レポート

エンジニアフレンドリーシティ福岡フェスティバル2021イベントレポート ~コロナ禍でも活躍する福岡内外のエンジニアが,熱い意見を交わした2日間

この記事を読むのに必要な時間:およそ 6.5 分

エンジニアフレンドリーシティ福岡は,⁠エンジニアが集まる,活躍する,成長する街,福岡」をエンジニアとともにつくる取り組みです。その一環であるエンジニアフレンドリーシティ福岡フェスティバル2021が,2021年12月3,4日の2日間にわたって開催されました。昨年はコロナ禍での全面オンライン開催となりましたが,今回はリアル(エンジニアカフェ現地)での参加枠も設けられ,改めて現地の盛り上がりを体感できるイベントとなりました。

3回目となる今年のテーマは「Dive in!⁠⁠。福岡やその他の地域から登壇したのは,変化の早い業界で第一線を張るエンジニアたち。新しいものを生み出す初めの一歩やその後のプロセス,試行錯誤の過程など,活動のヒントとなるような話が続々と飛び出しました。

本記事では2日間のセッションの模様をお伝えしていきます。

1日目:みんなの銀行,アークエルテクノロジーズ,西部ガス,リンクトブレイン,エクシーズ,シティアスコム

短いターンで開発と改善を繰り返す,「みんなの銀行」

画像

株式会社みんなの銀行 執行役員CIOゼロバンク・デザインファクトリー株式会社
取締役CIO 宮本 昌明氏

2019年にふくおかフィナンシャルグループに入行。全く新しい銀行「株式会社みんなの銀行」と,そのシステムを開発・運用する「ゼロバンク・デザインファクトリー株式会社」を兼務。

若い人に向けた新しい銀行を目指し,2021年5月に開業した「みんなの銀行⁠⁠。ふくおかフィナンシャルグループが設立した,地方銀行初のデジタルバンクです。

シンプルなアプリでお金に関する事柄をスマホで完結。従来の銀行のイメージを覆す展開が話題です。その開発・運営をしているのが,エンジニア集団の「ゼロバンク・デザインファクトリー⁠⁠。

サービス開発は,銀行側が作るものを決めてエンジニアに発注する従来のやり方ではなく,銀行とエンジニアが何を作るか一緒に考えていく形を採用しています。

「⁠⁠みんなの銀行』でやりたいのは,クイックに作って世に出した後,お客様の声を聞いてフィードバックし,また世に出して声を聞くという,短いターンで改善をくり返すこと。エンジニアフレンドリーな会社でないとこれができません。とくにコミュニケーション面には気を付けています」と宮本氏は話しました。

エンジニア同士や経営陣との交流の機会を設けることで,コミュニケーションのハードルを下げ,ためらわず発言ができる環境を整えています。キャリアについても,エンジニアそれぞれの考えを尊重。

「エンジニアフレンドリーとは,⁠各エンジニアそれぞれの考え方に基づく,働きやすさ,開発しやすさ,成長しやすさ』を追求することだと考えます。ただしそれは時代や技術の変化によって進化していくもの。みんなの声を聞きながら,エンジニアが働きやすい組織を作っていきたいと思います」と締めくくりました。

シリコンバレーの熱量を,日本でいかに作るか

画像

アークエルテクノロジーズ株式会社
代表取締役 宮脇 良二氏

アクセンチュア株式会社で20年働いたのち,2018年アークエルテクノロジーズ株式会社を立ち上げ。創業にあたり,シリコンバレーのスタンフォード大学へ1年留学。

デジタルイノベーションで脱炭素化社会を実現する,がコンセプトのアークエルテクノロジーズ株式会社(AAKEL⁠⁠。EV(電動車両)の充電や再生可能エネルギーの効率運用のシステム開発,脱炭素化を目指す企業のコンサルティングなどを主に行っています。

脱炭素化社会の実現に向けてテクノロジーからアプローチしていること,東京大学先端科学技術研究センターと連携して次世代エネルギーシステムの開発をしていることの2つが,会社の大きな特徴です。宮脇氏はエンジニアファーストの会社を作るにあたり,シリコンバレーに行く必要性を感じて留学。

「世界の名だたる企業が集まるシリコンバレーで感じたのは,世界を変えるのはエンジニアだということ。エンジニアの価値も日本より高い」と言います。この経験を活かし,AAKELではシリコンバレーを真似た事務所作りをし,ラフな雰囲気の勉強会や資格取得の支援,環境活動にも取り組んでいます。⁠今後もテクノロジーで脱炭素化社会を実現し,社会課題を解決する会社作りをしていきたい」と今後の展望を述べて締めくくりました。

破壊的な変化の時代に対応できるエンジニアになる

画像

西部ガス情報システム株式会社
スペシャリスト 上野 伸一氏(左)

設計から開発・運用まですべての工程を手掛けるマルチなエンジニア。

西部ガス情報システム株式会社
システム統括部 末永 樹里亜氏(右)

2019年にエンジニアとして入社し,1年目の3月よりリモート勤務。

東北のガス事業者向けに,料金や使用量を照会する会員サイトをゼロベースから開発した,西部ガス情報システム株式会社。この事例は多くのメディアで取り上げられ,注目が集まっています。

上野氏と末永氏は,この事例を4つのポイントにわけて紹介しました。

1つ目のポイントは,テクノロジーの選定方法について。⁠情報収集は,英語ベースで情報量が豊富な海外サイトを活用しています」と上野氏。

2つ目はアーキテクチャについて。末永氏が「JavaScript,APIs,Markup,の頭文字から成る『Jamstack』という最新のアーキテクチャを使用しました。従来のWebサイト構成とは異なり,Webサーバーが不要で,ハイブリット形式のクラウドで構成しています」と説明。

3つ目はスプリント駆動(アジャイル)について。⁠3週間という短い開発期間をくり返しながらプロジェクトを進め,効率性を重視しました」と末永氏。

4つ目はGitHub Enterpriseによるプロジェクト管理の集約について。GitHub Enterpriseとは,プロジェクトの作業分担や進捗管理などができるクラウドサービスのこと。これによりプロジェクト管理作業を集約できます。

最後に上野氏が,これからのエンジニアに求められることについて次のように語りました。⁠デジタルテクノロジーによって,既存のしくみや技術が破壊的に変わっていくデジタルディスラプション時代に突入しています。私自身,なんの肩書もない一介のエンジニアですが,やろうと思えばエンジニアから世界は変えられます。常に変化し続ける技術情報を取り入れ,技術が目まぐるしく変わっていく社会に対応し,自ら学び成長していくエンジニアになっていきましょう⁠⁠。

著者プロフィール

寺田香澄(てらだかすみ)

2018年,地域のママ向けフリーペーパーの制作に携わったのを機に,ライターとして活動を開始。現在は編集長としてその制作を担いながら,WEBメディア等で記事を執筆しています。そのほかデザイナーとしても活動中。

バックナンバー

2022年

バックナンバー一覧