エンジニアフレンドリーシティ福岡は、「エンジニアが集まる、活躍する、成長する街、福岡」をエンジニアとともにつくる取り組みです。その一環であるエンジニアフレンドリーシティ福岡フェスティバル2021が、2021年12月3、4日の2日間にわたって開催されました。昨年はコロナ禍での全面オンライン開催となりましたが、今回はリアル(エンジニアカフェ現地)での参加枠も設けられ、改めて現地の盛り上がりを体感できるイベントとなりました。
3回目となる今年のテーマは「Dive in!」。福岡やその他の地域から登壇したのは、変化の早い業界で第一線を張るエンジニアたち。新しいものを生み出す初めの一歩やその後のプロセス、試行錯誤の過程など、活動のヒントとなるような話が続々と飛び出しました。
本記事では2日間のセッションの模様をお伝えしていきます。
1日目:みんなの銀行、アークエルテクノロジーズ、西部ガス、リンクトブレイン、エクシーズ、シティアスコム
短いターンで開発と改善を繰り返す、「みんなの銀行」
株式会社みんなの銀行 執行役員CIOゼロバンク・デザインファクトリー株式会社
取締役CIO 宮本 昌明氏
2019年にふくおかフィナンシャルグループに入行。全く新しい銀行「株式会社みんなの銀行」と、そのシステムを開発・運用する「ゼロバンク・デザインファクトリー株式会社」を兼務。
若い人に向けた新しい銀行を目指し、2021年5月に開業した「みんなの銀行」。ふくおかフィナンシャルグループが設立した、地方銀行初のデジタルバンクです。
シンプルなアプリでお金に関する事柄をスマホで完結。従来の銀行のイメージを覆す展開が話題です。その開発・運営をしているのが、エンジニア集団の「ゼロバンク・デザインファクトリー」。
サービス開発は、銀行側が作るものを決めてエンジニアに発注する従来のやり方ではなく、銀行とエンジニアが何を作るか一緒に考えていく形を採用しています。
「『みんなの銀行』でやりたいのは、クイックに作って世に出した後、お客様の声を聞いてフィードバックし、また世に出して声を聞くという、短いターンで改善をくり返すこと。エンジニアフレンドリーな会社でないとこれができません。とくにコミュニケーション面には気を付けています」と宮本氏は話しました。
エンジニア同士や経営陣との交流の機会を設けることで、コミュニケーションのハードルを下げ、ためらわず発言ができる環境を整えています。キャリアについても、エンジニアそれぞれの考えを尊重。
「エンジニアフレンドリーとは、『各エンジニアそれぞれの考え方に基づく、働きやすさ、開発しやすさ、成長しやすさ』を追求することだと考えます。ただしそれは時代や技術の変化によって進化していくもの。みんなの声を聞きながら、エンジニアが働きやすい組織を作っていきたいと思います」と締めくくりました。
シリコンバレーの熱量を、日本でいかに作るか
アークエルテクノロジーズ株式会社
代表取締役 宮脇 良二氏
アクセンチュア株式会社で20年働いたのち、2018年アークエルテクノロジーズ株式会社を立ち上げ。創業にあたり、シリコンバレーのスタンフォード大学へ1年留学。
デジタルイノベーションで脱炭素化社会を実現する、がコンセプトのアークエルテクノロジーズ株式会社(AAKEL)。EV(電動車両)の充電や再生可能エネルギーの効率運用のシステム開発、脱炭素化を目指す企業のコンサルティングなどを主に行っています。
脱炭素化社会の実現に向けてテクノロジーからアプローチしていること、東京大学先端科学技術研究センターと連携して次世代エネルギーシステムの開発をしていることの2つが、会社の大きな特徴です。宮脇氏はエンジニアファーストの会社を作るにあたり、シリコンバレーに行く必要性を感じて留学。
「世界の名だたる企業が集まるシリコンバレーで感じたのは、世界を変えるのはエンジニアだということ。エンジニアの価値も日本より高い」と言います。この経験を活かし、AAKELではシリコンバレーを真似た事務所作りをし、ラフな雰囲気の勉強会や資格取得の支援、環境活動にも取り組んでいます。「今後もテクノロジーで脱炭素化社会を実現し、社会課題を解決する会社作りをしていきたい」と今後の展望を述べて締めくくりました。
破壊的な変化の時代に対応できるエンジニアになる
西部ガス情報システム株式会社
スペシャリスト 上野 伸一氏(左)
設計から開発・運用まですべての工程を手掛けるマルチなエンジニア。
