Ubuntu Weekly Topics

2013年12月20日号新しいアイコンセット・Trustyの翻訳開始・Cloud ImagesのUEFI Boot ready image・うぶんちゅ! まがじんざっぱ~ん♪・UWN#347

新しいアイコンセット

新しいアイコンデザインがUbuntuのアイデンティティになります。UDSで提案されていた、⁠タブレット・スマートフォン・デスクトップで統一されたアイコンを利用するというミッションがある程度進み、まとめエントリが準備されています。

アイコンデザインとしては現在流行りのフラットデザインではなく、パステルカラーの彩度をやや下げた配色が使われていることと、折り目にも見えるデザインアクセントが特徴のアプリケーションアイコンです。iOS5世代のアイコンにも似ていますが、独特のデフォルメが適用されており、これまでのUbuntuのデザインテーマを踏襲したものとなっています。

ひとまず早期に投入されるのは「Ubuntu Touch」側、すなわちタブレットとスマートフォン環境となりますが、追ってデスクトップにもこのアイコンが適用される予定です。また、このアイコンに合わせたデザインガイドラインも提供され、Ubuntuのデザインは徐々にこのアイコンを中心にしたものに切り替わっていく予定です。

Trustyの翻訳開始

Ubuntu 14.04の翻訳作業が開始されました。

Ubuntuの翻訳は、LaunchpadのWebベースのアプリケーションのひとつ、Rosetta上で行われる、誰でも気軽に行える貢献の一つです。参加のための必要条件は次の通りです。

  • Launchpadのアカウント(Ubuntu Single Sign OnないしUbuntu Oneのアカウントがそのまま利用できます)
  • Ubuntuや、Ubuntuに含まれるアプリケーションに関する一定の知識
  • 分からない箇所を無理に訳さない慎重さ
  • ライセンスに問題のある翻訳を投入しないこと[1]

英語に自信がない、といった尻込みする理由はいくらでもありますが、英語から日本語への翻訳の場合、もっとも支配的なのは「文脈を理解できること」「母国語が日本語であること」の2つです。Ubuntuを日常的に利用していれば、たいていの場面では文脈を理解できるはずですし(とはいえ、無理に訳すと文脈を誤って解釈してしまうことになりますが⁠⁠、⁠母国語が日本語であること」は多くの方が満たすはずです。皆様の気軽なチャレンジをお待ちしています。

Cloud ImagesのUEFI Boot ready image

Ubuntu Cloud Imagesは、⁠クラウド環境向け」のUbuntuのリリースです。Ubuntu DesktopやServerが「デスクトップ向け」あるいは「サーバー向け」であるのと同じように、Cloud Imagesは「クラウド環境⁠⁠、すなわちAWSやOpenStack、あるいはLXCやSystem Center Hyper-V・VMwareのような「クラウドを前提にした仮想環境」向けのリリースとなっています。以前JeOS(Just enough Operating System)と呼ばれていた「最小限の環境を仮想環境向けにしたもの」です。インストーラーでの提供ではなく、事前にインストールを済ませた仮想マシンイメージとして提供されます。

Cloud Imagesは「そのまま」クラウド環境にデプロイできるように、いくつかの細工が施されています。もっとも特徴的なのは、仮想化で標準的なQCOW2や汎用のディスクイメージだけでなく、各リージョンのS3上にアップロードされたイメージ(=いつでもEC2上でrun-instanceしてマシンが起動できる⁠⁠、LXC用のtar ball、Vagrant用(とVagrant+Juju用)のイメージ等、さまざまなプリインストールイメージが準備されていることです。

今回、これらのイメージにUEFI環境を前提にしたイメージが追加されました。これにより、いわゆる「生」のハードウェアではインストール速度を高速化する(普通にインストーラーが一つひとつパッケージを設定していくよりも、イメージを流し込むほうがディスクアクセスや処理が単純になるため速くなる)だけでなく、UEFIをエミュレーションできるさまざまな仮想化環境でシステムを利用できるようになります[2]⁠。いずれやってくるであろう、⁠OSインストール? イメージ起動するだけでしょ?」といった未来の世界が、またほんの少し近くにやってきました。

同人誌『うぶんちゅ! まがじん ざっぱ~ん♪ vol.1』発売開始

図1 ⁠うぶんちゅ! まがじん
ざっぱ~ん♪ vol.1』
図1 『うぶんちゅ! まがじん ざっぱ~ん♪ vol.1』

現在微妙にお休み中のUbuntu Magazine Japanの執筆陣の一部が「雑誌が出ないなら同人でやってくれるわ」などと叫びつつ作成した同人誌『うぶんちゅ! まがじん ざっぱ~ん♪ vol.1』⁠首謀者:あわしろいくや)の販売が開始されました。

表紙は『うぶんちゅ!』の瀬尾浩史先生描き下ろしで、⁠プチ帰ってきた ⁠行っとけ! Ubuntu道場!」特別編」や出版社の垣根を爽やかな笑顔で無視した特別ゲストなど、同人誌でしかできないことをやろうというコンセプトでさまざまな記事を掲載しています。

形式は電子書籍で、PDFとEPUBの両フォーマットを収録しています。詳しくはブログhttp://zapppaaan.freepub.jp/をご覧ください。

UWN#347

Ubuntu Weekly Newsletter #347がリリースされています。

その他のニュース

今週のセキュリティアップデート

usn-2052-1:Firefoxのセキュリティアップデート
usn-2054-1:Sambaのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2013-December/002342.html
  • Ubuntu 13.10・13.04・12.10・12.04 LTS・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2012-6150, CVE-2013-4408, CVE-2013-4475を修正します。
  • グループ名の不適切な取り扱い(存在しないグループ名が付与されている場合、本来アクセスが拒否されるべきタイミングで誤って通過できてしまう⁠⁠・DCE-RPCのgragment length filedsの取り扱いミスによるメモリ破壊(≒任意のコード実行の可能性)を伴うクラッシュ・vfs_streams_depot, vfs_streams_xattrが有効になっている環境で本来機能すべきアクセス制御が機能しない問題を修正します。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-2053-1:Thunderbirdのセキュリティアップデート
usn-2055-1:PHPのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2013-December/002344.html
  • Ubuntu 13.10・13.04・12.10・12.04 LTS・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2013-6420, CVE-2013-6712を修正します。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-2056-1:DjVuLibreのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2013-December/002345.html
  • Ubuntu 12.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2012-6535を修正します。
  • DjVuファイルを開く際に、メモリ破壊(≒任意のコード実行の可能性)を伴うクラッシュが生じる問題がありました。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、セッションを再起動(一度ログアウトして再度ログイン)してください。
usn-2057-1:Qtのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2013-December/002346.html
  • 13.10・13.04・12.10・12.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2013-4549を修正します。
  • QXmlSimpleReaderがXMLを解釈する際、リソースの過大消費が発生する可能性がありました。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

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