Ubuntu Weekly Recipe

第293回 Ubuntu GNOME 13.10の変更点

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IBusとの統合

Ubuntu GNOME 13.10(もちろんUbuntu 13.10も)は,IBusがGNOMEに統合された初めてのUbuntu GNOME(Ubuntu)です。GNOME 3.6から統合されていましたが,今までは無効にしていました注2)⁠GNOMEとIBusの統合とはどういうことなのかというと,世界各国の言語やキーボードの配列と,IBusで使用する変換エンジン注3を一緒くたにし,それを統一したインターフェースで設定と使用ができるようになりました。具体的には[システム設定][地域と言語][入力ソース]タブを見てみてください。左下の[+]をクリックすると全部の入力ソースが表示されます。日本語のところは[Anthy]だけが変換エンジンで,あとはキーボードですが,一緒くたになっていることがわかります。これをもってGNOMEとIBusの統合と呼んでいます。

IBus 1.5の活用方法はまた別の機会に紹介しようと思いますが,少なくともBeta2の段階ではAnthyが自動的に追加されないという不具合があるので,ここで追加しておいてください注4)⁠⁠ibus-mozc⁠パッケージをインストールすると,Mozcも表示されます。これも手動で追加する必要があります。

図8 入力ソースの選択ダイアログ

図8 入力ソースの選択ダイアログ

注2)
正確には統合前のソースコードを使用し続けていました。
注3)
正確にはIBusと変換エンジンのブリッジであるIMEngine。
注4)
リリース版では修正されています。

拡張機能

Ubuntu GNOME 13.10からは,⁠gnome-shell-extensions⁠パッケージが予めインストールされています。これは「拡張機能集」であるGNOME Classicセッションに必要な拡張機能もこのパッケージに収められているからですが,いずれにせよ別途インストールする必要がなくなったのは嬉しいです。⁠ユーティリティ]にある[Tweak Tool]⁠コマンドでは[gnome-tweak-tool]⁠を起動し,⁠GNOME Shell拡張機能]タブで使いたい拡張機能を[オン]にしてください。

とは言え数が多いのでここでは個別の拡張機能の紹介はできませんが,最低限再起動やサスペンドをメニューから行いたい場合は[Alternative status menu]を有効にすれば良いことは頭の片隅に置いておくと良いでしょう。

もちろんGNOME Shell ExtensionsのWebサイトから豊富な拡張機能をインストールすることもできます。筆者お気に入りのDash to Dockもあります。

FcitxとGNOME

第274回で紹介したFcitxは,もちろんUbuntu GNOMEでも使用することができます。ただし前述のとおりIBusと統合してしまったので13.04とは異なった手順が必要となります。

今回13.10用にim-setup-helperというパッケージを作成し,そこにfcitx-setup-helperというFcitxの設定を簡単にできるスクリプトを収録しました。今回はこれを使う方法を紹介します。次のコマンドを実行してください。

$ sudo add-apt-repository ppa:japanese-testers/ppa
$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get install im-setup-helper fcitx fcitx-mozc fcitx-libs-qt5 fcitx-frontend-qt5
$ fcitx-setup-helper

実行後,⁠自動起動するアプリケーション]⁠コマンドだと[gnome-session-properties]⁠を起動し,⁠Fcitx][Mozcセットアップヘルパー自動起動]のチェックを外してからログアウトし,再ログインしてください。これでFcitxが使用できるようになります。Fcitxの便利機能などは,また別の機会に紹介できればと思っています。

ただし右上にFcitxのアイコンは表示されません。この問題を解決する方法は2つあって,1つは第270回でも紹介したAppindicator Support拡張をインストールすることです。もう1つはkimpanel拡張をインストールすることです。後者のほうがよりGNOME Shellのルック&フィールに近づくので,気に入る人も多いかもしれませんが,ツールバー(Fcitxの用語だと状態パネル)は表示できません。とくに問題なくどちらもインストールできるため,両方試してみるのも良いかもしれません。

図9 Fcitxセットアップヘルパーを起動し,指示に従って設定する

図9 Fcitxセットアップヘルパーを起動し,指示に従って設定する

図10 自動起動するアプリケーションを起動し,この2つのチェックを外す

図10 自動起動するアプリケーションを起動し,この2つのチェックを外す

図11 Appindicator Support。スキンはdarkにしてある

図11 Appindicator Support。スキンはdarkにしてある

図12 kimpanelだとこのような表示になる。フキダシっぽくなり,よりGNOME Shellとの親和性が高まる

図12 kimpanelだとこのような表示になる。フキダシっぽくなり,よりGNOME Shellとの親和性が高まる

Ubuntu GNOME 14.04 LTS?

Ubuntu GNOME 14.04 LTSがリリースされるという具体的な話は今のところありませんが,Ubuntuとしては14.04 LTSがリリースされます注5)⁠その場合のGNOMEのバージョンを3.8で固定するのはどうかというアイディアが出されています。確かに手間をかけて3.10にするよりも,それに必要なリソースをほかのところに振ったほうが良い,というのは合理的なアイディアのように思います。

もうすでにPPAには3.10のパッケージが用意されていますが,Ubuntu GNOME 14.04が3.8のままになった場合に困ったことになるので,ここではアップグレードの方法は紹介しません。GNOME 3.10はGNOME自身がプラットフォームとなる注6ための変更点が多いように見えるので,3.8のままでもさしたる問題はないのではないかと思います。

注5)
Ubuntu GNOME 14.04 LTSは3年サポートでリリースされると勝手に考えているのですが,どうなるのでしょうかね。
注6)
GNOME OSに向かって邁進中という感じでしょうか。

著者プロフィール

あわしろいくや

Ubuntu Japanese Teamメンバー。Ubuntu Japanese Teamではパッケージングなどを担当。ほかには日本語入力関連やOpenOffice.org日本ユーザー会コミッティも兼任。