東北のガス事業者向けに、料金や使用量を照会する会員サイトをゼロベースから開発した、西部ガス情報システム株式会社。この事例は多くのメディアで取り上げられ、注目が集まっています。
上野氏と末永氏は、この事例を4つのポイントにわけて紹介しました。
1つ目のポイントは、テクノロジーの選定方法について。「情報収集は、英語ベースで情報量が豊富な海外サイトを活用しています」と上野氏。
2つ目はアーキテクチャについて。末永氏が「JavaScript、APIs、Markup、の頭文字から成る『Jamstack』という最新のアーキテクチャを使用しました。従来のWebサイト構成とは異なり、Webサーバーが不要で、ハイブリット形式のクラウドで構成しています」と説明。
3つ目はスプリント駆動(アジャイル)について。「3週間という短い開発期間をくり返しながらプロジェクトを進め、効率性を重視しました」と末永氏。
4つ目はGitHub Enterpriseによるプロジェクト管理の集約について。GitHub Enterpriseとは、プロジェクトの作業分担や進捗管理などができるクラウドサービスのこと。これによりプロジェクト管理作業を集約できます。
最後に上野氏が、これからのエンジニアに求められることについて次のように語りました。「デジタルテクノロジーによって、既存のしくみや技術が破壊的に変わっていくデジタルディスラプション時代に突入しています。私自身、なんの肩書もない一介のエンジニアですが、やろうと思えばエンジニアから世界は変えられます。常に変化し続ける技術情報を取り入れ、技術が目まぐるしく変わっていく社会に対応し、自ら学び成長していくエンジニアになっていきましょう」。
ゲームクリエイターが広く活躍できる人財になるには
株式会社リンクトブレイン
代表取締役社長 清水 弘一氏(写真)
リンクトブレインに創立時からジョイン。2018年代表取締役社長に就任し、クリエイターが活躍できる機会創造型企業への転換を目指している。
ゲーム運営や開発、ゲーム業界に特化した人材マッチング事業などを手掛ける株式会社リンクトブレインから2人が登壇。前半は清水氏がクリエイターファーストの実現をテーマに、会社のミッションとクリエイターのスキルアップへの考え方について話しました。
リンクトブレインが掲げるミッションは、「クリエイターが活躍できる感動にあふれた世界を共創する」ということ。清水氏は「GDW(国内総充実)を意識してモノづくりに励んでいます。この指数を上げるには我々クリエイターの質を向上させるのが最適で、その力を最大限発揮できるのがゲームやアプリ」と言います。
「Human Resources(人材)ではなくHuman Capital(人財)という考えのもと、個人の資産の価値を上げることに重きを置いています。とくにクリエイティブ業界に関わる人の多様性を認め、持ち味として尊重することを意識。クリエイターのスキルは数値やテキストで可視化し、足りないところを教示できるようにしています」。
後半は東京からオンラインで参加した鈴木氏が、クリエイターのケイパビリティをテーマに、実際の事例を紹介。
「リンクトブレインでは、ゲーム開発で培った技術を生かし、業務やコンテンツに楽しさ、おもしろさ、わかりやすさを生み出すことをコンセプトにした『XResearch』という開発ブランドを立ち上げました。ゲームの3Dマップモデリングを応用したドローンシミュレーターやVRオフィスの作成、3Dモデルキャラクター制作技術を生かしたVtuber制作、モバイルゲーム開発のノウハウを生かした教育コンテンツの開発、Vtuber制作ノウハウをさらに応用した非接触型バーチャルスタッフ受付システムの開発など、さまざまな分野に取り組んでいます」。
鈴木氏は今後のゲームエンジニアの可能性として「これまで純粋なエンタテイメントとして存在していたゲームとその技術が、他分野でも評価され、技術転用され応用される実例が増えています。こういった業務に携わっていくことが重要ですし、自分自身の価値を高めることに繋がると考えています」と話しました。
2社の事例からひも解く、エンジニアも会社も幸せになる仕組み
株式会社エクシーズ
取締役管理本部長 上野 賢太郎氏(写真左、左)
福岡銀行の営業職を経てエクシーズに入社し、経理・人事・総務・情シスを統括。
1日目の最後に行われたトークセッション。地場で長く活動しながら、先進的な取り組みをしている2つの企業から役職者と若手代表が登壇し、エンジニアも会社もハッピーになる仕組みについて話しました。
