わたしが知らないスゴ本は、 きっとあなたが読んでいる

[表紙]わたしが知らないスゴ本は、 きっとあなたが読んでいる

四六判/376ページ/付録48ページ

定価(本体2,200円+税)

ISBN 978-4-297-11153-3

電子版
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書籍の概要

この本の概要

人生は短く,読む本は多い――「運命の一冊」をモノにする方法とは?

「本を探すな,人を探せ」
「本屋は出会い系,図書館は見合い系」
「本棚を無限にする方法」
「5万円の本を5千円で手に入れるには」
「読書術は盗むもの」
「ゴミみたいな“大人の教養”は捨てておこう」 「『あとで読む』はあとで読まない」

かつてない本の味わい方を名著の数々とともに伝える,日本最高峰の書評ブロガー初の著書。

【特別付録】「読書は毒書」禁断の劇薬小説リスト

こんな方におすすめ

  • 本を読むすべての人

著者の一言

かつてないほど情感を震わせる一冊。
固まった頭にガツンと一撃する一冊。
目に映る世界の解像度を上げる一冊。

自分を変える凄い本は,たしかにある。読前と読後で,自分が一変してしまうような衝撃や視座をもたらすようなやつ。価値観や生活感だけでなく,ともすると人生そのものにインパクトを与える。見慣れた世界をひっくり返したり,世界の解像度が上がるような「目」を手に入れるという喜びをもたらす。読み始めたら最後,徹夜を覚悟しなければならないような,「夢中本」とも「徹夜本」とも呼ばれる一冊だ。

そんな運命の一冊となる凄い本のことを,「スゴ本」と呼ぶ。そして,(ここ重要)そんな運命の一冊は,じつは何冊でもある。

では,そんなスゴ本に,どうやって出会うのか?

気になる本をぜんぶ読んでるヒマはないし,そもそも積読山を崩してるうちに人生が終わる。すべて読まなくても,ネットの画面越しであっても,少なくとも「そんな本がある」ことを知らなければ始まらない。どうやって,知らない本を知ることができるか?

ヒントは本書のタイトルにある。

あらゆる本はすでに読まれているのだから,それを読んだ「あなた」を探そう。どんなにアンテナを振りかざしても,わたし一人の観測範囲では限界がある。だが,「あなた」を見つけ出し,「あなた」のお薦めにより,わたしの世界は拡張するのだ。

「あなた」にオススメすると,オススメ返しされる。「これはスゴ本だ,このセリフに撃たれた」とアツく語ると,「ならこれは? そこが刺さったなら,これは号泣必至やね」と,さらなる熱量をもって推してくる。競い合うように,おもしろいように,読みたい作品がどんどん出てくる。

さらに,「あなた」が何が好きでどんな人で,わたしの世界と重なるところと外れるところが見えてくる。既読本も違った解釈・観点から切り込まれ,「あなた」をダシにした別の味覚があることに気づく。この本が好きな「あなた」が好きな本を知りたい。これが,本を通じて人を知り,人を通じて本に会う極意なり。

ある「作品」なり「作家」という狭い範囲だけではない。自分の知らないジャンルをごっそり拡張する瞬間も味わえる。わたしの場合は「料理」だ。本好きは食いしん坊でもある。ブックトークに持ちよった手料理に惚れ込んで,手ほどきを受け,自分で作れるようになる。同時に,美味しさの秘密を解明する科学本や,料理と人の歴史本を読み漁るうちに,作るとは知ることであり,食べるとは生きることに気づく。

淵の深さを思い知ることもある。なんとか死なずに生きてきて,酸いも苦いも飲み下したつもりでいた。だが,人の闇を描いた本をオススメしあううち,覗き込むことすらままならない深い裂け目があることに気づく。裂け目はけっこう至近距離で,ふっと惑えばたやすく墜落するだろう。そんな,価値観を激変させるような劇薬本を,後悔すること承知で読む。

