福岡を、もっとエンジニアが働きやすい街へ!~第一回エンジニアフレンドリーシティ福岡アワードレポート

2012年に「スタートアップ都市宣言」をし、その後も着実にスタートアップシティとしての存在感を高めている福岡市。なかでもIT分野で重要となるエンジニアが働きやすさとスキルの向上を両立できる環境を整えるべく、⁠エンジニアが集まり、活躍し、成長するまち」を目指すエンジニアフレンドリーシティ福岡宣言が、2018年8月に行われました。

その後、エンジニアと取り組みを続け、2019年8月には「エンジニアが集まって活動できる場所がほしい」という福岡のエンジニアたちの声を受けてエンジニアカフェを福岡市赤煉瓦文化館にオープン。オープンから約6か月でコミュニティの勉強会やイベントが140回行われ、参加者のうち、初めてそのコミュニティの活動に参加した人の割合が4割を超えるなど、福岡のコミュニティをますます盛り上げる場所となっています。

そして今回、福岡で精力的に活動し、エンジニアコミュニティ文化の発展やエンジニアが働きやすい環境づくりに取り組むコミュニティや企業を表彰するエンジニアフレンドリーシティ福岡アワードを創設。エンジニアフレンドリーシティ福岡の取り組みがさらに推し進められていきます。

第一回目の表彰式は、2020年1月31日(金)と2月1日(土)に開催された『第一回エンジニアフレンドリーシティ福岡フェスティバル』内で行われました。本レポートでは、表彰された4団体と2企業の取り組み、受賞者のコメントをお伝えします。

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福岡のエンジニアの能力と個性が作り上げた、コミュニティ部門

技術を楽しく学び、福岡から全国へ。Fukuoka.go

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Go言語(googleの技術者が設計したオープンソースの言語)に関する勉強会を開催し、エンジニア同士の知見を深め合っているFukuoka.go。勉強会では、それぞれのエンジニアが所属する企業の業務やOSS開発で得た技術的な知見について、毎回熱い議論が交わされているといいます。また、四半期に一度のペースでトークイベントを開催し、全国規模のカンファレンスへ参加するなど他地域のコミュニティと繋がる精力的な活動を行っています。共同代表の一人・小田氏は「気軽にディスカッションできるアットホーム感を大切に活動してきました。connpass(勉強会参加者などを募るプラットフォーム)のメンバーは現在433人になり、2019年の夏には福岡で全国規模のカンファレンスを開催できました。また、岡山や大阪のコミュニティとも合同勉強会を行い、活動の地域を広げています。これからも、Go言語を通じて様々な技術を学び、福岡のエンジニアのレベルアップを図っていきたいです」と語りました。

福岡のチャレンジングなエンジニアに焦点をあてたFUKUOKA Engineers Day

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福岡で活躍する技術能力の高いエンジニアにスポットを当て、その活動や技術をまとめて聞けるイベントを過去4回主催したFUKUOKA Engineers Day。従来からの福岡の技術コミュニティ同士の近さを生かし、交流が盛んに行われています。また、イベント内容をブログなどで発信し、他地域での福岡のエンジニアの知名度の向上を図っています。代表の田中氏は「2019年7月に行われた前回のイベントは、公募、企業スポンサーなど全22の団体が一堂に会すとても大きなものとなりました。それでも、登壇希望のコミュニティの数はとても多くて、枠に入りきれない人が出てきたぐらいです。福岡のエンジニアの方々の熱意を非常に感じました。内容も、webアプリの開発やサーバーレスなど、それぞれのエンジニアが現在取り組んでいる課題について熱心に話し合う、意義あるものになったと感じています。次回の開催に向けて、いただいた副賞を活用したいです」と笑顔で話しました。

エンジニアの技術で地域社会の課題を解決Code for Fukuoka

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全国、全世界のCode forと同様にシビックテック(テクノロジーを活用して、自分たちの地域や社会の課題を解決する)を行うCode for Fukuoka。遊具で公園を検索できるアプリの開発など、テクノロジーを使って地域社会に貢献しています。代表の德永氏は「私自身が二人の子供を育てながら働いているエンジニアということもあり、活動内容は『日々の生活の中で生まれる課題を解決すること』が軸になっています。また、子ども連れでのイベント参加をOKにしていて、時には子どもや学生たちにも課題解決に協力してもらうことも。シビックテックと生活は密につながっていて、様々な人の協力が不可欠。遊具検索アプリでは、福岡市に素早く対応いただき、データをオープンソース化して活用することができたのも嬉しかったです。また、編み物や縫物、レーザーカッターを使った工作をエンジニアカフェでやっているので、興味がある方はいつでも遊びに来てください」と話しました。

