Ubuntu Weekly Topics

2014年12月5日号 Utilite2・MAASのUbuntu以外のOSへの対応・FCN#91・UWN#394

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Utilite2

$99で入手できるARMデスクトップハードウェアのひとつ,Compulab Utiliteの新バージョンがアナウンスされました「Utilite2」と名付けられた新バージョンは比較的廉価なFreescaleのi.MXシリーズではなく,ハイエンドスマートフォンやタブレットで利用されるQualcomm Snapdragon 600を搭載し,非常にパワフルなハードウェアに生まれ変わっています。

Utiliteと同じく,ベンダによるサポートはUbuntuとAndroidで,Ubuntuユーザーが「常に電源を入れておけるマシン」として扱うには手軽なものとなっています。

主なハードウェア仕様は次の通りです。Compulabの直販は日本国内への発送にも対応しており,日本から注文することもできるでしょう。

  • CPU: Qualcomm Snapdragon 600/APQ8064
  • Memory: 2GB DDR3(基板直付,交換不可)
  • Storage: 4GB eMMC + mSATA(32GB mSATA SSD搭載モデルあり)
  • Network: 1Gb Ethernet + WiFi(802.11n)
  • I/O: USB2.0 x4 + USB OTG + HDMI 1.4a + Bluetooth 4.0 + Analog Audio In/Out
  • Other: uSIM slot(モデム用)

サイズ的には「普通のマウスより小さめ」(もしくは,「たばこの箱ぐらい」)で,アルミケースから放熱するファンレス筐体となっていることです。この種のデバイスでよく言われる,「組み込みとデスクトップの両方の属性を持ったマシン」として,個人ユーザーにとっては便利な常時稼働マシンになってくれるはずです。消費電力は最大8W,周辺動作温度は45度となっており,かなり過酷な環境でも動作します。

残念ながら国内では電波法の関係でWiFiとBluetoothは利用できませんが,GbEが搭載されているため,有線接続で利用することになるでしょう。

現在ではIntelのBay Trailベースのハードウェアも登場しているためZOTAC ZBOX picoECS LIVAマウスコンピューターのm-Stickなど),ARMデスクトップの省電力性能は数年前に比べると圧倒的なものではなくなっていますが,趣味のデバイスとして,あるいはデバイス対応の問題に苦労しなくて済むという考え方でARMも十分に選択肢に入るはずです。興味のある場合は海外通販にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

MAASのUbuntu以外への対応

MAAS1.7がリリースされ,Ubuntu以外のクライアントを,MAASを使ってセットアップできるようになりました

MAAS(Metal as a Service)は,「物理マシンをIaaSクラウド的な操作感で扱う」ためのソフトウェアです。これをセットアップすると,Amazon EC2でrun-instanceするのと同じような感覚で,物理マシンの起動・OSインストール・cloud-initによる初期設定等をコマンドひとつで行い,SSHでログインできる状態に持ち込むことができます。

このMAASはこれまで「Ubuntu専用で,インストールに用いるサーバーも,MAASによってセットアップされるクライアントもUbuntuのみ」で,WebインターフェースがあるのでWindows等から操作することはできるものの,あくまでUbuntuのインスタンスしか扱えないという状態でした。この状況ではUbuntuを使っているユーザー以外にはまったくアピールできず,Ubuntu特有の特殊なセットアップツールという位置づけでした。

MAAS 1.7からは「サーバーはUbuntu専用だが,セットアップできるOSはWindows ServerでもCentOSでもRHELでもopenSUSEでもSLESでもOK」という状態に切り替わり,任意のOSをセットアップすることが可能になっています。また新機能として「OSをインストールするかわりにHDDをワイプする」という動作モードが追加され,ネットワーク経由で動作するワイプツールとしても扱えるようになっています。現時点ではまだまだ実地検証が足りておらず,動作上の問題が見つかることも多い状態ですが,CobblerやSpacewalkといったOSセットアップツールを使っている場合,MAASにも手を出してみると良さそうです。

Full Circle Magazine #91

Ubuntu専門のオンラインマガジン,Full Circle MagazineのVol.91がリリースされています。

UWN#394

Ubuntu Weekly Newsletter #394がリリースされています。

その他のニュース

注1
かつて「LinuxIOS」と呼ばれていた,「ようするに起動直後にいきなりLinux Kernelを起動させればクローズドソースなBIOSを経由せずにOSに辿り着けるよね?」という発想に基づいたフリーなBIOS相当品。

今週のセキュリティアップデート

usn-2423-1:ClamAVのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-November/002741.html
  • Ubuntu 14.10・14.04 LTS・12.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2013-6497, CVE-2014-9050を修正します。
  • JavaScriptとPE形式実行ファイルの取り扱いにおいて,メモリ破壊を伴うクラッシュが発生することがありました。
  • 対処方法: 通常の場合,アップデータを適用することで問題を解決できます。
  • 備考:Ubuntuにおける,通常のアップデータ提供ポリシー(セキュリティ問題を解決するパッチのみを適用する)とは異なり,upstreamのリリースをそのまま取り込む形のリリースです。セキュリティ修正以外のバグ修正が含まれます。
usn-2425-1:DBusのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-November/002742.html
  • Ubuntu 14.10・14.04 LTS・12.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2014-7824を修正します。
  • ローカルユーザーが特定の操作を行うことで,ファイルディスクリプタを枯渇させ,新規の操作を行えなくする攻撃が可能でした。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,システムを再起動してください。
usn-2426-1:FLACのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-November/002743.html
  • Ubuntu 14.10・14.04 LTS・12.04 LTS・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2014-8962, CVE-2014-9028を修正します。
  • FLACへの入力ファイルに悪意ある加工を施しておくことで,メモリ破壊を伴うクラッシュを発生させることができました。
  • 対処方法: 通常の場合,アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-2427-1:Libksbaのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-November/002744.html
  • Ubuntu 14.10・14.04 LTS・12.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2014-9087を修正します。
  • 不正なS/MIMEメッセージまたはECCベースのOpenPGPデータ列を処理させることで,メモリ破壊を伴うクラッシュを発生させることができました。
  • 対処方法: 通常の場合,アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-2429-1:pppのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-December/002745.html
  • Ubuntu 14.10・14.04 LTS・12.04 LTS・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2014-3158を修正します。
  • pppのオプションファイルの指定方法に問題があり,本来意図されていないスクリプトの実行が可能でした。
  • 対処方法: 通常の場合,アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-2430-1:OpenVPNのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-December/002746.html
  • Ubuntu 14.10・14.04 LTS・12.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2014-8104を修正します。
  • 特定の制御パケットを受け取ると,OpenVPNがクラッシュすることがありました。
  • 対処方法: 通常の場合,アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-2424-1:Firefoxのセキュリティアップデート

著者プロフィール

吉田史(よしだふみひと)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社創夢所属。システム管理を中心にWindows/PC Unixを併用している。Ubuntu Japanese Teamではパッケージサーバの管理や翻訳などの作業を担当。

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