まずは、自社のエンジニアを幸せにできているかについて。シティアスコムの局氏は「新人の教育に力を入れていて、入社後は先輩とペアを組んで課題に取り組んでもらいます。配属先は会社の意向も伝えながら、本人の希望も尊重するようにしています」と回答。エクシーズの上野氏は「同じく新人には先輩を付け、何でも聞ける環境を用意しています。本人の希望に添えないときもありますが、申し出があれば積極的にサポートします。本日の登壇者でもある山本さんが発案した新規事業も、最初はビジネスとして成立するか懸念しましたが、徐々に社内でも認知され、仕事も広がっています」と話しました。この新規事業とは、XR(VR、AR、MR等)を中心とした研究開発事業で、とくにLookingGlass(専用グラス不要で3D立体視ができるディスプレイ)に注力しています。エンジニア側からの意見として「元は趣味的に楽しんでいたものを会社にアピールしたことで、その事業に正面から関わらせてもらえるようになり、幸せです」と山本氏。
村井氏も「先輩とペアを組んでいた1年目は安心して仕事に取り組めたし、その後も何でも聞きやすい雰囲気の中で働けています。今後やりたいことができても言いやすい環境だと思います」と話しました。
次の話題は、先の取り組みにおける失敗や留意点について。
山本氏は「XRの研究開発事業はすぐお金に繋がらないので、社内の理解が得られるよう、何をしているのか、会社にどう役に立つのか、進捗状況を定期的に公開するようにしています」と言い、上野氏は「四半期ごとの目標に向けた進捗状況のヒアリングやフォローをしています。本人の希望とのズレなどが生じたときには、部内で共有し、くり返すことのないように気を付けています」と話しました。
エクシーズでは毎月の勉強会に参加する社員もいたりしますが、少し興味があるだけという段階のため、その人たちにどうやって火を付けるかが課題。シティアスコムでは、部門内で何か新しい案が挙がったらすぐ話し合うとのこと。
最後は、ITが興味の主軸ではない若手社員との向き合い方について。こうした人たちにエンジニアとしてどうやって幸せになってもらうのかが話し合われました。
「本人に楽しみや喜びを感じてもらうこと。例えばお客様の声を開発者本人にも届けるなどしていく必要があるかもしれない」と局氏。上野氏は「エンジニアの仕事は、日頃不便だと思っているものをシステムで楽にしていく素敵な仕事だと常に伝えています。パソコン未経験で入ってくる人もいて、どうしたら好奇心を持ってくれるかをいつも考えています」と話しました。
役職者と若手、それぞれの立場から2社の制度や環境に対する本音を聞けたトークセッション。エンジニアも会社もハッピーになる取り組みや環境作りのヒントがたくさんありました。
2日目:エンジニアフレンドリーシティ福岡アワード表彰式
2日目のスタートはエンジニアフレンドリーシティ福岡アワード表彰式から。
一般からノミネートされた福岡のコミュニティ、企業の中から、福岡のエンジニアが成長できる活動や環境の充実に貢献した4団体5企業が受賞しました。福岡市長がプレゼンターとして登壇し、「今年はリアルで開催できたことを嬉しく思います。国ではようやくデジタル庁ができました。デジタルで社会に変革を起こすことができるチャンスですし、その世界を作っていくのがエンジニアの皆さんです。これからもエンジニアカフェを拠点として活用していただき、エンジニアから切り開いていく新しい世界を一緒に作り、福岡から発信していきたいと思います」と挨拶しました。
受賞コミュニティ、企業は以下のとおり。
- <コミュニティ部門>
- 福岡XR部
- 九州アプリチャレンジ・キャラバン
- CoderDojo 福岡
- CEDEC+KYUSHU実行委員会
- <企業部門>
- 株式会社ハックツ
- 株式会社マネーフォワード
- 株式会社サイバーコネクトツー
- さくらインターネット株式会社
- アークエルテクノロジーズ株式会社
受賞者インタビューは、以下のサイトにてご覧いただけます。
- エンジニアフレンドリーシティ福岡アワード2021レポート
- https://efc.fukuoka.jp/information/4536
4者が考える、エンジニアに必須のスキル
デジタル庁
ソリューション・アーキテクト 大久保 光伸氏(写真左、左)
金融分野で官民連携を担うパラレルワーカー。東京都外国企業誘致事業(フィンテックビジネスキャンプ)メンター、総務省Code for e-Gov構成員、外務省CIO補佐官、財務省CIO補佐官など歴任。2021年1月から金融庁参与を務める。
