナップが揃っているEC2の最新事情が紹介されました。