どれも,わたし独りの力では,たどりつけなかった知見であり,見つけられなかった感情だ。たいていのことは本にあるが,行き着くまでが大変だ。だから,わたしは「あなた」を探す。わたしが知らないスゴ本を,きっと読んでいる「あなた」を。

同時に,本書を手にする「あなた」のスゴ本を探すヒントを見つけてほしい。あなたが知らないスゴ本は,きっとだれかが読んでいるのだから。

目次

はじめに

一章 本を探すな,人を探せ

運命の一冊を読んだ人を探す

  • 書店は「人を探す場」である
  • 「好き」があなたと重なる「人」こそが,あなたの知らないスゴ本を読んでいる
  • いい作家は,いい本を読んでいる
  • 雑誌の本の特集を押さえる
  • あなたが知らないスゴ本を読んでる「人」はネットにいる
  • 本を読まない人が買う「ベストセラー」を利用する
  • 読書会で「人」を探す
  • スゴ本オフで「人」を探す
  • グループ・ブック・ハンティングのすすめ
  • 探した人を追いかける

アウトプットすると人が見つかる

  • 「自分」の範囲なんてたかが知れているし,世界はもっと広くて深い
  • 単なる「よかった」は,何も言ってないに等しい

二章 運命の一冊は,図書館にある

本屋は出会い系,図書館は見合い系

  • 書店に行く前に,気になる本をまとめて一手に取れる場所に行こう
  • 「あとで読む」は,あとで読まない
  • 直感は裏切ることがあるけれど,違和感は裏切らない
  • 運命の一冊は,千冊に一冊

図書館を使い倒す

  • 図書館に行こう,書棚を徘徊しよう
  • カウンターまわりをチェックしよう
  • 背表紙が斜めに歪んでいるのが「おもしろい本」
  • とにかく借りる,本に部屋の空気を吸わせる
  • 知りたいことを調べてもらう
  • コラム 「ネットで検索すれば」「本屋で探せば」では足りない
  • 積極的に自分を放置しよう
  • 図書館を身体化する

本は「買う」ものか

  • 「身銭を切ってこそ,本の目利きができる」の落とし穴
  • 「買っただけで満足した本の山」に埋もれて自己満足に浸っていないか?
  • 「本を手にして読む」というコストを支払うことを厭わない
  • 五万円の本を五千円で手に入れる方法
  • 本棚を無限にする方法

三章 スゴ本を読むために

『本を読む本』で『本を読む本』を読む

  • 読書術は盗むもの
  • 「決まった読みかた」なんてない,けれど「うまい読みかた」はある
  • 分析読書とシントピカル読書
  • 『本を読む本』を批評する
  • 『本を読む本』に致命的に足りないもの
  • 「読む」ためには「読まない」選択肢が必要

遅い読書

  • 速読ができる人は遅読もできるが,逆は不可
  • 書き手の意図に沿うためにも,一定のリズムで読み進める
  • 再読・精読すべき一冊にたどり着くには,どうしても数が必要

速い読書

  • それは「読書」ではなく「見書」では?
  • 「あたり」を得るためには見書も有効

本を読まずに文学する「遠読」

  • 精読の限界を超えるには
  • 本はあらゆる関係性の結び目としてなりたつ

プロフェッショナルの読みかた ~『ナボコフのドン・キホーテ講義』

  • 「大ボリュームの古典を読み通すオレ様」までもこき下ろされる
  • 「現実らしさ」「物語らしさ」とはなにか

『読んでいない本について堂々と語る方法』そのものに隠された罠

  • 本書の「上っ面」
  • 本書の「裏面」と,トラップ
  • 読書とは何か――読書論
  • 読者とは何か――読者論
  • 書物とは何か――書物論
  • 最大のトラップ
  • もっと気楽に「読む」?

