Ubuntu Weekly Recipe

第176回 Rosegardenで作曲する

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プラグイン音源の利用

DSSI(Disposable Soft Synth Interface)は,LADSPAを利用して作られたプラグイン音源です。このLADSPA(Linux Audio Developers Simple Plugin API)はLinuxにおけるサウンド合成のためのフレームワークであり,LADSPAとDSSIの関係は,Steinberg社のVSTとVSTインストルメントの関係に似ています。

UbuntuではDSSIのパッケージがいくつか提供されています。今回はサウンドフォントを利用するfluidsynth-dssiを利用します。いったんRosegardenを終了し,パッケージ「fluidsynth-dssi」をインストールしたのち,再度Rosegardenを起動してください。

DSSIによるプラグイン音源をトラックに適用するには,トラックを選択状態にした後,メイン画面左の「特別パラメータ」の中段にある「トラックパラメータ」の部分で,⁠再生パラメータ」の中にある項目「デバイス」「シンセサイザープラグイン」にします。その下にある項目「楽器」では1番から16番のチャンネルからひとつを指定します。

図8 トラックパラメータとインストゥルメントパラメータ。図ではもうチャンネル1にDSSIプラグイン音源の設定が済んでいる

図8 トラックパラメータとインストゥルメントパラメータ。図ではもうチャンネル1にDSSIプラグイン音源の設定が済んでいる

プラグイン音源の割り当ては「特別パラメータ」下段の「インストゥルメントパラメータ」で行います。⁠シンセサイザー無し」と表示されているボタンをクリックすると,プラグインを指定するためのウィンドウが開きます。プルダウンリスト「プラグイン」から任意のプラグインを選択してください。今回は「FluidSynth DSSI plugin」を指定します。

図9 プラグイン指定ウィンドウ

図9 プラグイン指定ウィンドウ

FluidSynthはサウンドフォントを利用するタイプのシンセサイザーなので,サウンドフォントファイルをインストールする必要があります。今回は本連載の第149回で利用したパッケージ「fluid-soundfont-gm」に含まれるサウンドフォントを利用してみます。

サウンドフォントを読み込むには,⁠インストゥルメントパラメータ」の部分からボタン「エディタ」をクリックして開くウィンドウで,ボタン「Load SoundFont...」をクリックしてファイル「/usr/share/sounds/sf2/FluidR3_GM.sf2」を指定してください。サウンドフォントがロードされるとウィンドウにサンプリングされたインストルメントの一覧が表示されます。

図10 サウンドフォントをロードしたプラグイン。音色リストが表示されている

図10 サウンドフォントをロードしたプラグイン。音色リストが表示されている

「Send Test Note」ボタンをクリックして音が出たら設定完了です。プラグイン音源との結びつけもすでに終えてありますので,メイン画面上部のトランスポート操作部分で再生をしてみてください。きっと音が出るようになっているはずです。

なお,ひとつのプラグインチャンネルにはひとつのプラグイン音源を割り当てることができるため,全部で16のプラグインを同時に使うことができます。Ubuntuで使うことのできるDSSIプラグインはこの他にも,Hexter(Yamaha DX7のエミュレーター)といったアナログシンセサイザー風ソフトウェアやサンプラー,モデリング音源などのパッケージがあります。

MIDI音源の利用

ソフトウェア/ハードウェアMIDI音源はDSSIとは異なり,独立して起動するソフトウェアや,ケーブルでシステムに接続したハードウェアの形となります。

こういったMIDI音源を使うには,まずメイン画面のメニュー「スタジオ」から「MIDIデバイスの管理」をクリックして開くウィンドウで,MIDIポートを設定する必要があります。

図11 MIDIデバイスの操作

図11 MIDIデバイスの操作

ウィンドウの上部でMIDI出力ポートを設定します。Rosegarden上ではMIDI出力ポートを「再生デバイス」と呼んでいます。再生デバイスの出力先は,右のリストから選択できます。このリストは,MIDI音源がALSAシーケンサー機能に開いている入力ポートの一覧でもあります。

再生デバイスにはそれぞれ「バンク」を設定できます。バンクとはMIDI音源の音色を選択するための仕組みで,MIDI仕様に定義されています。再生デバイスのバンクの設定を見るには,再生デバイスを選択した後,ボタン「バンク...」をクリックします。バンクを適切に定義すると,再生デバイスを増やすことなく複数の音色を利用できるようになります。バンクの設定に慣れるまでは,ボタン「インポート」からGeneral MIDI System Level 1のプリセットであるファイル「GM.rgd」を利用するとよいでしょう。

図12 MIDIバンクとプログラムの管理

図12 MIDIバンクとプログラムの管理

さらに,再生デバイスには「コントローラー」を設定できます。ボタン「コントローラー」をクリックすると現在設定されているコントローラーが表示されます。⁠Volume」「Pan」⁠⁠Sustain」などがすでに定義されていますが,この他に任意のパラメータを設定することもできます。ここで設けたコントローラーは,前述のマトリクスエディターなどで表示/編集することができます。

図13 コントローラーの管理

図13 コントローラーの管理

ここまでで再生デバイスのひととおりの設定を終えましたので,トラックに適用してみます。設定した再生デバイスは,メイン画面左の「再生パラメータ」内のプルダウンリスト「デバイス」で選択できるようになっています。選択するとプルダウンリスト「楽器」で16のチャンネルから選択でき,個々のチャンネルには「インストゥルメントパラメータ」で先ほど設定したバンクから任意のものを割り当てることとなります。そのため,ひとつの再生デバイスからは計16音色を利用できるということになります。

なお,筆者は今回,アナログシンセサイザーと同じ操作感覚を持つソフトウェアMIDI音源であるamSynthを利用しています。

図14 トラックにソフトウェア/ハードウェアMIDI音源を設定した状態

図14 トラックにソフトウェア/ハードウェアMIDI音源を設定した状態

著者プロフィール

坂本貴史(さかもとたかし)

Ubuntuのマルチメディア編集環境であるUbuntu Studioのユーザ。主にUbuntu日本コミュニティとUbuntu Studioコミュニティで活動。いつかユーザ同士で合作するのが夢。