2日目は4人のトークセッションからはじまりました。「組織の枠、職種(エンジニア)の枠を超えて活躍するために必要なスキルとは」がセッションのテーマ。
今回は、実際に産学官をまたいで活躍しているエンジニアにどんなスキルが必要なのか聞きました。幅広い分野で活躍する大久保氏と廣瀬氏に加え、宗廣氏と酒井氏がモデレーターとして参加。さまざまな立場からテーマについて考えました。
和やかな雰囲気の中、まずは自己紹介からスタート。自己紹介だけでも興味深いトピックが多く盛り上がります。
とくに注目されたのが、大久保氏のキャリアプランニング。子どものころからエンジニアが目標だったという大久保氏は、「ITという軸に金融と英語を掛け合わせることで、選ばれる人になる道を選びました」と言います。そのような意識を持ったタイミングについて、「代々銀行員の家で育ちましたが、留学したときにインターネットをベースにしたビジネスをしたいと思いました。帰国後日本のそういった仕事の環境やレベルに大きなカルチャーショックを受け、そこから開発側でスキルを持ったうえで金融をやっていこうと考え始めました」と述べました。
同じく子どものころからエンジニアを夢見ていたという廣瀬氏は「救急車を呼んでも1時間はかかるような、超過疎地帯で生まれ育ちました。その環境下から、医療がない場所にどうやって医療を引き込むかを考えはじめ、高校卒業後は医療の勉強をしていました」と話しました。2人に共通するのは、目の前の課題をエンジニアの力で解決しようと考えたこと。
課題を見据え、業務知識を得ることも必要だとここまでの話をまとめながら、「上の人や他分野への通訳者、間に入れるポジションになることが大事」と宗廣氏。廣瀬氏も、ルールを疑うこと、なぜを説明できることが大切だと、具体例を挙げて補足しました。
大久保氏は「データの取り扱い基準が分類できるだけでも、応用がきくと思います」と可能性を示しました。別業界の知識を学んでおくと、より多くのスキルが身につくものの、その業界に身を置かずして知識を習得するのは難しいところ。廣瀬氏も大久保氏も、過去の苦労を交えてお話しされました。
時折笑いが起こりながら進んだセッションも終盤。酒井氏から「越境してみたい、今の仕事以外にも何かやってみたい方っていますか?」と、会場の参加者へ投げかけると、数名の手が挙がりました。続けて酒井氏から登壇者の皆さんに、同時に複数の分野の仕事をするメリットについて質問。大久保氏は、自治体での小さな成功体験から中央省庁でスムーズに事が運んだ事例を紹介し、掛け持つメリットがあること話しました。
話は尽きる気配もないまま、タイムリミット。最後は越境するメリットや、そのために何をすべきかを全員が話しました。
廣瀬氏は「越境は簡単にできるものではないが、前にやったことがないというのがモチベーションです。前例が無いなら自分で研究するのが楽しい。実証実験をくり返すことで、だんだんと自分の知識も広がっていきます」と述べました。
大久保氏は「たとえばユーザ企業側と開発側の両方を知っていると、提案を受けたい側の気持ちもわかります。それをもって自治体に行き、エンジニアとして貢献できるのはバリューが発揮できるポイントだと思います」と発言。
酒井氏は取材経験から、「外に目を向けてみると、自分のIT知識を使える場が見つかることもあるので、越境の第一歩として外の人たちと繋がってみるのもいいかなと思います」と話しました。人との繋がりをもつために、エンジニアカフェはもちろん、コミュニティなど、さまざまなところに積極的に参加することが大事だと締めくくりました。
NFTはよくわからないからこそチャンス
合同会社暗号屋
代表社員 紫竹 佑騎氏
サイバーエージェントを経て、2017年に独立。後に福岡で仮想通貨取引所 Mr. ExchangeをCTOとして設立・運用し、退職後はブロックチェーン事業に特化した合同会社暗号屋を設立。
75億円で落札された作品の登場で一層注目が集まったNFTアート。NFTとはNon-Fungible Token(非代替性トークン)の略称で、ブロックチェーン技術を用いて代替不可能としたデジタルデータのこと。今はNFTバブルなのか、エンジニアでありブロックチェーン専門家の立場から、紫竹氏がNFTの現状や未来をテーマに話しました。
紫竹氏は「NFTアートは今、たしかにバブルが起こっています。しかしそれは、アートに限った話です。NFTの活用法は他にもまだまだあります」と言います。