「なぜ小説を読むのか」を考えると,もっと小説がおもしろくなる

  • 一回一回の読みは,読み手の技量と創造性に対する挑戦 ~『小説のストラテジー』
  • 鼻につくが,身にもつく小説の読み方指南 ~『フランケンシュタイン』×『批評理論入門』
  • 小説家のバイブルは,読者のバイブルにもなる ~『小説の技巧』

だれかの読み方をマネする

  • 読み巧者を探す ~『半歩遅れの読書術』
  • 「読書はつねに編集的な行為だ」松岡正剛の読書術
  • すぐ効く本は,すぐ効かなくなる
  • 「棚差し」を見る技術
  • マーキング読書法
  • 「本は味わうものではなく,そこから情報を摂取するもの」立花隆の読書術
  • 読書は「競争」か? ~『つながる読書術』

「なぜ読むか」「読むとは何か」を考える

  • 「読むとは何か」への歴史視点 ~『読書の文化史』
  • 同じ本を二度読むことはできない ~『読書礼讃』
  • 「そのときの自分を変えるような本」こそ読むべき ~『読書の歴史』
  • 『それでも,読書をやめない理由』は,世界に情報が溢れているから
  • 電子化できない読書体験とは ~『本から引き出された本』
  • いきなり古典に行く前に

四章 書き方から学ぶ

文章読本・虎の巻

人を説得するために,いかに書けばいいか ~『レトリックのすすめ』

  • マスターしたい12の文彩
  • 文字数よりもリズムが重要
  • レトリック読書案内
  • 事実と意見は分けて書け ~『理科系の作文技術』

おもしろい作品の「おもしろさ」はどこから来るのか

  • おもしろい漫画には「構造」がある ~『マンガの創り方』
  • 「書く技術」に精通すると,「読む技術」が上達する ~『小説作法ABC』
  • 解体することで,どのように物語られているかを理解する ~『キャラクター小説の作り方』
  • 「メチャメチャ売れる映画」に共通するシナリオの原則とは ~『SAVE THE CATの法則』

名文で言葉の「型」を練習する

  • ハート抉る寸鉄の蔵出し ~『名文どろぼう』
  • 一度読んだら,一生忘れられない言葉たち ~『すごい言葉』
  • 聞いた瞬間,心に届く名コピー集 ~『胸からジャック』
  • スーパードライな箴言集 ~『心にトゲ刺す200の花束』
  • 型を破るために,型を身に付けろ ~『ポケットに名言を』

五章 よい本は,人生をよくする

人生を破壊する「怒り」から自由になる

  • 問題を抱えていると,本に呼ばれる
  • 怒りの本質を知る ~『怒らないこと』
  • 怒りの根っこには,「私が正しい」という思いが存在する
  • 怒りを「観る」
  • 『怒らないこと』を繰り返し実践する ~『怒らない練習』
  • 「怒り」は人類共通の悩み
  • 「怒り」を延期させる方法
  • 「私は何も間違ったことをしていない」という人のために
  • 読書で人生は変わる

子どもに「死」と「セックス」を教える

  • 「死とは何か」を教える ~『死を食べる』
  • 「死とどう向かい合うか」を伝える二冊
  • 「生」と「死」の漢字から学ぶ
  • 「セックスとは何か」を教える ~『ぼくどこからきたの?』

子育てはマニュアルに頼れ

  • 子育ての目的は「子どもを大人にすること」
  • 良い育児書,悪い育児書を見分ける方法
  • 子どもに幸せをどうやって教えるか ~『子どもへのまなざし』
  • 比較対象は「昔のわが子」であり,ほかの子ではない
  • 親のいうことは聞かないが,親のすることはマネをする ~『子どもを追いつめるお母さんの口癖』
  • 「なんでそんなことしたの?」ではなく「本当は,どうしたかったの?」 ~『女の子が幸せになる子育て』