初心者でも楽しめる、面白い体験をARコンテンツ作成勉強会

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ARコンテンツ作成勉強会では、AR(拡張現実)を軸に、各種開発ツールの利用方法やセンサデバイス、HMD(ヘッドマウントディスプレイ。バーチャルリアリティを実現するツールのひとつ⁠⁠、画像処理ライブラリを組み合わせたコンテンツの開発方法を、実際に手を動かしながら学ぶ勉強会を行っています。2013年から計100回以上開催しており、高いクオリティで参加者からも高い評価を得ています。代表の吉永氏は「勉強会のモットーは2つ。⁠ハンズオン(体験学習)を中心にして参加者が作品を持って帰れること』⁠初心者でも参加できる丁寧な解説を行うこと』です。おかげさまで現在は福岡のほかに、四国や北海道でも開催しています。少人数制ですぐに枠が埋まってしまうのですが、再開催リクエストにはできる限り応えます。気軽にご連絡ください。プログラミングを使わないものもたくさんあるので、コードが書けない方も参加しやすいと思います。今年の目標としては、他のコミュニティと何かコラボできたら」と話しました。

エンジニアが働きやすい環境と高い生産性の両立を目指す、企業部門

エンジニアが幸せに成長できる世界のFUKUOKAへ株式会社 diffeasy

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13人のエンジニアが在籍している株式会社 diffeasy。創業以来、リモートワークなど柔軟な働き方を実現し、福岡市で開催されるIT技術の勉強会に月1万円を提供するなど「エンジニアフレンドリーシティ」をまさに体現するような制度やアイデアを次々と実行しています。登壇した社員の樫本氏は「diffeasyに入社したのは、子どもが生まれたばかりの頃。慣れない子育ての中、生産性を落としてはいけないというプレッシャーがありました。社内にリモートワークが定着していない中で、フルリモートワーカーとして働き、当初はメンバーに壁を感じたことも。でも、あるとき同僚に悩みを話したことで周りも協力的になって、テレビ電話などテキスト以外でコミュニケーションをとることも増えました。メンバー間での信頼関係が構築されてはじめて、柔軟な働き方は機能すると実感しています。子育てや介護など、誰しもが直面するライフステージに立ってもエンジニアとして、一人の人間として人生を楽しめる働き方をこれからも考えたいです」と話しました。

創業時から続く技術力向上支援の流れを汲む「マーブル制度」がもたらすもの株式会社 Fusic

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2003年の創業以来、勉強会参加、資格取得、書籍購入にかかる費用を会社が全額負担する、思い切った制度を実施している株式会社 Fusic。⁠社員のスキルアップと自己実現」を目的とする制度を次々と発表し、2018~2019年は、社員一人当たりの年間の勉強会参加の回数が平均6.82回という確かな結果も残しました。代表の納富氏は「ITの世界は技術の進歩が速く、常に成長を求められるもの。制度設計は、エンジニアに自由と裁量を与えたらより成長できるという考え方のもと行っています。性善説を信じ、なるべくルールは少なく、解釈も各々に任せています。その分、ルールの良い面を伸ばしていけるような優秀なエンジニアを採用している自信もある。現在は、男性社員が2人育休を取っていて、ちゃんと制度が使われていることが嬉しいです。また、福岡の優秀な学生に選ばれる企業になれるように、これからも成長していきたいです」と話しました。

まとめ

福岡の地でエンジニアが生き生きと働けるようになるには、⁠成長に欠かせないインプットとアウトプットを大切にする」⁠働きやすさと自分の生産性向上を両立する」という2つの軸が重要です。

今回のエンジニアフレンドリーシティ福岡アワードでは、その2軸を実現している4団体、2企業が受賞しました。

いずれのコミュニティ、企業も授賞式で「まだまだやりたいことがある」と話しています。

また、エンジニアフレンドリーシティ福岡の取り組みが進む中、多くのコミュニティや企業の取り組みはより活発になっています。そういった福岡のエンジニアシーンを印象づける授賞式となりました。

2020年、福岡のエンジニアやコミュニティがどのような変化や成長を見せていくのか、これからもエンジニアフレンドリーシティ福岡にご注目ください。

エンジニアフレンドリーシティ福岡
https://efc.fukuoka.jp/

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