クリエイターにとって持続可能なNFTを考えたときにできたのが、合同会社暗号屋のVWBLという、NTFに視聴権を持たせたデジタルメディアプロトコル(共通言語)。VWBLの仕組みやメリットを説明した後、PTPFというIoTデータの相互利用を促すプロトコルについても紹介。
PTPFは経済発展と社会的課題の解決を両立することをミッションとしています。実装すれば、データを福岡市の地域産業にでき、福岡市をよりエンジニアフレンドリーな街にできると紫竹氏。
最後に、暗号屋のビジョンでもある、新しいインターネット「Web3.0」について話しました。その重要性や変化するものなどについて説明し、「ブロックチェーンやNFTはまだまだこれからの技術。よくわからない領域だからこそチャンスがあると感じています」と述べました。
京都のために、全員で汗をかく社長チーム
一般社団法人京都試作ネット
代表理事 佐々木 智一氏
2001年に京都の金属加工業10社で発足したネットワーク。「顧客の思いを素早く形に変える」をコンセプトに、試作に特化したソリューションサービスを提供。
京都試作ネットは、「顧客の思いを素早く形に変える」をコンセプトに活動する、試作に特化したソリューションネットワークです。2001年、日本の金属加工の未来に対する危機感を覚えた京都の金属加工業10社の社長が集まって始まりました。現在のメンバー企業は35社。代表理事の佐々木氏は、京都からオンラインで参加し、具体的な事例や今後の展望を紹介しました。
京都試作ネットが大事にしているのは、京都のために貢献をする(全員で汗をかく)こと、利益よりも優先されるのは新たなお客様を創り出すこと、自分たちの会社でできないチャレンジ(実験)をしようということ。利益の5%程度を次の事業探索=京都試作ネットの活動にあてて企業の活性化につなげるという、京都試作ネット5%理論も大切にしています。京都試作ネットの使命は、開発者に期待を超える試作品をどこよりも早く提供することであり、そのスピーディさに重きをおいています。
「試作は命をかけたチャレンジで、試作が会社の事業の命運を握っていると言っても過言ではない。それに応えられるよう、常に最適な会社がお手伝いをするようにしています」と語った佐々木氏。顧客目線で企業のマッチングをするため、参加企業35社が平等に機会を得るのではないと言います。
金属や樹脂製の部品や装置関係のほか、買い物かご自動除菌装置等の試作の事例などを紹介し、「今後も京都を試作の一大集積地にするというビジョンのもと、街に貢献していきたいと思います。京都試作ネットに参加することによって、目の前の利益だけを見ずに挑戦してみるという会社の土壌ができ、エンジニアがやりたいと思うことにチャレンジできる環境作りができているのではないか」と話しました。
No Engineering No Life ~エンジニアカフェでワールドカフェ~
株式会社CenterQ
代表取締役 山田 美穂氏
コミュニティ「女子だらけの電子工作」主催。エンジニアカフェのコミュニティーマネージャーおもしろ担当。
最後のセッションは、エンジニアカフェを会場に行われた「ワールドカフェ」。ワールドカフェとは、1つの会場につきワンテーマで話すワークショップ手法のこと。今回のテーマは「あなたにとって良いエンジニアフレンドリーとは?」。
最初の30分のみオンライン配信もされました。山田氏、金内氏の2人のファシリテーターの軽快な掛け合いを交えながら進行し、「オープンであること」「エンジニアが助け合えること」「働きやすさ」といった切り口からチームごとに活発な意見交換が。
和気あいあいとしたワークショップの終盤ではアウトプットとして「エンジニアフレンドリー川柳」を各自が作って発表しあいました(一部の参加者の方は作品をTwitterでつぶやいています。「#エンジニアフレンドリー川柳」で検索してみてください!)
まとめ
今年も盛況のうちに幕を閉じたエンジニアフレンドリーシティ福岡フェスティバル。万全のコロナ感染対策を取り、リアル会場の熱気とオンラインの利便性の両方を取り入れて開催されました。
新型コロナウイルスによって激変を迫られた社会の中で、さまざまな場面でテクノロジーが身近なものとなり、エンジニアが活躍できる場は広がりを見せています。この変化を積極的に取り入れて、エンジニアのさらなる成長を促そうと、多くの刺激的な意見が飛び交った会となりました。
さて次の1年は、福岡のエンジニアにとってどんな年になるのでしょうか。これからも、エンジニアたちの活動に目が離せません。