生きるとは食べること

  • ヒトは料理で進化した ~『火の賜物』
  • 人は脳で食べている ~『味わいの認知科学』
  • 料理の常識を変える ~『料理と科学のおいしい出会い』
  • 「おいしい」はだませる ~『食品偽装の歴史』
  • 真剣に食べる=真剣に生きる

「正しい死に方」を考える

  • ピンピンコロリ=「良い死」?
  • 「良い死」「悪い死」とは ~『現代の死に方』
  • 医者は,自分に対してやってほしくない医療を,患者に対しておこなっている
  • 「寝たきり老人」が日本にはいて,欧米にはいない理由 ~『欧米に寝たきり老人はいない』
  • ポルスト(POLST)というデスハッキング
  • 先生ご自身がこうなられたら,どういう処置を望みますか ~『医者には絶対書けない幸せな死に方』
  • 生き地獄ならぬ長生き地獄 ~『死ねない老人』
  • 「安楽死」の値段 ~『安楽死・尊厳死の現在』
  • 「死ぬ義務」が発生する恐れ
  • 死をハッピーエンドにするために

二〇年前の自分に読ませたい珠玉の一二冊

  • 辛いときに寄り添ってくれる ~『なぜ私だけが苦しむのか』
  • 人類の叡智を結集した一生モノ ~『アイデア大全』
  • あらゆる問題は既に検討されている ~『問題解決大全』
  • 親になったら絶対に読みたい ~『子どもへのまなざし』
  • 自分に嘘を吐くのをやめる ~『自分の小さな「箱」から脱出する方法』
  • 世の中の仕掛けを知る ~『プロパガンダ』
  • 料理は自由であることを教えてくれるバイブル ~『檀流クッキング』
  • 自分の人生を殖やす ~『ストーナー』
  • 「世界をつかむ」喜びを味わう ~『銃・病原菌・鉄』
  • 人生の手遅れ感の予行演習 ~『タタール人の砂漠』
  • 結婚が捗る ~『アンナ・カレーニナ』
  • 最高峰の小説で,濃厚かつ強烈な体験を味わう ~『カラマーゾフの兄弟』

あとがき

著者プロフィール

Dain(ダイン)

古今東西のスゴ本(すごい本)を探しまくり,読みまくる書評ブログ「わたしが知らないスゴ本は,きっとあなたが読んでいる」の中の人。自分のアンテナだけを頼りにした閉鎖的な読書から,本を介して人とつながるスタイルへの変化と発見を,ブログに書き続けて10年以上になる。

「その本に何が書いてあるか」のような要約よりも,「それを読んで自分がどう動いたか」という具体的な感動・行動に焦点を当てて本を紹介し,愛情まみれの書評は,ときに売切れを続出させ,Amazonの紙価(古本取引価格)をべらぼうに高めたことも。たとえば,東大教師が新入生に薦める本のアンケートを過去15年3000冊を調べ上げ,そのNo.1が『カラマーゾフの兄弟』であると新潮文庫の帯文に書いたところ,学生・社会人が先を争って買い求め,累計170万部のロング&ベストセラーに至る火付け役に。あるいは,W.マクニールの『世界史』を「読むシヴィライゼーションだから徹夜を覚悟せよ」と煽ったら,Amazonのみならずリアル書店・古書店の在庫も払底させ,定価の10倍もの高値で取引されるようになった(今は増刷されているのでご安心を)。

スゴ本オフという読書会を主催。1冊の課題本を読んできて,それについて語るのではなく,テーマごとに好きな本を持ち寄って,まったり熱く紹介し,お薦めしあう。持ち寄る本のテーマは,美,冒険,お金,音楽,SF,ホラー,食とエロス,女と男,新潮文庫,学校など多岐にわたり,10年以上続けている。開催地はおもに東京だが,サンフランシスコや香港からネット経由でリモート参加していただいたり,大学の大教室を借りてやったり,高尾山でハイキングしながらのときもある。Facebookグループ「スゴ本オフ」のメンバーは1000人を超える。

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